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「自由時間拡大推進法」異論
あえてこう言った煽るようなタイトルをつけさせて頂きました。労働側にとって大変懸念がある程度で、批判とまではいかないのですが、この法案を推進したい人には是非ご一読してもらいたいのでタイトルだけは扇情するようなものをつけました。
はじめに労働時間を短縮すること自体には必ずしも反対ではありません。当然人間ですから労働時間は短く、できれば家庭やプライベートに時間を使いたいのは誰もが思う性です。中には家庭に居場所がないのかやたらと会社に長居する人もいますが、それは一旦置いておきましょう。人間なのだから、色々あるのです。実際この法案の目玉である週35時間労働が適用されている国があります。元々1日8時間労働というものは化学的な根拠がなく、むしろ誰もが知っているメーデーのスローガン「8時間労働、8時間睡眠、8時間は自由な時間」を参考にして適用されているだけなので労働時間は実際もっと短縮されるはずです。当然それは生産性向上とセットであり、同時に労務管理の強化にもつながるものですが、それは後述します。日本ではいわゆる36協定があり、労働組合か労働者の代表が合意すれば使用者は残業を課すことができるという労使協定があるので、現在でも36協定を破った事業者は大きなペナルティがあります。ただ当然これは働く人には想像できますが、なぜ罰則があるのに行われるかというと、それは当然使用者側も隠しているし労働者側も現在ある仕事を失うのが怖くて沈黙してしまうからです。熊沢誠の言葉があります。「民主主義は工場の門前で立ちすくむ」どんな理不尽があろうと、法的なペナルティがあろうと民主主義が機能している職場でなければ、こうした労働法の罰則はいくら改正しようとも一緒なのです。いかにそれらの法律が守られるかどうかは、職場の次第でしょう。ここは声を大にして言いたいです。使用者側があれこれ理由をつけて労働者の権限なんか簡単に奪われるものです。問題はどうすれば法適用が目に行き届くものになるか。その具体案が定まらないまま、単純に時短が反対なら労働者の敵!と言われるのは心外です。丁寧な議論が行われないのにワンイシューの言葉だけが響く社会は大変危険な兆候です。あえて主語を大きくしますが、全体主義というものはこうした事からあっという間に始まるのです。丁寧な議論と具体案と実行へのプロセス。それはやはり試験的な試みが必要です。
週35時間制を適用された国では
ヨーロッパのフランスでは週35時間制が1998年から始まり、2002年には多くの職種で解禁されました。「自由時間拡大推進法」の一つの目安としてフランスの事例を挙げておく事は、法案が実現かする上で重要です。初めは経済界からの反対論が根強かったのですが、しばらくすればむしろ概ね賛成論が多くなりました。実際フランスでは中小企業対策としてこの時短法を守り、雇用を保障するという条件をつけて補助金と社会保険料の減免を行なっています。逆説的に言えば、これらのいわゆる中小企業救済法案がなければ法制度の実現は不可能でしょう。こうした多額の公的資金の投入は当然多額の財源が必要です。法人税制度は現行のままだととても財源はありません。グローバル資本からキッチリ税を納めてもらうために外交努力も必要になりますが、それはさておき結果として多額の公的援助は経済界から、非常に好意的に見られました。中小企業は自己資金に天井があります。日本でもコロナ禍の飲食店でも普段は滅多に店を開かないところが何故か営業していたりしていた光景を見たことがあるように、こうした補助金は国が変わっても中小企業にとっては実入のいい「売上」です。そしてこの法案自体は元々雇用の増加を目指して立案されたものですが、新たに新規社員を抱えるよりその時短分を今いる社員で回した方がコストパフォーマンスに優れるわけです。この法案では当初目標とされた雇用増に対してはメリットが薄かったです。
言うまでもないですが、雇用主はできるだけ今いる社員で仕事を回そうとするので、エリートサラリーマンなどはこうした時短法案の恩恵を受けていたのですが、低所得者にとって言わせれば、ワークシェアリングの美名の元、定時内の仕事は激増しそれに対して所得はむしろ微減し別の副業をせざるを得ない状況に陥りました。この法案は何度も言うように雇用の増加を目的とされたのに現場では時短ばかりが目的になり、仕事量は減っていないのに作業は膨大に増えてしまいました。そうなれば結局マネージャー職のサービス残業が増えていくと言う悪循環を生み出します。実際この時期のフランスはかなり好景気で多くの事業所が立ち上がったのですが、それが悪化し補助金も打ち切られると当然時短法案ばかりの責任ではないですが、財界から槍玉に挙げられ2004年には「時長」にシフトしました。この好景気はEU立ち上げに伴う経済的統合が大きかったのですが、当然競争率も大幅に上がり経営者団体は「景気悪化は時短法案」というふうにその恩恵を補助金という形で受け取りながら景気悪化の兆しが見えると手のひらを返しました。これを貫徹するには、国家による経済統制と国家による事業所の監視強化を目指さないといけないですが・・。そうなれば、中国共産党のような徹底した監視社会ができるでしょう。もっとも民主集中制はまだしも分派の禁止を党是となっている組織はいざ権力の座についた時、その恐れは十分あります。
時短法案のメリット
この時短法案は先ほど挙げたように悪いところを上げていけばキリがなくなります。事実、いいことばかりではなかったのですから嘘ついても仕方がないです。ただ実際、かなりプライベートな時間が増えた層も少なくなく、限定的とは言えホワイトカラー層を中心に子供と向き合う時間は増えたというアンケート結果も出ています。実際大企業の管理職層では、変形労働制も取られ、短期旅行に行きやすくなったという結果も出ています。金曜日はアポ無し、会議無しという言葉が流行するぐらいだったので、高収入が担保されている労働者層には、かなり有効的な政策でした。あとこうした試行錯誤をもっと様々な職場で応用する前に廃止になったので、相対的には失敗に終わったという結末です。
ただこの手の話は必ず業務の生産性議論とセットであり、中小企業の支援にかかる補助金は大企業の法人税しか手段はありませんが、こうした好況は当時フランス企業の国際競争力の高さにあり、それがひと段落すればグローバル化の美名の下生産拠点を海外に移してしまい、その財源となる資金は確保できないという事態に陥りました。いわゆる大企業と言われる企業は日本でも有数にありますが、すでに売上の半分は海外のものでそうした事を考える場合必ず国際連隊税という機運は必要であり、その証には必ず国際協調の名の下に統一された税制度が必要ですが、当然それには長い年月がかかってしまい時短ばかりが一人歩きする国政だと現在の経済状況ではかなり不安視されます。好況を維持するために国境を開かないといけないが、そうした結果グローバル企業が跋扈する世界になり不景気の際有効な対応が打てないという弱点がありました。
だから時短法案の賛成か反対の二者択一なら、反対はしませんが、必ず付帯決議がセットになります。仕事量が減っていないのに、労働時間が減ったという事になっては意味がありません。必然的にワークシェアリングは重要になるのですが、さて前述したようにそうした事を悪用して使用者が現場の今いる労働者で回してしまおうという事しか考えないような気もしますが。この「自由時間拡大推進法」あまりに使用者側の性善説を信用しているように見えます。
内部留保課税より国際連帯税創設を!
内部留保課税は一部政党組織に、非常に流布されている政策ですが内部留保自体はすでに法人税が課税をされている状況です。つまり、例えばサラリーマンが給与所得を得て、貯蓄していた分を課税したり、すでに天引きされた年金の貯金を課税したりなどいわゆる二重課税の問題が取り沙汰されます。法人税の強化は反対しないです。実際、大企業の社長の全所得は労働者階級とのそれとどんどん格差が広がり、また下請け企業や取引先を大いに締め付けをし売上を補強している以上、富の再分配は絶対に必要でしょう。そしてやはり、国際連帯税という考え方は一種の解決策になる可能性があります。国際連帯税は国際的な活動やモノに課税する税金の総称。 課税の種類としては、環境税(炭素税、航空輸送税、海上輸送税、天然資源税など)、通貨取引開発税、金融取引税、多国籍企業税、武器取引税などがあげられます。特にほぼ同じ事業であるAmazonと楽天はAmazonの法人税は10億円、楽天は300億円以上支払っています。Amazon日本法人は、日本でとんでもない売上を誇っているはずですが僅かな法人税のみで、稼働しています。これほど不公平な税制は日米や他国との連携が必要で、税制の違いを乗り越えていく必要に相当長い時間がかかりますが、この税制度を整備しなければ今後もっと貧富の差は広がります。
国際連帯税という考え方は、一時期取り沙汰されていましたが、所属議員の相次ぐ落選で今や有名無実と化しています。このような一部外からの物や金に移動に課税する事で富の再分配ができるような仕組みを整えます。経済発展は私は自由な時間より、富の再分配制度、日本の社会制度を共助や公助であるセーフティネットを構築する事を考えます。私がなぜ共助にこだわるかと言えば長年共済運動に携わってきたからです。一人一人助けあう事で、全員が共同体の一員として他助を推進する事になります。その他助共同体はもっと国際的に広がっていく事を期待します。
万国の労働者よ!地域に根ざせ!国際連帯を目指せ!団結せよ!