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空腹との闘い

【入院日記3 2023年1月18日(水) 三日目】

 今日は昨日のように寝付けず起床時間直前から寝入ってしまうというようなことはなかったがそれでも慌ただしく起きて朝のルーティンが始まる。ナースステーションでシャワーの予約をしコンビニでコーヒーを買い、そしてデイルームで写経だ。前回入院していた時は1階コンビニの周辺でしかWi-Fiが使えなかったので朝はコンビニの横で過ごしていた。今は館内隅々までWi-Fiが行き届いていて本当に助かる。

 カバー写真は今日の朝食。朝食には牛乳が出る。この牛乳を朝一番で買ってくるコーヒーと一緒に飲む(だいたいタリーズの缶入りブラック)。これでカフェオレが飲める。しかしながらコンビニでカフェオレはたとえ無糖であってもダメと言われている。胃の中に入っちゃえば同じだと思うんだけど。その分この牛乳いらない。これを「食品交換」という。しかしそれはダメなのだ。1日に牛乳なら200cc、ヨーグルト(無糖)なら120gが許容量である。

 今日は午後にCTの予定が入ってたのでそれが気になって運動にも時間が取れない。午前中にビデオ学習が一本、午後に集団講習が一本入っていてその間は暇だ。しかも検査が午後に入っているので昼食は抜き。冗談にもなっていない。

 午前中にビデオ学習をして残った時間でウォーキングをする。このウォーキングにスマートウォッチがとても役に立つ。運動時間、移動距離、消費カロリーなどの目標値を入力してスタートするといろんな数値を計測してリアルタイムで結果を教えてくれる。とはいえ病棟の廊下の端から端の往復200mを行ったり来たりで正直退屈。しかし体が動かせるうちはできるだけ運動しておこうと思っている。おそらく何事もなければ入院前半は運動ができるだろう。しかし後半はすぐに手術が入るのでその後は今まで通りはしばらく動けなくなることは予想できる。

 昼食時はみんなが食事をしているのに自分だけ食べられないのが悔しかったがこればっかりはしょうがない。その時間帯はちょっと眠たくなってきたので軽く微睡んでいた。

 1時半からグループ講習があり、同じような教育入院の人たちが一つの部屋で糖尿病食についての講習を受ける。食品交換表を見ながらどれをどのくらい食べればいいのかという話だが、以前も同じ講習を受けているし、それ以前からそれがどういったものなのかはわかっている。

 自分にできないのはこの食品交換表の活用だ。例えば炭水化物は血糖値が上がるので炭水化物のものをやめてしまうこと。これがいけないらしい。自分の場合はご飯を減らしたらパンなどに交換しなければならないところ豆腐を代わりに食べてしまう。これは良くないとわかってるけどやめられない。炭水化物は結果として摂取していないが、それでは食事のバランスが崩れてしまう。これが一番良くないらしい。

 講習の後は同じ講習を受けた人たち数人と話をする。特に昨日まで隣にいた人とは長く話をしていた。みんな講習を受けて1日に摂取する野菜の量が350グラムと言うところに「食べられないよ」といっていたが、そこは日頃から食事を作っているので大した問題とは思えない。参加者には主婦らしき人も数人いたが、主婦でも驚くんだなと思った。

 ところで昨日の日記で書いたいきなり隣にやってきたうるさい爺さん。オーバーアクションでやたらとナースに甘え、声も大きいし大部屋で電話を使うし早朝4時くらいにいきなり電気をつけて携帯見ながら大いびきかいている様子。これには我慢できず電気を消すようにと注意した。どうしてこうも入院中のマナーがなっていない言うなれば猿そのものの年寄りが多いんだか。

 その人は朝になって初めて顔を見てびっくりしたが、どう見てもどこかの組員という風態。まともな世界の人間じゃなかった。その顔で思いっきりナースに甘えていたのかと思うと吹き出しそうにもなるのだが。昼過ぎに退院していったので一安心。二度とは会うこともないだろうから書いておくが、人間って生き方一つであそこまで下品になれるんだなと失礼ながら思ってしまった。自分とは住む世界そのものが違う。異種生物との遭遇の場、それが病院なのかも。少なくとも今日一緒に講習を受けたメンバーにはそんな人はいないだろう。

 講習の後3時にシャワー。4時過ぎくらいにようやくお呼びがかかってCT検査を受けた。今日はCT、明日は眼科だ。眼科は散瞳があってちょっと憂鬱だ。おまけにビデオ学習が一つある。目が見えなくなる前に済ませておく必要がある。

 夕食は膾や豚肉が出てけっこうボリュームがあった。病院食はみんな文句を言うが僕は美味しく食べている。味は全く悪くない。むしろこんなご馳走を毎日いただいて申し訳ない気分。夕食は昼食べられなかった分カバーしてくれた…と言いたいが

美味しいけど全然足りないよ!

 と最後にホンネを出しておこう。しかしこの生活に順応して退院する頃には結構胃が小さくなってそれを元に戻すのも結構手間と時間がかかる(元に戻す必要もないが、食べられないのも寂しい)ものだ。

 夕食後も頑張って歩いたが流石に腰が痛くなってきたのでやめておいた。歩いて楽しいと思える程度でやめにして、その後はデイルームで写経などをして消灯前の静かな時間を過ごした■


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