復讐か報復か。
復讐は与えられた害に対する行為というよりも、
害を与えられたことによる深い恨みを晴らす
という感情的な部分に重みを置いた印象となる。
報復は感情的なことよりも、
与えられた害に対しての行為で
復讐に比べ計画的で冷静沈着な印象となる。
10月11日から12日にかけての夜、彼は病んでいた。
酷く不安になっていて
「大好き」さえ言わなかった。
9日の夜、私は彼に斬り捨てられたので
彼に復讐をしようと思った。
「弱り目に祟り目」
そんな言葉が頭を掠めた。
彼に送る復讐の文章を考えているうちに
段々と不憫に思えてきた。
「(有象無象に)自分は愛されてる」
と思っている人ほど可哀想な人はいないのではないか。
同調圧力に屈して、自分を持たず、
場を乱さず言いなりな人達を
有象無象と言わずなんと言うのか。
すべからく、私は有象無象でありたかった。
有象無象であれば永遠に添い遂げられるだろうから。
でも自分が強過ぎて隠せなかった。
彼が好きだから隠せなかった。
そもそもその状況下で全く病まずに
「大好き」の感情だけで何ヶ月も添い遂げてる女は
頭がおかしいのではないかと思う。
好きな男が他の女に対して「可愛い」と
言ってるのを受け入れてる状況。
普通に考えて異常。
盲目以外の何物でもない。
彼女達が故意に見ようとしていないのかもしれないが。
私は好きならば独占したいのが当たり前な女。
自分だけの男であって欲しい。
さて、人間の5つの基本感情は
「楽しみ・嫌気・悲しみ・恐れ・怒り」
中でも怒りが1番強いという説がある。
彼が憤激または激昂すれば、
不安や淋しさ、悲しみが薄れるのではないかと思った。
なので、私は罵詈雑言を連ねた。
彼が私に投げ付けた言葉を一つ一つ丁寧に反論した。
嘘をつかれた事にはあえて触れなかった。
何故なら彼は息を吐く様に嘘をつく人だから。
結果、私の連ねた罵詈雑言は彼に届く事はない。
例え彼の悲観的な感情を消せるとしても、
一時的でも彼の事を傷付ける選択は
私には出来なかった。
私のメールBOXに保存したままになってる。
彼の声に元気が無い事を悟っても、
それに触れられない女になってしまったから。
私が今日やったこと。
精一杯の罵詈雑言をメールBOXと心の奥にしまった。
復讐は勿論失敗。
報復は「計画的で冷静沈着」という点では
むしろ成功したのではなかろうか。
多分、きっと私は彼を愛してる。
もう一生その手を広げてくれないのに。