つまみ読み。
寒い朝は、浅草梅園の「あわぜんざい」が食べたくなる。火傷するくらい熱い餅きびとあんこをハフハフしたい。なんなら、クリスマスケーキじゃなくて、クリスマスあわぜんざいの方が俄然嬉しいし、年越しそばじゃなくて、年越しあわぜんざいでもいい。
月曜日、頼んでいた本たちが届きまして。お取り寄せ商品だったから、いつ届くのか分からず、今か今かと楽しみに待ち構えてた。ほくほく、うほうほ言いながら、ダンボールを開ける。4冊のニューフェイスが本棚の仲間入り。温かく迎えてあげてね。珍しく、洋書は買わなかった私。
本たちを腕に抱え、新しいカーペットの上であぐらをかく。4冊まんべんなく、パラパラとめくってみる。購入したのが、エッセイだったり、短編集だったり、チャプターごとに細かく分かれてる作品だと、パラパラ読んでみても害がないから良き。長編小説の場合、ネタバレに遭遇する危険性はもちろんのこと、それ以前に途中から読んでも話についていけん。私はこうやってパラパラ読むことを、心の中で密かに「つまみ読み」と命名してみた。つまみ食いにも、つまみ読みにも、抗えない。
つまみ読みしていると、面白い表現や、素敵な言葉にばったり出会うことがある。たまたま話しかけた人と意気投合した時のように、高揚してしまう。
例えば、江國香織の「泣く大人」、「オフィス街ピクニック」という章の始まりはこんな感じ。
読んだ瞬間、ふわぁっとあの皇居の匂いがした気がした。あの柳並木、あのお堀の水。優雅に泳ぐ白鳥。昔から何度も見てきた景色が言語化され、新しく脳にリストックされる感覚に身震い。
同じく「泣く大人」の「あの街の底力」という章から。
皮膚で好きになる街ってどんな感じなんだろう。中学生の頃からニューヨークは憧れの街。というか、私だけじゃなくて、全世界の憧れなんじゃないかしら。なぜここまで人々を魅了するのか、いつか確かめに行こう。祖母は昨日、私がニューヨークに行く夢を見たらしく、起床後すぐ連絡をくれた。
赤染晶子の「じゃむパンの日」もつまみ読み。併録されている著者と岸本佐知子の交換日記で、往復書簡よりも交換日記の方が好きです、っていうことを話している場面。
こうやって自分の感覚を正直に、素直に、面白おかしく伝えられる人になりたい。
とりあえず今はポーレチケ、踊っておくか。
「泣く大人」と「じゃむパンの日」をつまみ過ぎてしまい、ジュンパ・ラヒリの「わたしのいるところ」はまだちょっぴりしかつまめていない日々。淡々としたこの感じ、癖になる。いつか原書で読めたらいいなぁ、なんて妄想が膨らむ。
仁平綾の「ニューヨーク、雨でも傘をさすのは私の自由」。予想を裏切らず面白い。つまみ読みにぴったり。くすっと笑えて、夢が広がって、ちょっと感動する。「ターミネーター来たる」の章が特に面白かった。著者のことは「ニューヨーク おいしいものだけ! 朝・昼・夜 食べ歩きガイド」という本で知ってから、推している。写真と言葉のセンスに心の中でいつも拍手喝采。
つまみ読みの世界はまだまだ未開拓。な気がする。
今日は勤労感謝の日。みんな、いつもありがとーう。
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