『森の生活−ウォールデン−』 ソローと2人の親友
『森の生活−ウォールデン−』の著者、ヘンリー・D・ソローは森の中に建てた小屋で約2年間生活しました。そう聞くと、ソローは非社交的で孤独な人物に思えるかも知れませんが、実際にはとても話し好きの社交的な人間でした。
ソローの小屋には、色んな人々が訪れます。『森の生活』の[訪問者][先住者、そして冬の訪問者]という章には、ソローの交友関係が記されていて、彼の親友が2人登場します。
一人は、ウイリアム・エレリー・チャリング。ソローは詩人と呼んでいます。ハドソン川への小旅行やカナダ旅行に同行していて、最もソローの身近にいる人でした。
もう一人は、エイモス・ブロンソン・オールコット。『若草物語』の作者、ルイーザ・メイ・オールコットのお父さんです。オールコットはこの頃、雑貨の行商の仕事をしていますが、ソローは彼のことを最後の哲学者の一人と呼んでいます。
ソローは結核によって45歳の若さでこの世を去りました。オールコットはソローの葬儀で、ソロー作の詩「人生は斯くのごとし」を朗読しました。
ソローとオールコットとチャリングは、町の全人教育(学問や知識に偏らず、人格向上や情操の習得に重きをおく教育)の集まりで知り合いになりました。彼らの掲げた理想は、必ずしも当時の社会に受けいれられなかったようです。けれど、『森の生活』の彼らの語らいの場面では、ソロー達に停滞感や悲観的な雰囲気はなく、いつでも楽しそうに理想を語り合っていました。
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