具体的なカラーマネジメントの手法について書く

これ書くのすっげえ時間かかかるので都度加筆します。

カラーマネジメントと聞くと非常に響きがいいですが、まず前提としてカラーマネジメントは動詞であってシステムの名前ではありません。
それを理解した上で体系的に理解していく必要があるかと思います。
具体的に言うと、画像と動画では全くカラーマネジメントの方法が異なります。画像にはカラープロファイルを埋め込むことができますが、動画にはカラープロファイルを埋め込むことができないからです。
写真、映像、印刷、CG、これらはまあまあバラバラの手段でカラーマネジメントが行われています。その理解の一助になればと思います。

カラープロファイルとは?

主に画像で用いられる色域の情報データです。マックに組み込まれて一般化したため、ICCやICCプロファイルと呼ばれることが多いです。画像に埋め込むことでその画像の色域を示したり、最低限の色変化で異なる色域へ変換することを可能にしたりします。
カラープロファイルは大きく入力と汎用と出力の3つに分けることができると思います(捉え方次第かも)

  • 入力プロファイル
    カメラやスキャナなど入力機器のプロファイルです。
    IT8やカラーチェッカー(CC)などの画像化し、i1 profilerなどのソフトウェアを使用することで、入力機器の色域をプロファイル化することができます。基本的にはRGBです。
    これを作成することで、同一環境下での入力機器の個体差による色差や、経年変化による色差の修正や、チャートに準じた色変換をすることができます。
    特にスキャナーなどは作業前に必ずit8かカラーチェッカーSGをスキャンし、プロファイルを作成することをお勧めします。
    また、入力プロファイルを使用した変換はトーンや彩度に飽和や崩壊をもたらすことがあります。
    経験上、スキャナの場合は誤差やチャートの色ズレが激しいのでメリットがありますが、カメラの場合はさほど画像と実物でチャートの色が激しくズレる訳でもないので、異なるメーカーのカメラの色味をマッチングさせるなどの理由がない限りは、カメラで入力プロファイルを運用するメリットは感じません。

  • 汎用プロファイル
    sRGB、adobeRGB、prophotoRGB、japancolor2011、P3など、その画像の色域を示す汎用的なプロファイルを指します。RGBだったりCMYKだったりします。
    これらのプロファイルは極端に色域が広かったり狭かったりしますが、それは用途に合わせて利便性を重視した結果です。大きな理由がなければ、最終的にはこの状態のプロファイルに変換して画像を保管することになるかと思います。
    国内で最も信頼されて使用されているのはadobeRGBとjapancolor2011かと思います。

  • 出力プロファイル
    プリンター、印刷機、プロジェクター、ディスプレイなど、画像を出力する機器の色域を示すプロファイルです。RGBだったりCMYKだったりします。
    この出力プロファイルを使用することで想定した規格に合わせた色味で印刷したり、画面に表示したりできるわけです。
    ディスプレイであれば、想定する色空間と個体の組み合わせごとに作成します。
    プリンターであれば、プリンタと紙種の組み合わせごとに作成するのが一般的です。

具体的な運用方法

プロファイルについて理解はできたけど、じゃあどうやってどんなソフトで運用する訳??ということになるかと思うので、フォトショップとi1profilerを使用したマネジメントを提示します。

  • スキャナとカメラを使って、2人がかりで複写を同時進行した場合

    1. 作業開始直前にit8をスキャン、カメラでit8を撮影
      作業中も常にCCを映し込ませる。

    2. it8の製造メーカーのサイトで、it8記載のシリアルナンバーと同じリファレンスデータをダウンロード(リファレンスとは、チャートの各色パッチの数値が記載されたもの)

    3. i1プロファイラーのスキャナプロファイル作成フローにチャート画像と適合するリファレンスデータを読み込ませ、カメラ用プロファイルとスキャナ用プロファイルを作成する

    4. 作成したプロファイルをインストール(マックならプロファイルのフォルダに格納しwinならダブルクリック)

    5. スキャナでスキャンした画像に、フォトショップのバッチでプロファイル変換をかける。
      画像にプロファイルが埋め込まれていなければ、作成したプロファイルを指定し、adobeRGBなどの汎用プロファイルにAdobe方式相対的黒点補正ディザにチェックで変換。
      埋め込まれていればそのまま作成したプロファイルにAdobe方式相対的黒点補正ディザにチェックで変換し、再度汎用プロファイルに変換。

    6. 写し込んだCCに応じた調整レイヤーを作成し、全ての画像に重ねる。色変換のバッチに組み込んでおくとスムーズ。

    7. 以上のフローで、カラーチャートとソフトウェアを用いて、異なる機器の色をマッチングさせつつ汎用プロファイルに変換することができた。あとは目的に応じて印刷用に色調整したり、ウェブ用に調整したりする。


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