寄稿詩人の紹介⑦ ~シーレ布施~
週に二度、詩誌ラ・ヴァーグに詩を寄稿している詩人を、一人ずつ、一問一答形式(10の質問)で紹介しています。
今回は、シーレ布施さんです。
それでは、シーレさんへの10の質問をどうぞ。
* * *
1)あなたはどうして「詩」を書いているのですか?
それがまだ分からないから、「詩」を書いているんだと思います。
2)「詩」とあなたに関する印象的なエピソードを1つ、教えてください。
とある賞を受賞したときに、編集者の方から、本名の方がよっぽどいい名前なのに、そんな変な名前で活動するのはやめなさいと止められたことが思い出深いです。でも、結局今もその変な名前で活動しています。
3)詩を普段読まない人に、詩集をお勧めするとしたら?
本屋さんで、表紙のデザインでも、帯に書かれた言葉でもなんでもいいので、その人の心が動いて、手に取りたくなった詩集を購入して読むことをお勧めします。
4)詩集以外でのあなたの愛読書は? 好きな理由も教えてください。
押見修造『惡の華』
私も中学生のときは、この漫画に出てくる主人公と似たようなことを思っていたので
懐かしい気持ちになれてすごく好きです。
5)最も好きなことば・座右の銘は?
「さあ、人間になりましょう」
6)子どもの頃、何になりたかったですか?
医者
7)最近のマイブームは?
最近は趣味の時間は取れないので、研究や勉強をする際の作業通話にハマっています。誰かと電話を繋げておくだけで作業に集中できます。
8)ご自身の代表作・自信作の詩を1つ読ませてください!(リンクも可)
題名・自殺
大学生のふりをしながら
コンビニエンスストアで
アルバイトをしていた
同僚にあたる高校生の少年は
「先輩ってなんで死んだんですか?」
と無遠慮に私に未開封の商品を手渡してきた
「医学部、行けやんかってん」
プラットフォームに落ちた
21歳、最後の後期試験
心の骨ごと砕かれたまま、
確か、母のまなざしを
繰り返し思い出していた
「望み通り
生まれ、生き、息することが
それができんくて、ごめん」
そんなことを最後に言った
まだ少女だった私の足取りは
震え、地にはついていなかった
すでに生きているのかも分からなかった
母は電話越しに
「もう、
好きに生きなぁよ」と呆れた声で言った
その落胆の肩のラインに
そっと点字ブロックで横になり、
やはり列車が来るのを待っていた
『私をホームから落として
私の身体を勢いよく減らして
私を私ではなくして
それから生きていると言って、』の
アナウンスをした
あれから、まだ
私は列車に轢かれ続けている
「ふーん、先輩
死んでよかったっすね、」の高校生の声が
レジ打ちの光る電子音と重なっていく
振りかえると、もうそこには誰もいなかった
『ぴーーーっ、』
9)本誌でどんな詩を書きたいですか?
また、これから本詩誌をどんな詩誌にしていきたいですか?
誤解されても構わないから、読んだ人の心を動かす詩を書きたいです。「La Vague」の次の発刊が待ちきれないよ!と思ってくれる、そんな読者さんがいるような愛された詩誌になってくれたら嬉しいです。
10)そのほか、ご自由にどうぞ!
これから宜しくお願いします!
* * *
以上、いかがでしたでしょうか。この先も、詩誌に寄稿する詩人をお一人ずつ紹介していきます。
次回の更新もお楽しみに。