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その9)ベーシックインカムと農業

私は、ベーシックインカムが施行された場合、支給される金額は食費、日用品、光熱費、家賃など、固定費ぎりぎりになる可能性が高いと予想しています。統計局の「家計調査(単身)勤労世帯」(2023年)によると、2022年の働いている一人暮らし世帯の食費は1カ月平均4万301円です。 この食費には、食料品以外にお弁当などの惣菜や飲料、外食の費用も含まれています。

食費は切り詰めていくと自炊中心で健康的な食事をする前提であれば1人1ヶ月2万円くらいで暮らすことができます。これは調理スキルが必要になります。逆に外食中心になると1人1ヶ月9万円くらいになるようです。1食1000円かけている計算ですね。お店でお酒を飲む機会が多い人はもっとかかっているかもしれません。

ベーシックインカム以外に収入がなかった場合、食費は切り詰めやすい費用となるでしょう。しかし、健康を損なうような安い食事は医療費を増大させることになり、現実的ではありません。

この場合の打開策として考えられるのが、食品の代わりに家庭菜園などを作って食費を浮かそうとする人が出てくるということです。何しろ、時間だけはたくさんあります。作物を育てることは健康にもよく、収穫を分かち合ったりして社会活動もできます。生育環境さえ作れば気軽に始められるのも魅力でしょう。農業は毎日の作業があるので暇つぶしにもなります。人口が減ってくるなら、農地にできる場所も増えます。一石何鳥にもなりますね。

これが発展すると、農業がコミュニテイの形成に欠かせない存在になる可能性があります。既存の農家が中心となってその地域の集団農業運営をサポートしたり、養殖を中心とした水産業や畜産も同時に行って大規模化するかもしれません。ある程度は機械にも手伝わせるかもしれませんが、エネルギーは節約する方向に向かうので、人の手で多くを行うようになると思います。こちらの方が未来っぽいと筆者は考えます。

食事を作るには美味しい調味料が欠かせませんが、こちらは多くの企業がしのぎを削り、人々はそれを買わざるを得なくなると思います。このように、人が作るものと機械にさせることがますますはっきり分かれていくイメージがあります。

食料品のもう一つの未来に、食料の保存技術があります。天候に左右されること無く一定の食料が得られることはとても大切です。そこには、様々なテクノロジーが使われることでしょう。次回はそこをもう少し掘り下げてみます。

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