調布の番長
一週間前の話。
僕はこのコロナの影響で潰れてしまったバイト先の人たちと調布駅の居酒屋で呑んでいた。
ひとしきり会も盛り上がり、何人かの人は帰り5人ほど残った。
居酒屋から外に出ると、とても気持ちいい、ちょうどいい気候だったので少し外で話そうということになった。
調布駅に初めてきたのだが駅前に大きなホールのような施設があり前になん個かベンチがある広場があった。
そこの汽車を模したベンチで喋ろうということになった。
30〜40分程話をし盛り上がっていると、大きな声で電話している男性の声が聞こえる。
僕らの座っていた汽車を模したベンチの数メートル横には、円になって並んでいるベンチがある。
そこには女子大生のような人がコーヒーを飲んでいたり、はたまたお酒を飲んでいる人が何人かいた。
電話をしている男性はその円になっているベンチの真ん中で大声で喋っている。
完全にヤバめの人だった。
一二分経つと、我慢しきれなくなった女子大生のグループが逃げるように去っていった。
そして一人二人といなくなり、円の真ん中で男性だけが残る。
こちらのほうに寄ってきた。
おれは喧嘩はしねーよ!!
また昔みたいに警察のお世話になっちまうからよ!!
完全に僕らを脅しているような感じだった。
男性は180センチ、よく鳶職のひとがきているニッカポッカをはいていた。缶チューハイを呑んでいる。
怖いなぁ〜と思いつつなるべく見ないで、会話に集中しようとしていた。
しかしだんだんと近づいてくる男性。とてもうるさい。みんなの声も聞こえづらくなるほどに大きな声で喋ってくる。
うるさいなー…
僕の心の声が飛び出てしまった。
独り言なんだからいいじゃねえか!!
一同爆笑。
いや、聞こえてんのかよ!!
心の中でつっこんだ。
てゆうか独り言なのかよ!!
電話してるフリはなんなんだよ!!
その後も男性は電話をしたフリ?をしながら大きな声で喋っている。
いや、たまたま会話のようになってしまっただけで本当に電話をしているだけのかもしれない。
無視しているとさらに近くなりもう、他の人から見たら一緒のグループのやつに見えてしまっている。
ちょっとヤバそうだからいい時間だし引き上げようか?という話になり。帰る準備をしていた。
雨だ。
一人がそういった。
ポツリポツリとと降ってきていた。
すると
この雨はおれの涙だよ!!
一同爆笑。
なんなんだこいつはーって気になってきたが、もちろん喋ろうとはおもわない。
僕らは駅に向かって歩き出す。
遠くになる男性はまだ何か喋っている。
おれは調布の番長だ!!
若ぇ奴には焼肉でも食わしてやりたかったんだけどよ。
一同爆笑。
駅に着いた。
最初はうるさくてイライラしたが、なんだか笑ってしまった。
電話をしてるふりして僕らに近づいて、あわよくば仲良くなって飲んだりして、友達になりたかったのかなだけなのかな?
そんなことを話しながらみんなと帰っていった。