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静んでなお、蒼

魅入られてしまった

沈んでもしずんでも
追いかけてくる
この蒼に

それほどに
ここの世界は美しかった


ここにいると切り離される
世界の座標から

どっちが上で
どっちが下か
わからなくなる


そうやって
流れに流され漂って


すると

遠く向こうのほうから
やってくる微かな揺らぎ

その心地よい揺さぶりに
身を任せていると

静かに
おおらかに
語りかけてくる声を感じる

染み込んでくるその声


肌の隙間から
じんわりと

満たされた暖かさに
心を委ねる


静かになっていく

しずかに、なっていく


しずかに


なっていく


世界から
わたしが溶けていって

世界と私の境が
霞んでいく

わたしが世界になる



目を開くと
そこには一面の蒼

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