【福祉のお仕事】法人格や規模による違いについて
同じ福祉系の職場でも、法人格や法人規模は様々にあります。それによって、雰囲気やメリットデメリットは異なるものです。今回は、どのような違いがあるのかについて、ご紹介したいと思います。
法人格の違い
社会福祉法人
特定非営利活動法人
一般社団法人(非営利型・営利型)
株式会社
合同会社 など
事業規模の大小は、法人格の違いに関わらず様々です。
社会福祉法人や特定非営利活動法人は、事業内容や役員への報酬に制限があるなど一定の制約はありますが、税制面での優遇や寄付を募りやすいなどのメリットもあり、安定感があります。
しかし、社会福祉法人の設立には所轄庁の認可を受ける必要があるため、設立は容易ではないのが現状です。
社会福祉法人とは
特定非営利活動法人とは
働く側にとっては、法人格による違いは、一見あまりないように見受けられます。どの法人格であっても、一部を除き、概ね運営できる事業内容に違いはないからです。
しかし、法人格により実は理念や雰囲気の違いがあるように感じられます。どの法人格がオススメか、長年福祉の世界に身を置く者として肌感覚での個人的見解はありますが、ここでは触れないでおこうと思います。
法人規模による違い
法人の規模となると、法人格以上に大小様々な違いがあります。それぞれのメリットデメリットを見ていきたいと思います。
事業規模が大きな法人
メリット
給与が高い
休みが多い
事業が多い
財務基盤が安定
福利厚生が充実
経験できる幅が広い
研修や人材育成面が充実
仕事が分業化されている
求人への応募倍率が高く優秀な人材が入職しやすい
デメリット
行事が多い
意思決定が遅い
情報共有が遅い
人事異動が頻繁
昇進の順番待ちが長期
職員間で情報格差がある
無駄に感じる会議や研修が多い
役員や代表者に会える機会がごく稀
事業規模が小さな法人
メリット
意思決定が早い
情報共有が早い
人事異動が少ない
職員間で情報格差が少ない
会議が合理的で無駄が少ない
役員や代表者が身近に働いている
現場から事務的なことまで網羅的に実務を経験できる
デメリット
給与が低い
休みが少ない
事業が少ない
財務基盤が貧弱
福利厚生が少ない
人材育成面のメソッドが確立されていない
求人への応募倍率が低く優秀な人材が入職しにくい
事業規模でメリットデメリットを整理すると、それぞれのメリットデメリットが表裏一体であることが分かります。
どんな法人が人気なのか
福祉系の仕事に興味をもって就職活動を行っている人に向けた『福祉の就職フェア』のようなものが、全国各地で開催されています。
そのような就職フェアでは、社会福祉法人が運営する社会福祉協議会のブースに人だかりができていました。事業内容や社会的な信頼感があるからだと思います。
次点で、福祉の世界では名の知れた代表者がいる社会福祉法人や事業規模の大きな法人も人気でした。安定した法人格や法人規模の大きさ、広報の質、知名度は偉大だと実感させられました。
私が思うオススメな就職先
一方私は、現場から事務作業までを網羅的に経験できるような、なるべく小さな事業所で働くことをオススメします。福祉にまつわるあらゆる業務内容を広範囲で理解できるからです。
大きな法人や大規模施設では、業務が分業化されていて、担当する範囲が限られており、担当する業務以外はよく分からないということが多々あります。
ちなみに、事業規模の大きな法人(以下、大規模法人)でも小さな事業所を運営していることは稀にあるので、必ずしも事業規模の小さな法人(以下、小規模法人)のみがオススメというわけではありません。
私は、福祉の世界で働き始めた際、たまたま小さな事業所で網羅的に学べる機会があり、随分と福祉の仕事に関する全体的な理解が深まりました。
小規模法人や小さな事業所は、財務面や将来の事業存続に不安定な部分はありますが、代表者や施設長といった方との距離が近いことが良いところだと感じます。日々一緒に仕事をしながら学べる機会が多いため、自分が成長する機会に繋がりやすいと思います。
もちろん、人材育成の面において確立されたメソッドがある大規模法人でじっくり成長して、大規模施設の施設長になって事業を動かすことや、現場職員として大規模施設ならではの業務を担うことも魅力的で充実した仕事だと思います。
理念や雰囲気の違い
上記のような内容をふまえて決めてみても、結局は法人ごとに全く違う文化が存在します。宗教や宗派の違いのように、理念や職員の雰囲気にそれぞれ違いがあるのです。
こればっかりは、実際に中に入ってみないと分からないことではありますが、最近ではSNSの発信内容で雰囲気を感じることもできますので、事前に調べて参考にしてみたら良いと思います。
もしイメージと違った際には、早めに辞めることをお勧めします。自分に合わない職場で無理をすると、精神的に疲弊し、人生の貴重な時間を無駄にすることになるからです。
法人としても、採用コストは無駄になったとしても、人材育成にコストをかける前に決断してもらうことにはメリットがあります。職場や法人自体の雰囲気は変わらないと考えて間違いありません。早めに辞めるということは、自分と法人の双方にとって良いことだと思います。
職員の権利を大切にしている法人で働いてほしい
余談ですが、有給休暇をほとんど取ることのできない法人があると聞いたことがあります。新人職員に有給休暇の存在を教えず、ほとんどの職員が取得したことがないというのです。また、パート職員には有給休暇があるという話をしていない、有休休暇なんて取られたら事業がやっていけない、という話も耳にします。
現在は、取得が義務化されたため、全く取れないということは無くなっていることでしょう。そういった事業者は、職員をなんだと思っているのか。義務化されたことで、法人間格差が少しでも減っているだろうと思うと安心します。
自分を大切にしてくれると思える場所に出逢いたいものですよね。細かな内容は、外で見ている分には分かりにくいと思いますが、根気よく見てみてください。
以上、皆さんが福祉の職場を就職先に選ぶ際、少しでも参考になれば嬉しいです。