子どもの問題行動にどう向き合うか?
子どもの問題行動とは?
日々子どもと接していると、
危ない場所によじ登って落ちそうになったり
集団行動中にひとりで勝手にどこかに行ってしまったり
遊びがエスカレートして喧嘩になったり
相手を傷つける汚い言葉を使ったり
片付けをしなかったり
勉強をしなかったり
遅くまで起きて寝なかったり
嫌いなものを残したり
大人が注意しても行動改善が見込めずにほとほと困ってしまう。
という状況が日常茶飯事で生じます。
今回は、「子どもの問題行動」をテーマに扱ってみます。
問題行動は子どもの問題なのか?
そもそも、子どもが大人がダメと思う行動を繰り返すとき、それは、子どもに問題があるのでしょうか?
まず、大人の都合や基準に合わせて子どもを評価していないか?
その子に問題があるとレッテルを貼っていないか?
を立ち止まって考える必要があります。
子どもの問題行動が、子どもに表れている事象だとしても、それを問題と認識しているのは大人であり、子どもを教育する役割があることも含めて、原因の少なくとも半分以上は、大人がつくる関わりと環境によって生まれています。
であれば、子どもの問題行動は、
「子どもがやることに対して、大人が問題だと思うこと」であるはずで、
「子どもが、大人が問題だと思うことをやること」ではありません。
(ましてや、問題行動を起こす子どもを「問題児」と呼ぶことは、
子どもへのレッテル貼りで絶対にやってはいけないことだと考えます)
それでは次に、大人が子どもの問題行動にどうアプローチしていくとよいかについて考えていきます。
アプローチ① 大人が問題の認識を見直す
まず、自分の価値観を見直す
大人は問題だと思っているが、それは本当に問題なのか?を改めて見直すことが実は大切だったりします。ですが、自分の価値観で当たり前だと思っていることを見直すことは意外と忘れがちで難しいことです。
大人のダメと思う基準を、色々なシーンで見直してみると、意外と自分独自のこだわりで子どもにダメといっていることに気づかされます。
コミュニティの共通の価値観をつくる
実は、関わる大人によって、問題行動の見解が分かれるケースも多いです。
(そしてそれが喧嘩の火種になったりします)
ただ、全ての観点で1つの共通ルールをつくることは、誰かの価値観を押し殺したり妥協することを招きます。そのため、コミュニティの共通見解として、絶対にダメなことをまず決めることが大切です。それ以外については、個々の価値観としてそれぞれのダメがあって良いと許容した方が、それぞれが過ごしやすくなるはずです。
ケース:子どもが高いところに登って危ない行動をとる
例えば、何かに登って歩くと危ない状況を子どもがつくっているとします。
落ちると死ぬレベルの危なさの場合、ほとんどの人が、それは問題行動だと判断すると思います。
では、落ちても擦り傷程度のレベルの危なさの場合、どうでしょうか?
これは家庭や個人の価値観によると思います。
どこまでやれば怪我するのか?という経験をした方がよいと考える大人は、擦り傷程度のレベルの危ない行動は問題とは捉えません。
一方、できれば怪我をしてほしくない大人は、それを問題だと捉えます。
ラボの場合は、擦り傷OKの保護者もいれば、怪我はNGの保護者もいます。
ですので、大きな怪我や命に関わる様な行動は禁止した上で、怪我しない様に行動に気をつけてもらうことをルールとしています。
子どもの立場としては、親はOK、ラボではNGだったり、父親はOKで母親はNGだったりする場合もあり混乱することもあると思います。
子どもには、絶対にダメとなる基準をまず理解してもらうこと。それ以外には様々な価値基準があり、自分として何を大切にしていくか行動しながら掴んでいって欲しいと思っています。
アプローチ② 大人が子どもとの関わりを整える
大人が子どもとの関わりを整える上で一番大切なことは、子どもの状態をみることです。以下に、子どものパターン別の関わりをまとめてみました。
そもそも問題だと認識していない場合
大人にとっては、当たり前に予見できて問題だと思うことが、
子どもにとっては、当たり前でないケースがあります。
例えば、電車で1人で勝手に行動するというケース。
迷子になるリスク、列車に降りれず1人で遠くに行くリスク、線路に落ちるリスクなどを大人はすぐに想定できますが、子どもはいずれも意識できていない可能性があります。
そう言う場合は、本人がどう考えていたかを確認し、考えが至ってない場合は伝え、今後は気をつけることを約束する流れになります。
問題の基準が曖昧で難しい場合
次に、行き過ぎれば問題になることはわかっても、その過程や基準が曖昧で難しいことがあります。
例えば、子ども同士で殴り合いの喧嘩をすることは問題行動と概ね判断するかと思います。ですが、チャンバラ遊びをする中で、相手を泣かしてしまう場合はどうでしょうか?
このケースについては、問題か否かの判定は、受け手が遊びと認識しているか、嫌だとか痛いとか思っていないか、次第になります。
よくあるパターンは親が途中でダメだと判断し止める対応をすることです。
それによって、目の前の問題は避けられるメリットはありますが、子どもが自分で判断する機会を奪うデメリットもあります。
大人からみてダメだと思っても、子どもにその判断が身に付いてない場合、
長い目で見れば子どもがそれを考えられるようにする方がよいでしょう。
ですので、大人としては、見守りながら、子どもが一線を意識できる様にする。相手の気持ちを確認して度がすぎたらやめて謝るを繰り返す中で、子どもが良い習慣(ここでは社会性)を身につけていけるようになります。
問題だと認識しているのに行動する場合
次に、問題があるとわかっていても行動する場合があります。
例えば、学習の時間で宿題をやらないのはよくないと思っていても、脱線したり、大声を出したりして、周りに悪影響を及ぼすケースです。
こういうケースでは、席順やとなりとの距離に配慮したり、事前に何をして良いか否かを確認して約束したり、本人の関心が場の目的と一致できるように促したり、周りの環境を工夫をすることができます。
また、問題行動を起こす前提で接すると子どもは大人が信じてくれないことに不信感を感じたり、反発することも多いです。そのため、まずは、問題行動を起こさないことを信じて、うまくできた時には、できたことを認めてあげることで、より良い行動への強化を促していくとよいでしょう。
問題だと認識し日頃はやらないにも関わらず問題を起こす場合
子どもの状況によっては、行動自体に問題があると理解した上で、それをやっている場合があります。この場合は、問題行動の裏にある本人の目的を理解することが大切になります。
例えば、日頃は宿題をやっているにも関わらずやらずに帰ってきた場合、大人の注目を自分に向けたいという裏の意図があるケースがあります。
関わりが薄いくらいなら、悪いことをして注目を浴びた方がよい。という考えで行動している子どもに対して、大人が叱った場合、宿題をしないと注目を浴びることができるということを学習し、宿題をやらないことを繰り返すことが起きます。
この場合大切なのは、本人の裏の目的を理解して、その目的に沿った関わりを親が持つことです。
上記の宿題の例でいえば、宿題をやっていないことを叱る前に、本人の意図を引き出し、親と話をしたかったことがわかれば、その時間をとる。
宿題をやらないという問題行動でなくても、本人の目的が達成できることがわかれば、問題行動自体がなくなっていくようになります。
以上、今回は、子どもの問題行動について記事を書いてみました。
子どもの問題行動は、実は大半は大人側の課題であること。
そこに向き合わせてもらう中で、より良いコミュニティをつくるきっかけや、
大人が成長をしていくきっかけをもらえているのだなと感じます。
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