【FF14】未だ交わらぬ縁【創作】
まだウルダハに来て間もない頃、ひとりの冒険者と少しだけ話したことがある。黒いローブに身を包んだ、エレゼンの女だった。恐らく相当の実力者であろう彼女は、突然こちらに話しかけてきたのだ。
「ねえ、君たちって新米冒険者ってやつ?」
特に否定をする必要もない為、そのときは肯定した。
「ふ~ん。この世界はいつだって新米がいるもんなんだなぁ」
そのエレゼン女性は呪術師のような身なりだった。魔法を扱うのが得意なのだろうか。ドラゴンの意匠が特徴的なモノクルと、ぼんやりと光る朱色の玉がついたピアスが印象に残っている。
「これから先、きっと君たちは特別な経験をたくさんすると思う。でも、振り返ったときにきっと全てが尊く、大切なものになっていると思うよ」
突然何を言い出すのか、彼女の言うことはよくわからなかった。激励してくれていることはわかるが、如何せんスケールが大きすぎてイメージがわかない。
「ま、冒険者になったばっかでそんなこと言われても困っちゃうよね。とにかく、今は目の前の冒険に全力出すこと!ベテランで最強冒険者のお姉さんからは以上だ~!」
エレゼン女性はからからと笑い、踵を返す。その足は中央ザナラーンへと出る門へと向いている。
「きっと、君たちの旅路が素敵なもので満ち溢れていますように」
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