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【参加作掲載】寄せて返す波 part2(1/5~1/8)

こんにちは。詩誌La Vague事務局です。

返詩企画、「寄せて返す波」へのご参加ありがとうございました!

今回は2024年1/8 23:59で締め切らせていただいたみなさまのご参加されたものをまとめております。

たくさんのご参加ありがとうございました!
これから応募作はラヴァーグメンバーでありがたく拝読し、「詩誌La Vague vol.2」の紙面に一部を掲載したり、いろいろなコラボレーション企画を考えています。楽しみにお待ちくださいませ。

※時系列にそれぞれの媒体でまとめています。不備がありましたら詩誌La Vagueのメール la_vague_2023@gmail.com にご連絡ください。できるだけ早く対応いたします。ご参加くださった方のお名前は敬称略といたします。

なお、詩誌ラヴァーグ創刊号はこちらから購入できます。
POD(プリント・オンデマンド)という形式を使っていますので、発送までにお時間をいただく可能性がございます。なにとぞご了承ください。

電子版のデータをご希望の方はこちらからも購入できます。

◆Xからのご参加

草野理恵子(@riekopi158)

#ポエラヴ #うまれる #雪柳あうこ
青い草の中で目覚めた
草の中からたくさんの手が出て
僕を撫でた
手は緑色をしていたけど
手は深緑のところが穴のようだったけど
人の手だった

緑の手は僕の肉体が欲しいのか
所々えぐった
緑の手に僕の肉が載って
僕は「すいか」とつぶやいた

緑色の手は僕の赤い肉を手のひらにのせて
祖母が好きだった西瓜のふりをする
みんな並んで町へ繰り出し
信号待ちをする
やたら肉っぽくて(肉だし)甘さも無くて(肉だし)
祖母が好きだった西瓜には程遠くて
僕は泣く
青い草の中で

西瓜に似た手と僕
本当は何だったのですか?
みどりとあかのけもの

草野理恵子(@riekopi158)

#ポエラヴ #うまれる #シーレ布施
私は大きくなって足が醜くなったから
いつでも靴を履いた
靴でなくても靴下でも
足を見せることはなかった
でもいつでも裸足だった時がある

足の下を川が流れてるんだ
川の名前は知らないけど
それきっと「夙川」って名前だよ
どんな字?
かぜかんむりに一書いて夕
なんだか死に似てる?
詩?
いや死
そうかなそうでもないよ

夙川を知らない私は
死の川を渡る
詩の皮を被って
その皮を剥いだら?
なんだか少年の匂いがするね
そう?

神戸へ向かう最終便が出る
私は靴を脱ぎ空港で捨てた
詩の皮を剥ぎ
裸足で少年の匂いで詩の川を歩く

草野理恵子(@riekopi158)

#ポエラヴ #うまれる #向坂くじら
僕たちは白くて緑に輝く湖の中にいた
僕たちはとてもよく似ていた
薄く消えそうなのもいたけど

お母さんは湖の真ん中で仰向けになっていた
口を大きく開けていたので
入れ歯が落ちてずいぶん年寄りに見えた
お母さんこんな顔だっけ?
みんなお母さんの顔を忘れた

僕たち何人いるんだろう
頭が赤いやつが言った
号令をかけると「十二人」だった
昔11人いるって漫画を読んだ気がした
どんな話だったっけ?

いま僕はひとりで暮らしている
僕は「大きくなりすぎた」からね
僕の中の弟にご飯を食べさせる
弟は頭が赤い
数を12まで数えられる
お母さんの顔は忘れたまま

灘 奏子 Soko Nada(@cieleve4098)

#ポエラヴ #うまれる #佐山由紀
女性詩とは何だろうということでハタと立ち止まってしまったある日、それはあの初めての行為の最中にギシギシと腰の外れるつまり骨の軋む音に始まり、その後のどう見ても「私」とは異なる意思を分けた部位の痛みを通しての勝利であり、その勝利は恐らく生涯私を貫く人生の骨子となるであろうとあの日、股の間から血の出なかった私は男に征服されえなかったことを心底喜んだ。オーガズム乃至、エクスタシーには常にこの後心身の痛みが伴い、私が何に勝ち、何に服従しなかったのかを静かに問いながら私は女の詩として真に完成する。

青山勇樹✨新詩集『果てしない青のために』(@aoyamayuki1963)

いつからか
抱えきれないほどの赤い実が
からだのまんなかで
ゆっくり育ちつづけている
気づくのはいつも夏で
夕焼けも信号も
赤ばかり目がいくのは
いのちの色だからかもしれない
それにしても
かたく閉ざされた記憶が
黒い種子となって
数えるたび増えるのは
隠しておきたいことが多すぎるからかしら
いつの日か
この身がはじけ飛んで
そこらじゅうに種子が蒔かれたら
たくさんの真実が芽を出し
美しい花を咲かせることだろう
秘密のなかから
きっと
ほんとうの姿は生まれる
ごらん
見わたすかぎり赤に染まって
遠くに海鳴りが聞こえるから
その日はすぐにやって来る
#ポエラヴ #うまれる #雪柳あうこ

梁川梨里(やながわりり)(@riri_yanagawa)

#ポエラヴ #うまれる #草間小鳥子
きっとからだは生まれたい。窮屈な皮膚を突き破って、屈折して、そう、屈折して、うん、屈折して、そう、屈折して、もといたところへ。
わたしとあなたが共通言語だった頃、諍う言葉など脳内にはなかった。戦うって何?優劣って何のため?
みせてよ、今にも壊れそうな息が、今日も絶え絶えに明日へ続くいちにちが、明らかに寿命から引かれていく確かさを受け止める手を、足を。
折り畳まれた「なみ」ださえも、後向きのあなたにしか必要なかったことを。
終わらせないために生まれ続ける人間と人間以外が、乱反射する。おなかのすかない未知の角度に迷いませんように

梁川梨里(やながわりり)(@riri_yanagawa)

#ポエラヴ #うまれる #向坂くじら
八は縁起のいい数字でしょ、おかあさんは大事にしてるの
もちろん、あなたも大事よ
でもあなただけでいいはずがないのよ
おみちゃんのおかあさんも背が伸びたって?
それはよかったわ
あなたもたくさんおっぱいをつくって、みんなにおっぱいをあげればわかるわ
おっぱいがないと死んでしまうひとにおっぱいをあげると、助かるでしょ
ただそれだけのこと
おっぱいはいつもあったまってるから煮たり焼いたりしなくていいのよ
あなたのおっぱいは、
ふたつしかないの?
あら、困ったわ
もっとおっぱいが増えるようにあなたにもおっぱいあげるからおいで

たなか(@azplanetaz)

#ポエラヴ #うまれる #向坂くじら

天井を見ているのと
空を見ているのはあまり変わらない

覆い被さった君の躯を通り越し
コインロッカーの中身を思い出すのと同じこと

シーツの白さより少し汚い色をした
羽根のすずめであった

あの頃の私の手には軽過ぎる屍と
重過ぎる生命の片鱗を溢さぬように
いつつに裂けた指に力を込める

けれどもしらしら光るたましいが
指の隙間を通り抜け小夜風に攫われて
いく

しつけを取り忘れたスカートのプリーツに先生に叱られた丈の長さの羽根を靡かせ走ったらしい

コインロッカーの鍵をなくした
急いでいたからどこかもげてしまう

私のやらかいおへそに口付けをされ
布団を不意に破けば舞う白羽根が君と私の体にくっついて

羽根たちは夜明けに電線の方に
均等に並んでどこもかしこも
ただしくなる 薄いそら

都 圭晴(@V8iR2cMpeV0s6ej)

#ポエラヴ #うまれる #野宮ゆり
いつからでしょう
花びらには
雨上がりの雫がよく似合う
と 思いましたのは
透きとおる色彩は
いずこの
空へと
吸い込まれていくでしょう
いずれ 雨は降ります
そしてわたしは
雨上がりの花に出逢うのです
光、だと思います
吸い込まれるようにして
導いたのは
生まれても生まれても
誰も感じたことのない
遠さでもって
雫たちは
掬いあげられます
そしてまた 雲間から訪れる
わたしがいます

都 圭晴(@V8iR2cMpeV0s6ej)

#ポエラヴ #うまれる #紫衣
完璧に結ばれた球体 
なんて

地球の姿は歪に完成を施されている
と科学雑誌を読んで思った

何かを求めるように
日夜歩く
理由は知らない
心は歪に感性を導く
それだけでいい
もう 歩く理由でさえ歪で
説明など 持ち合わせてはいない

美しい海月のように
大いなる流れの果てで
生きるしかない

誰も知らなくていい
でも 一人でいい
分かってくれるあなたが欲しい
希望はいつも
ジグザグな円形でうまれる

愛を知りたい、遠くへ行きたい
希望を
なめらかな流線形にして
波に浮かべて 旅に出る

梁川梨里(やながわりり)(@riri_yanagawa)

#ポエラヴ #うまれる #野宮ゆり
まだ湯気がたつうちに逝ってしまわないのは、神さまとの約束までの時間があと少しあるからです

通り過ぎたものたちに匂いをつけ忘れていました。名前よりも先につけるべきでした

あなたが手繰るかおりに饒舌が満たないのは、
口が多すぎたせい

多すぎる口を回収して匂いに変え切るには時間が足らないようです

あとすこし増やしたところできっと足らない
でしょうから程よい頃合いで終わりにしましょう

用意された花瓶が、口を塞いで脳を空にして揺蕩う

終わりだと思っていたこれは、物語のはじまりなのかもしれない

たなか(@azplanetaz)

#ポエラヴ #うまれる #野宮ゆり

白線を辿っていけば見えてくる
言われた通り片足分しかないであろう
細い長い白線をゆらゆら歩く

初夏に不意に揺蕩うノスタルジックで
甘ったるい香りはくちなしだと
いつかお母さんが教えてくれた
あの花の渦がほどけて
足元に落下するので
拾っては背に飾り、
また拾っては背に飾る

薄闇をよぎる白いそれらは
水脈を曳くように
私の影と白線をなぞる
ゆらりゆらり
この足取りはあの人と同じ

軽い眩暈がする
差し伸べる手がある
白線はもうそこで終わりらしい

背についた花びらを
一つづつ並べて
また爪先、踵を置き
この手のあなたと歩み続ける
この花びらと残り香がある限り
多分

古瀬詩織(@siori_furuse)

#ポエラヴ #うまれる #向坂くじら

「花一文面」

肩を組んだ
私たち
背格好は色々で
でこぼこだけれど
私たち
肩を組む

肩を組んだ
私たち
美も醜も色々で
隣を見たくないれど
肩を組む
私たち

肩を組んだ
私たち
土地の多さは色々で
不公平だけれど
肩を組む
私たち

肩を組める
私たち

やな(@juni_sachika)

#ポエラヴ #うまれる #向坂くじら

これはひとつのエラーなのだと
冷静に上司が伝える
覗き込むと、シュレッターの暗がりに
わたしのいのちがつまっていたのだ
つまったままで、恥ずかしそうにこちらを見ている
知っていた、電源だけは消しておこうね
もう少しして、あなたは月を導くのだから

青山勇樹✨新詩集『果てしない青のために』(@aoyamayuki1963)

そうして
どこかから来た
初めてのいのちがあったなら
いつか
最後のいのちが生まれるだろう
あふれるほどの夢と希望と
叶えられなかった願いとともに
いままで生きたあらゆるものたち
それらすべてを
華やかな螺旋に刻みつけて
そんなひとつにすぎないけれど
あなたを抱きしめていると
なぜ生まれたか
わかった気がする
すべてはとうに用意されていて
ひとつひとつはじめから
名づけていけばいい
私とあなたがここにいるために
ほら
この星の空がこれほど青いのは
数えきれないたましいが
ひしめいているからだよ
最後のいのちが生まれた朝
青はまだ広がっているかしら
#ポエラヴ #うまれる #柊月めぐみ

todatori(@saxeb1ue)

#ポエラヴ #うまれる #雪柳あうこ
私の影から芽が出たのは
たぶん制服を着始めたころ
お尻が大きいと安産だとか
身体を冷やすとできないとか
そんな言葉を養分にぐんぐん育って
やがて巨大なすいかになった
潰されまいと私は逃げた
行く手にはピンクの旗が振られ
幸福のサンプルが配られてた
与えられることは求められること
差し出される手を振りきって
ようやく道の終わりに来た
もう求められるものはない
おめでとう私
ついに逃げ切りました
あんなに怖れていたすいかは
いまは萎んでかさかさで
指先で突くと弾けて消えた
なんだ
ただの水風船だったんだね

高嶋樹壱(@keytakashima19)

#ポエラヴ #うまれる #柊月めぐみ

からから、身体の鳴る音がする
閉じた目で見える抽斗のなかに
初雪、という熱だけがある

薄らぐことで続いているもの
裏返して書くかぎ括弧たちが
泳いだらゆける陸だったこと
退くに退けない水、ここは
時圏のような画用紙の外
眠るあいだだけ、忘れずにいる

できていく骨格のどこかが
巻き戻せないみたいに軋んで
こわくて、けれど
あたたかくて
籠める肢(てあし)で殻を結ぶと
そこから孵る息が聴こえる

冴えた世界で迎える夜も
いつか化石になるのかな
探し足りない君の素足は
寂しさで白く満たされている
何も知らないふりばかりして
月の綻びに小指を浸す

妻咲邦香(小さな気持ち)(@chiisanakimochi)

どういうアレなんだっけ?
三分も待てずにカップ麺に顔を近付けて
眼鏡が曇る

右の手の甲には刺さったままの鉛筆の芯
まだ色を残して主張している
記憶にはない
生前母は火傷の痣だと言ってた
が、絶対に違う

もうすぐ消える
忍び寄る皺に紛れて見えなくなる
そうして思い出さなくなる前に

私の方から忘れるという方法が

母は目玉を置いて消えていった
いやそれは心臓なのだが

眼鏡を外す
老眼でも手元なら却ってよく見える
どういうアレなんだっけ?
さっきあの人が言ってたこと
#ポエラヴ #うまれる #紫衣

妻咲邦香(小さな気持ち)(@chiisanakimochi)

弔いの後でとつとつと帰る
またね、と言って手も振らず
覚えてる読経の1フレーズ
声の張りがそこだけ違う
実った後が特別過ぎて
仕舞う場所が見つからなかった
少年院の裏手には鉄棒があって
ここから町が見下ろせる
僅かばかりの熱を分け合って
でも卑怯者だから天には返さなかった
皮は虫が穴を空けた
甘い部分は鳥が食べる
煙の色が変わったら収穫祭も終わりね
いっそ海まで見えたらいいのに
いつかまた来ようね、と言って
一度行ったきりの港
までは遠かった
君よ、薄ぺらな地層となって
三角州の頂点でも塞ぐつもりか
#ポエラヴ #うまれる #向坂くじら  豊穣

葉山シュロ(@shuro_palmiers)

#ポエラヴ #うまれる #紫衣

満月の夜に私は生まれた
まあるい雨粒 氷の球体 
海の泡
それは透明な揺らぎ

大いなる河が波打って 
白い花弁が流される
先にあるのは 底の見えない深い青

不可逆ではないこの生は
やがて大地へと還される
それはたわわに実る柘榴を持つ 
私の母のいる処

妻咲邦香(小さな気持ち)(@chiisanakimochi)

不時着する
こんにちは
まずは今日の天気から
握っていたもの開いて見せて

ついぞ起きなかった奇跡
最後にわかったこと
格好いい終わり方なんてない

嗅覚高めて卵に敬礼
友だちみたいにゆるふわで
どうでもいいよと言いたいけれど
どうでもよくない日常が
少しだけ怖いから
操縦桿をしっかり握って
目的地を確かめて
かけがえのない七色の
何とも生意気な景色

珍しく自分を俺と呼んでしまった日
教えられたんだ
僕たちずっと落ちていた
おそらくもうすぐ地面

不時着する
ありがとうパイロット
そしてこんにちは地球
滑走路を大きく外れ
生まれる筈だった土地へ

#ポエラヴ #うまれる #草間小鳥子

◆Instagramからのご参加

Instagramのラヴァーグアカウントもあります!
https://www.instagram.com/la.vague_2023/
チェックしてみてくださいね!

◆メールからのご参加

しおん

#ポエラヴ #うまれる #紫衣
「卵(らん)を置く」

卵を
水面に置く

そっと
生命のみなもとに
還す

しおん

#ポエラヴ #うまれる #紫衣

「目覚めの息」
ふるふると
震えるのだ

やわやわと
揺らぐのだ

自らを包む
なまあたたかい
半透明の世界は

時を知り

その薄い皮膜に
崩れゆく兆しを伝える

目覚めの息よ

生まれでんとする
歓喜を湛え
あぶくとなれ

皮膜が溶け出し
溢れ出す羊水に
弄ばれながら

軽やかに波をつかめ

そして

わたしは

ふるふると
やわやわと
まとわりつく世界を振り払い
すっくりと立ち上がる

なかやまあすか

#ポエラヴ #うまれる #雪柳あうこ

「はっさく」

真夜中にこっそり食べた、はっさくのタルト
きりっと甘くて、終わってほしくない日曜

吉祥寺の路上に浮かんだマンホール
地図に追いつけないジーピーエス
毛糸のほつれた手袋を外す

23日ぶりの友達
喫茶店に溢れる焙煎の水蒸気
注文したのはアイスコーヒー

愛媛みかんの福袋
3年ぶりのおみくじは中吉で、凶は入ってない模様
私の中に生まれた黄色い炎

真夜中にこっそり食べた、はっさくのタルト
きりっと甘くて、終わってほしくない日曜

どうか明日まで消えないで

室園 美音

#ポエラヴ #うまれる #草間小鳥子

「見せてもらった」

緋寒桜の枝先がうっすらと赤い
花芽を育てている
それに目が追い付かないだけ
強い生を思わせる濃いピンクの花に
はらはらと散る儚さはない
雨風にも負けず散るときは花全体が落下する
死を内包して生まれる
記憶のヒダ中に在るものが
あるいは後ろ向きに生まれては死につつある中に生きている人を温める
折り畳まれた記憶のヒダは 波間に光る一瞬の輝き
プリズムで分散されたひかりの外の色も折り畳まれている
「なみ」だから
波が満ちる満月のサンゴの産卵も
かけがえのない消失(そして発生)
目を閉じると
咲き還る花も終わらない波も
見せてもらった

しおん

#ポエラヴ #うまれる #向坂くじら

「優しい影」
橋の下は
振動が子守唄だった
という

軒下に
猫とくるまっていた
という

外灯の下で
青白い影に覆われていた
という

いくらかのエピソードを
記憶の代わりに
携えて

どこから来たのか
どこに行く途中だったのか

足の親指を
くわえるのに飽き

身体をゆすり
寝返る

問いは
埋火のように
記憶の底に沈め

そして

首をもたげ
決然と進む

差しのべられた影から
這いずり

のたうつ跡を
ぬらぬらと
光らせながら

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