【エッセイ】詩人に水をやる シーレ布施
中二の頃、ひっそり書いていた詩か小説か
よく分からない曖昧ななにかを
当時、仲の良かった友達に頼んで、
読んでもらったことがある。
茶化すだろうと思っていたが、
彼女は真剣な顔でそれを読んで
「すごい!大人が書いたやつみたいだね」と
何度も褒めてくれた。
自分の書いた文章を人に褒めてもらうのは、
あの時が初めてだった。
彼女がくれた言葉を思い出すと
私は未だに心が跳ねる。
それは、あの時の彼女の言葉が
私の血肉となっている証拠だろうか。
いや、詩人となるための水やりを
してもらったと言うべきなのかもしれない。
彼女とは大学入学前に疎遠に
なってしまったが、
またいつかどこかで遭う機会があれば、
私に栄養素の高い水を
惜しみなくくれたことに
めいっぱいお礼を言いたい。
そして、果たして今でも
「大人が書いたようなもの」を書けているか
どうか、彼女に伺ってみたいと思う。
(写真提供:worie)
Instagram:@e_1891_o
※シーレ布施さんが詩「ここ始発ですから」を寄稿された詩誌La Vague vol.0はこちらより購入できます。
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