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Books & Thailand|ลำพู -Lamphu-

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タイに関わる書籍を気まぐれに格納中。
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【Essay】タイ語のテキストたちの〈言葉〉※タイ語学習用テキストの紹介つき

溢れきった本棚を整理していると、懐かしいものが出てきた。タイ語のテキストが5冊、待っていたかのように並んでいる。タイ語を学び始めて1、2年のときに使っていたテキストだ。カバーはしっかりしているものの、中身は書き込みでいっぱい。モノとしても、気持ちとしても、売りには出せない。 とりわけ思い入れがあるのは、斉藤スワニーさん・三上直光さんの『中級タイ語総合読本:タイの社会と文化を読む』(白水社)だ。タイの社会、歴史、言語、信仰、文化などのテーマに沿った文章と語彙・文法解説、ダイア

コースィット・ティップティエンポン『超入門!書いて覚えるタイ語ドリル』。著者の方が記念に贈ってくださいました。タイ語の入門書や初級者向けのテキストは飽和状態ですが、この本は一味違います。学びはじめの方にとっては痒いところに手が届く工夫や説明が散りばめられています。

見たことのない海に思いを馳せて〜【私のタイ文学】ラッタウット・ラープチャルーンサップ『ガイジン(Farangs)』〜

考えてみれば不思議なものだ。海が好きな自分は、タイに留学していたときでさえもほとんど海に足を運ばなかった。チェンマイという北の古都<みやこ>に住んでいたことが大きいけれども、プーケットもクラビも、サムイ島もサメット島も、僕は行ったことがない。 ただ、それでも僕はタイの海をありありとイメージできる。永遠に伸びているかのような白い砂浜を、永遠に繰り返すかのように波打つ水際を、永遠に続いているかのような水平線を、そしてその海を永遠かのように見つめている人々を。 *** タイの

石井米雄『タイ仏教入門』。タイにおける仏教を、人々の営みや社会との結びつきの観点から紹介しているマスターピース。

【Essay】タイ語の美しいもの

大学のタイ語の授業で、タイ語の金言(วรรคทอง)について学ぶ機会があった。タイ語の金言は、多くの場合は韻文による古典文学から引用されている。母音による押韻に加え、細かい声調の決まりがある、厳格な韻文だ。朗読の際に考慮しなければならない音節の区切り方も存在する。押韻、声調、音節の区切りによって織り成される独特なリズムが、タイ人の耳には美しいものとされる。 これを読んでいる人に、タイ語ができる人が何人いるかはわからない。今回、授業で取り上げられていた「プラ・アパイマニー」と