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2023年夏ドラマ感想②

前回の記事に続き、今回は火曜のドラマの感想です!

※ネタバレを含みます。ドラマによっては否定的な意見も述べますのでご注意ください。

【しずかちゃんとパパ】

(NHK・火曜22時~・主演:吉岡里帆・笑福亭鶴瓶)
個人的評価:4.5/5

 耳の聞こえないパパ(笑福亭鶴瓶)と二人で暮らす静(吉岡里帆)。二人が住む街でスマートシティ計画が持ち上がり、担当者の道永(中島裕翔)が街にやってきたことでパパと静の暮らしに変化が訪れます。

 とにかく脚本が上手い! 各話の序盤で生じたわだかまりが終盤で綺麗に解きほぐされたり、1話の台詞が7話くらいで重要な要素となったり、何気ないものに見える登場人物の癖が実は大きな意味を持っていたり。
 伏線の回収が鮮やかなドラマは技巧的にもなりがちですが、このドラマは決して無理に伏線回収に走ることはなく、あくまで自然な流れの中で様々な要素がつながっていきます。また、要素をつないだうえで紡がれるメッセージが、皆を優しく包み込むようなもので、毎話あたたかい気持ちになりました。
 1人の脚本家が全話を書き上げることの意義を感じる、練りに練られた脚本でした。蛭田直美さんが書くドラマをもっと見てみたいです。

 それから、吉岡里帆の演技が良かったです。NHKのドラマなので、有名な俳優からあまり名の知られていない俳優まで、みなさん基本的に演技は上手いのですが、その中でも吉岡里帆は飛び抜けていました。
 静はパパと会話をするとき、手話をしつつ言葉を声にも出して、さらに顔全体で感情を表しながら、パパと意思疎通を図ります。手話をしながら話すだけでも難しいことだと思うのですが、吉岡里帆は全身を使いこなして、静の感情を存分に表現していました。
 全10話の中で、何度息を止めて彼女の演技を見たことか。素晴らしかったです。

【ウソ婚】

(フジ系・火曜23時~・主演:菊池風磨)
個人的評価:3/5

 仕事も恋人も家も失った八重(長濱ねる)が偶然幼なじみの匠(菊池風磨)と再会し、匠から偽装結婚の話を持ちかけられることから始まるドラマ。よくある偽装結婚もの……かと思いきやそうではないことは、1話を最後まで見れば分かります。

 序盤は結構楽しく見ていたのですが、途中から少し飽きてしまったなというのが正直な感想です。
 八重と匠が本当の夫婦なのか疑ったり、二人の仲を引き裂こうとしたりする人が次々に現れて、でも実はその人は良い人で、最終的に二人を応援する、みたいな流れが続いて、ややワンパターンだなと感じてしまいました。

 あとこれは穿った見方でしかないのですが、引っかかった点がもう一つ。 このドラマでは同性に対して恋愛感情を抱く人物や、異性に対して恋愛感情とは異なる特別な感情を抱く人物が登場して、多様な人間関係が描かれるという意味では好感が持てました。
 ただ、(この物語の筋書きや設定から言えば妥当ではあるのですが、)最終的には異性間の恋愛が優先されて、それ以外の形の人間関係は何だか踏み台のようでもあったなあと、少しもやもやしました。

【このハンバーガー、ピクルス忘れてる。】

(MX・火曜23時30分~・主演:平井亜門)
個人的評価:3/5

 先輩(平井亜門)と彼の周囲の女性たちが主に密室で繰り広げる会話劇。ストーリーもあると言えばあるのですが、会話がメインのドラマです。

 前クールの「ガチ恋粘着獣」を見て平井亜門が気になり、初めてMXのドラマを見ました。
 長めのオープニングロールがあったりして、映画のような作りでした。監督の木村聡志さんが映画を主戦場とする方ですし、主演の平井亜門の他、石川瑠華や中島歩など、映画で活躍する俳優が多数出演していますし、全体として映画っぽい雰囲気が流れていました。

 どこに向かっているのか分からないような会話が延々と繰り広げられるのですが、個人的にはけっこう楽しめました。こういう深夜ドラマをもっと見てみたいです。

【僕たちの校内放送】

(フジ・火曜24時25分~・主演:木戸大聖)
個人的評価:4/5

 たった一人の放送部員として校内放送を続けるラジオ好きの内気な高校生・今野浩哉(木戸大聖)。ある日、放送室にお調子者の同級生・大城健太(前田旺志郎)が乱入してきたことをきっかけに、二人のアツい校内放送がスタートします。

 秀作! 起承転結の流れがとても綺麗で、わくわくするドラマでした。
 二人が出会い、一緒に校内放送を始めてビギナーズラックをつかむけれど、その後二人の間でトラブルが起きる。そしてトラブルを乗り越えた先に……! というような王道展開なんですが、こういう王道を真正面からやってくれる青春ドラマを最近見ていなかった気がするので、素直に楽しめました。
 4話完結と短いのでもっと見たかったという思いもありますが、過不足なくまとまっているので、4話構成がちょうど良いのかもしれません。

 木戸大聖の演技を見たのはネトフリの「First Love 初恋」が初めてで、少しやんちゃな並木晴道の少年時代がすごくハマり役だなと感じていました。ですが、今回演じていた、晴道とは正反対の性格の浩哉にもよく馴染んでいて、演技の幅の広い役者さんだと感じました。真っすぐな眼差しが印象的です。
 相方役の前田旺志郎は、今や学園物のバイプレイヤーとして欠かせない存在なのではないでしょうか。「こういう人いるよな~」という見覚えのある雰囲気が全身から出ていて、1秒も期待を裏切ることなく、安定感のある演技を見せてくれました。

 自分は普段ラジオを聞かないので小ネタをつかみきれなかったのですが、ラジオ好きならより楽しめるであろう仕掛けも満載で、おすすめのドラマです。

 今回は以上です! 火曜はプライム帯も深夜帯もドラマ枠がたくさんあって、毎クール忙しいですね……。

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