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出産で実家に帰ったら介護戦争中だった

妊娠30週、コロナ禍や産後の夫の仕事状況などが重なり
当初は自宅でと考えていた出産を地元に戻ってするため里帰ってみた。
すると、実家は自分が戻る前夜から老々介護がパワーアップの戦争状態。
それまでも、婆さんがデイサービスに行かないとか爺さんが酒を飲まなくなって弱ってきたとか色々あったが、まぁ何とか余裕もあったような…
しかし、婆さんは完全なる認知症で5分置きに同じことを繰り返すし、口を開けば「金、金」とメンタル攻撃を仕掛けてくるモンスター。
自己顕示欲が最強クラスで、爺さんの功績も全部自分の手柄という強靭な精神力で常にMPは自動回復のMAX。
もう何年もその状態で実家がメンタル攻撃にさらされていたが、ここにきて爺さんの漏らしまくりクリティカルヒット。
こっちのライフはもう0よ…状態。
え?自分は介護しに帰ってきたんだっけ?何だっけ?な日々。

ヤバい、体重が減った!!

実家に帰っていきなり介護戦争にブチ込まれた自分。
とはいえ、こちらは妊婦。自分の管理もしなくちゃならん。
という訳で、体重計を調達して計ってみると―—
実家生活4日目で、自宅を出てきた時から1㎏減。
え?減ってんじゃん。大丈夫?
そこからも、便秘になる度に僅かに増える体重は、解消される度に減る。
今まで体重を記録していたアプリでは、単なるグラフでしか表示されないので、新たに理想体重ゾーンも併記されているアプリにも体重を記録。
元々、5ヵ月目くらいから「体重増やすな」の圧力に平伏していたため、体重増加は基準値ピッタリくらい。
ここにきて、理想体重ゾーンに掛かるか掛からないかくらいの低空飛行に突入してしまった。
アプリの医者アイコンに時々叱責を受けながら、そんなこと申されましても…と、1人しょんぼり。

家介護なんて無くなっちまえ!

とはいえ、身重にハードな介護が出来る訳もなく。
じゃあ、自分は何をしているのか、何故体重が減るのか。
そこが老々介護の恐ろしいところだと個人的に思う。

まず、自分は高齢妊婦に該当するため、当然親も高齢。何なら父親は定年退職後の年齢でもある。
そんな歳になれば、当然親だって体力は低下している。
ひょろひょろの骨と皮だけになった爺さんとはいえ、そこそこの長身体躯の男性を一人でどうこうするほどの体力もなければ介護のノウハウもない。
持ち上げるくらいは出来るが、持ち上げたとしてどうだというのだ。
持ち上げながら紙パンツを替える技能はないし、尻も拭けない。
ましてや相手は常時イヤイヤ期みたいな爺さんだ。
そして、そこに現れるメンタル攻撃モンスター。
こっちが厄介で、マイペース爺さんの世話をしようとすると寄ってくる。
餌で釣ってもダメ。
足止めも効かない。
そして手を出そうとし(出せないけど)、こちらの状況をサッパリ理解出来ないため常に邪魔な位置に移動する。
そこで呪文を唱え続けるのだ。

「ワタシガイツモメンドウミテルカラ、ダイジョウブ」

黙れ。

「アンタタチハナニモシナイ、ワタシガ、ワタシガ…」

壊れたスピーカーの様に呪文を唱え続ける。
とんだメンタル攻撃だ。
爺さんの漏らしたウ〇コをさらに部屋中に広げたのはお前だ!
と、言いたいのをグッとこらえながら作業をする。
爺さんは爺さんで紙パンツで用が足せないので、もよおす度に部屋は凄惨なことになる。
どんだけ穿かせても脱いで枕にしていたり、服のように着ようとしたり
婆さんに混乱の魔法を唱えられてされるがまま。
うっかり紙パンツに漏らしてしまえば、婆さんが脱がせようとして転倒。
自分が帰ってきてから3日続けて転倒した時には、正直自宅に留まれば良かったと思った。
乳児のウ〇コにワンオペであたる方が楽だろ、絶対。

しかしながら、ウ〇コの処理も転倒した爺さんを起こすのも
腹の出た妊婦には出来るはずもなく。
自分がしていたのは、その際に全停止になる家の家事や爺さんの食事の準備などだ。
父も母も、一度何かトラブルが起きると爺さんに掛かりっきりになるため、洗濯機が鳴れば洗濯物を干し、食器が片付いてなければ洗う。
汚物で汚れたりして1日に4回洗濯機を回したこともあるため、座ってまったりなんて時間が3人とも取れなかったこともある。
流石にこの状況を続けていきたいというマゾティックな性癖を我が家は誰も持っていないため、自宅でのヘルパーさんを増員、回数も増やしたが、MPMAXモンスターが今度はヘルパーさんの邪魔をしだす。
ヘルパーさんとの打ち合わせにも割って入って呪文を唱える。

ワタシも転送魔法が使えたらヨカッタナー。

そんなこんなで親が介護中心に動く中、自分は家事中心と何となく自然と役割分担。
しかし勝手の違う、出てから20年近い実家での作業は自分なりの工夫の施された自宅の家事とは違い手間取るばかり。
昔のシンクって低くて腰にくる!!
そこに現れるメンタル破壊モンスター。
自宅でのんびり生活を送っていたところから一転、肉体的にも精神的にもハードな無理ゲーに突入してしまい、そりゃ体重も減るよねーと思うばかり。

同じような体験した人いないかなーなんて思ったりする余裕が生まれたのも今日が初めてだが、ネットの海を探すほどの余裕まではない。
そういえば、張った時以外で腹をさする時間もなかった。
急にこんなことになっちまってゴメンよーと、思わず腹を撫でてみる。
返答は激しいキック。
自分と反し、胎児は元気そうで何よりだ。

調子が悪くなればすぐさま自分の親を施設になんて決断を迫るのは酷かもしれないが、家での介護なんて簡単に限界を迎える。
もっと気軽に選択できる状況になればいいのに…と、10日ほどでも思わずにはいられない。

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