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園バス置き去り事故を起こさないために

*2022.9.8 追記しました

静岡の幼稚園送迎バスで亡くなったお子さんのニュースを見聞きするたび、ひとりの母親として、元保育士としても胸が痛みます。
これは「また起きてしまった」では済まされないことです。

本来、子どもを安全に見守り、安心して過ごせるはずの園での事故。
どうしたらこのような事故を防げるのか、考えたことをまとめました。

■保育園の現状について


今回、事件が起こってしまった幼稚園に限らず、多くの保育施設が国が決めた最低基準の人員で回して運営しています。そして、保育士の人数がギリギリだと感じていながら、保育士個々人のパフォーマンスに頼っている保育施設も多いのです。

国や都道府県には認可保育園・認定こども園・認可外保育園等の種別を問わず、保育園設置基準の見直しに加え、書類上のチェックだけではなく生きた監査を求めます。

園児の安全対策は、大切なお子さんをお預かりする保育施設としては基本的なことですが、保育士不足だったり確認不足だったりが重なると、ヒヤリハットの小さな事故は起こります。

保護者の方が大切に育てたお子さんを安心して預けるためにも、お子さんを安全に見守る保育士のためにも、保育園設置基準の改善を待つ間に、保育現場でできる安全のための項目をあげてみました。
保育現場の日々の忙しさはお察ししますが、どうかお子さんのために実践していただけますようお願いいたします。

■乗車時・下車時の確認

園バスに乗る際の確認は、もちろん行っていると思います。
ご家族へ引き渡す時の下車時の確認も、しっかり行っていると思います。

しかし、園へ到着した時、園児を室内に誘導するのを優先にして、車庫入れしたバスの点検がおろそかになってはいませんか?

もしかしたら…

園児がかくれんぼ遊びのつもりで、座席下に隠れているかもしれません。
バスに揺られて、座席に横たわって静かに眠っている子がいるかもしれません。

想像力を働かせて、下車時はバスの中や座席の下に人がいないか、忘れ物がないか必ず確認し、運転手と同行者でWチェックも行ってください。

■園バスの設備改善
園バスの設備の提案としては、ドラレコ(ドライブレコーダー)の設置や、バスのドアに乗車時・下車時の人数が合わないとエラー音が鳴るセンサーを取り付けるといいかと思います。

そのような設備は資金が必要ですからすぐには厳しいかもしれません。
しかし、駐車した後に園バス内をもう一度の確認はできるはずです。

どうぞ今一度、下車時の園バス内のご確認の徹底をお願いします。

■登園時の確認

タブレットによる登降園管理アプリイメージ

最近の保育現場では、タブレットやスマホ等で登降園の確認ができるアプリを導入している園が増えてきました。
私の娘が通っていた園もタブレット管理でしたが、必ずアプリの登園と本人の確認は行っていました。

保育士として働いていた時、それぞれの教室に入る際に、保育士が保護者と本人の顔を見て、体調などもお聞きしながら登園の確認するところもあれば、朝の会で「おへんじハイ」などでひとりひとりの名前を呼んで確認を行う園もありました。

そして、参加予定のお子さんがいないことがあれば、必ず保護者に電話してお休みかどうかの確認を行っていました。

■事件のあった静岡県の園の場合
今回の園バス置き去り事件があった園では、バス乗車時はチェックをして、登園時にそのチェック表を元にタブレットに登園の入力していたそうです。

毎日のことで慣れすぎていたかもしれません。
いつの間にか機械的に流れ作業的に、登園確認を行うようになってしまったのでしょうか。

もし、目視による確認をしていたら、その後登園したはずの園児がいないと分かり、そして担当保育士による登園の確認が行われたのなら…事故は起こらなかったことでしょう。

バス内に残されたお子さんの水筒の中身はカラだったそうです。
暑くなっていくバスの中で、ひとりで水分を摂取してなんとかしのいで…
そんな状況を思うと、保育士の立場としても保護者としてもいたたまれません。

福祉施設のICT化は進んでいて、昔に比べて便利になったと感じますが、機械的なチェックだけでなくアナログの確認もひとりひとりの園児に行っていただきたいと思います。

■保育園設置基準

保育園は「保育所保育指針」に基づき保育を行っています。
そして、保育園の設置運営に関することは「児童福祉施設最低基準」を元に定められています。

これは、園児1人に対しての保育スペースや、保育士1人で何人のお子さんを担当するかなどの、保育園を運営する最低限の基準内容です。

私が保育士として働いていた頃、0歳児クラスを担当していましたが、保育士1人で赤ちゃん3人を見ることもありました。
その人数は、設置基準的にはクリアしているのですが、お子さんを育てたことがある方は、きっとわかっていただけると思います。

ひとりの赤ちゃんを見るだけでも、手が足りないと感じることもあるのに、3人の赤ちゃんを1人でみることがいかに大変か。

少し想像してみてください。

3人の赤ちゃんがいて、ひとりの赤ちゃんのミルクを作る間に、もうひとりの赤ちゃんはオムツを変えてほしくて泣いていて、その上、寝返りしだした赤ちゃんが布団に顔をうずめて寝ている…

保育園児・0歳児

0歳児クラスだけでなく、安全面とより良い対応を考えたら、せめて基準の1.5倍の保育士を配置していただきたいとずっと思っていました。

最近では、保育士基準の2倍の職員を配置している園もあるとお聞きしましたが、多くの保育園ではまだまだです。

保育士の増員を実現するためには、保育園だけに改善を求めるのではなく、保育園へ支給する助成金も含めた国の保育園設置基準の見直しと、保育士に対する処遇改善費の金額見直しも必要だと考えます。

■ヒヤリハットの共有

ヒヤリハット、保育現場では日常的に耳にしている言葉だと思います。

ヒヤリハットとは、危ないことが起こったが、幸い災害には至らなかった事象のことです。
ハインリッヒの法則(1:29:300、分析により導かれた労働災害の発生比率)では、1件の重大事故の裏に、29件の軽傷事故、300件の無傷事故(ヒヤリハット)があると言われています。

厚生労働省webサイトより

ヒヤリ・ハットに該当する出来事が起こった時、それぞれの保育施設内で記録して、他の職員にもシェアすることになっています。

子どもにとって危ない箇所があれば修繕し、より気を配るところは注意して対応することが大切だと、わかっている方は多いことでしょう。
しかし、わかっているのと実際にできることは違います。

今日に限って見落とした、管理者は注意していたけれど、現場慣れして見逃してしまった。
わかっていたけれど、目の前で事故が起こってしまった…

人間はミスをする生き物です。
それを踏まえて重大事故を起こさないよう、基本の徹底と確認をしっかり行っていただきたいと、切に願います。

■最後に

保育現場は楽しいものですが、その分、大変さもあります。

園を運営する側としては、人手がない・予算がない・○○できないという理由はたくさんあるでしょう。そんな中、やりくりしてなんとか維持している保育園の事情もわからなくもありません。

でも、親の気持ちとしてはようやく生み育てた我が子が、事故や事件で命を失われるなんて、考えただけで身を切られる思いがします。

お子さんのより良い成長サポートを求められる保育現場が、保育士に負担がありすぎて離職率も上がり、安全な保育に支障がでる…良くない循環は、もうやめにしていただきたいと思います。

少子高齢社会と言われて久しい日本。
子どもを安全に生み育てられる環境が求められているのは、誰だって実感しています。

国葬に使う予算があるのなら、これからを担う子ども達に使っていただきたいと思います。
最後に、亡くなられたお子さんのご冥福と、ご家族の皆さんの安寧を…お祈りいたします。


*感謝* お読みいただいた上に、サポートまでありがとうございます😊 子ども達が笑顔になることに使います💕