イタリア語が話せなくて、新宿の公園を泣きながら歩いたことがある。
もう随分前のことになるけれど、
小さな子どもみたいに、新宿の公園を泣きながら歩いたことがある。
そのとき公園は小雨が上がったばかりで、まだ霧のような白い靄が漂っていて誰もいなかった。
その頃のわたしはイタリア語の仕事を始めて間もなくて、仕事の度、相手との会話に言葉が詰まったり、言葉がどこかへきえてしまうことが良くあった。
いくら準備しても、いくら前もって話すことを考えていても、数年ぶりに日常的に口に出すイタリア語は思うようにわたしに馴染んではくれなくて、まるで偶然町で会