すごい速さで
すごい速さで
ああ
すごい速さで
指紋のついた透明の
たくさんの知らない人の指紋のついた透明の
弾丸は進む
すごい速さで
そうだ仕事だからだ
知らない誰かのための
知るあなたのための
すごい速さで
弾丸は進む
僕を載せて
それよりも
みんなを載せて
膝が朝を眺めてる
夜を途切れ途切れに繰り返して
すごい速さで
知らない人を殺してる
そんな
弾丸は進む
僕を載せて
嫌だ
嫌だ
嫌だ
スミレのサルエルパンツの人が載り込んできて
すごい速さで
似た様に揺れている
身体は
わたしたちの身体は
あなたの身体に今
ぶつかろうとしているのに
遠くのマンションを食いちぎりそうな
銀色の雲を眺めながら眩しそうにしている
すごい速さで
もう見えなくなる
さっきまで見えていたものが
さっきまで見えていた人が
すごい速さで
もう見えなくなる
わたしは思い出す
わたしが見ているあの雲は
降り注ぐ光を塞いでくれている
たくさんの知らない人の指紋がついている雲が
揮発するわたしが
すごい速さで
さっきまで見えていなかったものが
さっきまで見えていなかった人が
すごい速さで
もう見えてくる
ああ
すごい速さで