ニュータイプの相談援助職のための読書会開催しました!~シン・ニホン 1日目~
こんにちは。レタススタッフの三宅です。
8月8日(日)、ニュータイプの相談援助職のための読書会を開催しました。
ご参加いただいたみなさん、ありがとうございました!
この読書会について、少しずつ知ってもらえるようになったと感じる一方、改めてなぜ臨床心理士がこんな読書会をするのかを知ってもらいたいと思い、まとめています。こちらも読んでいただいたら、より私たちの取り組みに興味を持っていただけるのではないかと思います。
残すに値する未来を妄想する
今回の本は、安宅和人 著『シン・ニホン AI×データ時代における日本の再生と人材育成』
いつも読む本と比べて、なかなか分厚い読み応えのある本です。今回は夏休み特別企画ということで2回にわけて読むことにし、1日目の今回は1~3章をメインに進めました。
レタススタッフ、『シン・ニホン』公式アンバサダーになる
この『シン・ニホン』には公式アンバサダー養成講座というのが開催されています。
著者のメッセージを発信すること、読書会を含めて「残すに値する未来」を創るための活動をすること、これらの役割を担っているのがシン・ニホンアンバサダー。この講座の第4期に髙木、第5期に三宅が参加しました。
講座では、シン・ニホンの理解を深めることは勿論、問いを立てて議論すること、ファシリテーションのポイントを学び、その面白さを感じることができました。こういう場だからこそ交流できた方たちと一緒に議論できたのは、とても貴重だったなと改めて思います。講座での学びを活かしながら、今回は相談業務を日々頑張っている人たちとの対話を楽しむことができました。その報告を以下に綴っていきます。
あなたの「チャーム(魅力)」は何ですか?
チェックインでは、シン・ニホンを読んでみようと思ったきっかけと、上記の問いを話してもらいました。チャームについては、みんな「自分で言うのは恥ずかしい」と口を揃えて言われていました。確かに、考えた私も恥ずかしかったです(笑)
なぜこの問いを冒頭入れたかと言うと、周囲から自分のチャームを言われたときのことを思い出したからです。どこか気恥ずかしいけど嬉しい気持ち、温かいムード、こんなふうに自分は見られているんだという新たな気付きがありました。また、日本人はよく短所は沢山挙げられるけれども長所はなかなか挙げられない傾向があると言われます。自分も他者も良いところを認められたら、よりその人のチャームが引き立って生活にどんどん活かされるのではないかと思って入れてみました。
恥ずかしながらも教えてくださった皆さんのチャームは、謙虚さ・よく笑うこと・こだわりがあまりないところ・ジェネラリスト・感情が外に出ないこと でした。
次に『シン・ニホン』を読んで学びになったこと・印象に残ったことについて。
・「伸びしろしかない」など、ポジティブな言葉が多く使われている。
・「異人」をどう生み出すのか、教育や自分の振る舞いを考えるきっかけになった。
・「はじめに」を読んでぐっときた。
・妄想だったら自分でもできそう。
・スポンジ力より気付く力。学んだことをそのままやろうとしてしまう自分がいる。
・異人、ジャマおじ、ジャマおばというキーワードが気になる。
・労働時間ドリブンからアウトプットドリブンへ変わらないといけない点について、仕事でも同じことを感じていた。自分の時間を切り売りして働いていると、未来のことをなかなか考えられないのではないか。
・気付くことと新しい知識は違う。アウトプットするうえで意識するようになった。
後半は対話の時間。
Q.「起立、礼、前ならえ」の代わりに何をやる?
G7諸国でもこのような軍事教育の名残、説明できないレベルの決まりやルールはなく、その悪気ない行動が『異人』たちを排除してしまう点が3章で指摘されている。そもそも子ども時代に「起立、礼、前ならえ」をやる意味を考えたことがなかったからみんなに聞いてみたい、という理由から生まれたこの問い。
「起立、礼、前ならえ」をしたほうがいい時代もあり、それで上手くいっていたのは事実。どこか軍国主義な感じはあるが、集団の時間感覚を揃えるうえではあってもいいのではないか。オリンピックを見ていたら、改めて集団のまとまり・時間感覚を揃える点は日本独自のものだと思った。それがなくなると、日本の独自性がなくなってしまう?時間で価値を測る(労働時間ドリブン)というところにも繋がるのではないか。
代わりに、瞑想・対話型の授業・学習とは関係のないテーマ(自分や相手のチャーム)や答えがないものについて考える時間を設ける・挨拶などをしてはどうだろう。
教師をしている友人が、生徒の気持ちの切り替えのために、席替えの方法をくじ引きや立候補など色々考えていることを思い出した。集中力、気持ちの切り替えのためにやれることであれば意味があるのではないか。
日本は茶道や華道など「型」から入りやすいため、何のためにするのかを改めて考え直してみては?自分の仕事や活動にどれくらいの付加価値があるのかを考える必要がありそう。
Q.パラダイムシフトが起きている最中、あなたなら何をする?
2章の『エンジニア、専門家がそもそも足りていない』という節にあるように、専門家を養成するには一定の時間が必要。その間、ぼーっとしているだけでいいのだろうか?自分の付加価値を考えるうえでも、状況や価値観が変わっていく間、何をしながらパラダイムシフトを迎えたらいいのか?
任天堂DSを作った人の話を知って、リベラルアーツといった教養や経験が深く、チャームを持っていることが発明を生んだのだと思った。だから、1つの専門だけでなく、幅広くリベラルアーツ的なことを知っておくといいのではないか。
なぜ、どうして?を日常的に考えることも大事。失敗を恐れていると創造性が乏しくなる。「失敗しないようにする」「〇〇しない」といった行動を縛るようなルールではなく、チャレンジした人が労ってもらえるような「〇〇する」という創るためのルール設計ができると、職場風土や場の雰囲気が変わるのではないか。
Q.“マシン”的な人から、妄想しカタチにする人になるには、どんなことが必要だろうか
「創造性が乏しくなる」という点にも繋がるこの問い。
カタチにすることのほうが課題だと思う。カタチにすると言っても何かモノを作ることだけではなく、人に発信すること・理想を口にすることが必要ではないか。
でも人に発信する時、どんなリアクションをとられるだろうかと不安になる。反対に、妄想・アイディアを聞く時には「正解・不正解」という価値観で話を聞いている自分がいる。他の価値観、ベクトルを見つけて、すぐに不正解のフィルターに入れないようにすることが大事。
たとえば、役所などは前例踏襲が多い。多様な人が参画することで波紋を起こすことができる。あとは、変化を起こそうとしている人を否定しないこと。いわゆる「ダイバーシティ&インクルージョン」の環境を作り、発信しやすい環境を整えないといけない。
Q.お互いリスペクトし、応援しあう心の余裕を持つにはどうしたらよいか
2章では、やる気をくじかれた大人や恵まれない子どもたちに『こころの教育』が必要だと書かれている。やる気をくじかれていたり、精神的に余裕がないと、前向きに何か変化を起こそうとしている人の揚げ足取りをしたり、否定的なことを言ってしまうのではないかという考えから生まれた問い。
リスクマネジメントは必要だが、失敗することを恐れていたらむしろ物事の発展性がない。失敗は当たり前という価値観・雰囲気がないとチャレンジできない。『異人』を潰すことにも繋がるかもしれない。
雰囲気作りにおけるポイントとして「心理的安全性」があり、場の中にデザインすることができる。「失敗」という言葉そのものがリスク管理という視点に繋げているのではないか。「検証できたかどうか」という視点で見ていくことも、雰囲気作りに影響しそう。
まとめ:「妄想をカタチにする」には失敗をしてもいい場づくりが必要
やはり、妄想がどんどん湧いてくる、妄想をカタチにするには、失敗は当たり前だよね、という場づくりが必要。
そのためには、学校教育や職場内のルール設計というマクロレベルな働きかけと、他者の妄想を聞くときの各々のスタンスや価値観のアップデート、否定しないで聞く・否定されないで言える雰囲気から生まれる心の余裕といったミクロレベルでできることを並行して取り組むことがポイント。
明日からのFirst Action
1~3章だけでも沢山の学びがありました。いくつか用意していた問いがどんどん繋がっていく感じもまた楽しかったです。最後にチェックアウトとして、明日からのFirst Actionを話してもらいました。
・読書会の後、シン・ニホンを最後まで読む!
・小さいことでも当たり前ではなく、こうしたらもっと良いと思うことを発信する
・専門のことだけでなく、リベラルアーツとして本をもっと読もうと思う。以前やろうとしていた中国語をもう一度勉強してみよう。
・自分事化して捉えて、妄想する。人も巻き込んで未来に繋がる提案をしたい。
・何のためにやっているのかを振り返る。やり続けても意味がないと思ったことは少しずつ変えていく、歯向かってみようと思う。
次回のお知らせ
シン・ニホンの読書会は、まだ2日目があります!
8月22日(日)10:00~12:00 オンライン開催
引き続き、<残すに値する未来>を妄想するというテーマで、2日目は4~6章をメインに対話を行います。
対象は、相談援助職として働いている方、人文・社会領域に関心のある方です。たとえば、臨床心理士・公認心理師・キャリアコンサルタント・社会福祉士・精神保健福祉士・スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカー・児童福祉司など。また、これらの職種を目指す学生さんや、人文社会領域を学び、別の領域で活動中の方も歓迎です。皆様のご参加をお待ちしております!
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