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【来週刊行】La Vague Vol.3 巻頭言「~波の輪郭~」 雪柳あうこ

本エッセイは、まもなく発刊予定の詩誌La Vague Vol.3の巻頭言です。

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 子どもと手をつないだ後、ふと離す。涼しい空気が体温の名残を撫でて、汗で湿った感触が手の内にまだあることを知らせてくる。ふれていた、のだ。離れたとき、それが分かる。意識してふれること、あるいは意識せずにふれているもの。身から離れたからこそ象れる接面、あるいは刺激を受けずとも辿れる輪郭。走っていく子どもが夏のひかりを浴びて影になる。わたし、わたしたち、今、どこにいるのだっけ。詩を、歌を、ことばを紡げば、それがこたえとなっていく。

 女性詩人たちにより創刊した詩誌La Vagueは、準備号(Vol.0)、創刊号(Vol.1)、そしてVol.2と歩みを続けている。Vol,1は「うまれる」、Vol.2は「さがす」とテーマをもって号を重ねてきた。うまれて、さがし、そして今は、その先は。ーーその問いにこたえるための今号のテーマは「ふれる」。この世の波間で、世界の輪郭にふれて確かめるようなことばたちを、味わっていただけたらと願う。

 Vol.3にも2名のゲストを迎えた。短歌・詩等の文芸で高名な東直子氏は、連作短歌を寄せて下さった。病そして自らの身体を切り離すという経験を描くことを通じ、意識せずにふれていたものが離れる際の心象を端正に描いている。もう一人のゲストである詩人・小説家の水沢なお氏からは、「波」そして「ふれる」ことそのものに深く根差した詩を寄せていただいた。

 メンバーの自由作品もますます伸び伸びと、多彩さを増している。その他、今号の特集として、2024年3月に実施した合評・朗読会に関する記録を記した。また、今号より梁川梨里氏を新たなメンバーとして迎えた。
 大きく小さくうねりながら、わたしたちは己の、そして互いのことばの輪郭にふれて、また少し変わってゆく。そのふくらみをゆっくりと辿りながら、次の波へと。

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詩誌La Vague Vol.3 まもなくamazon他より発刊予定です。
noteでもPDFデータ(電子版)を販売予定です。
どうぞお楽しみに!


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