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きらめく碧とうつくしさ

ひとりで、淡路島に行った。

初めて乗った電動自転車で、海沿いを走り、山を2つも越えて南あわじ市の市街地を抜けて洲本温泉に戻ったのだけど、初めての経験に目をずっときらきらさせた。

洲本温泉の宿を出発して、目的地を決めないまま海沿いをひたすら走っていくと、左手にずっと続く海に、太陽の光が映って碧い宝石がきらめいているようだった。

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いままで、海は悲しさやどうにもならない鬱々とした気持ちを洗い流して慰めてくれるという存在だったけれど、今回私が見た海は、時に胸が抉られるような事や、全部を投げ出してどこかへ消えてしまいたいことがあっても私はきっと大丈夫、どこだっていける、それは人生の肯定だ、と思わせてくれる、うつくしさを明るく照らしてくれる存在だったと思う。

たしかに山を上って行く時は、少し不安だった、このままずっとしんどい上り坂なのか、いつか下り坂になる時にはもう体力を失っているのではないか、と。ここで止まっても誰にも目を止められないのではないか。息を切らして、吐く息がどんどん上がって、うだるような暑さも相まって目がじんじんと痛くなった。

それでも、やっとやっと峠を越えて下り坂をかなりのスピードで走って行くと、突然目の前に大きな海がまた広がっていた。この向こうに、星屑のようにかがやく青い海が見える。それは生きていることの肯定だと、私は思った。

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いつだって喜びを感じる時間は長く続かないし、耐えられるのかもうわからないような地獄の季節もいつか、いつか終わる。その繰り返しでみんないつの日か死んでいく。それでも、ここまで生きてきたことを私はうつくしいし讃えられることだと感じている。

明けない夜はないよ、なんて型にはめた綺麗なゼリーのような言葉なんて何の意味もないでしょう。だってずっと続く黒い夜を過ごし続けたことのないひとに、何がわかるの?

それでも、あなたにこの色とりどりの花束のような海を見せたいと思った。あなたの過ごしている日々も、私の過ごしている日々も、波のように寄せては引いて、潮風に靡くように動いている。

こうして走って、潮風の香りを目一杯吸い込んで、太陽の眩しさに目を細めて、まるで風のようになった自分を、流れる汗を感じて、ひたすら続く道なりに進んで、たまに休んで。

こんなときめきを、また自分で感じられると思わなかった。大丈夫だ、二歩進んで一歩下がるような毎日だけれど私は生きていける。

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