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美味しすぎない「焼肉定食」
「ヨーコ…ソ…」
旧型のロボットが来店を歓迎してくれた。何かを配膳するわけでも、席数を問うてくるわけでもない。ただのロボットが寡黙に接客だけをし続ける。
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店に入るとロボはもういないようだ。厨房にもロボの気配はない。メニューも特にロボ味はない。
仕方がない。今日は大人しく焼肉定食にしようか。
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山道にあるものの、ひっきりなしに客が来る。配膳ロボットの故障なのか、どの席にもなかなか配膳がなされない。おかげで次々に席は埋まっていく。
配膳を待つ客らの目線がテレビに集まる。生バンドがいなくなったNHKのど自慢。鐘が長く鳴るだけで、オオと軽く席が沸く。優勝者が選ばれたあたりで、ようやく焼肉定食が運ばれてきた。持ってきてくれたのは、やはりロボではなかった。
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味が濃そうな見た目の焼肉定食。ひと口食べると、その見た目の3割り増しほど味が濃い。塩辛いわけではなく、味が強い。つまり米が進む。タレに塗れた千切りキャベツがおかずになる。米が進む。
お会計。おばちゃんが暗算を間違え、恥ずかしそうに訂正する。レジもないのにロボがいる店。また来るよ、ヨーコソくん。
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