ラッセル「The Conquest of Happiness(幸福論)」を解釈する(11)
Bertrand RussellのThe Conquest of Happinessについて、学習の忘備録として、文構造の解説的なものを残します。内容的には下記の続きです。
these three pessimistsが指示する内容はMr. KrutchとByronとthe author of Ecclesiastesです。arrved atを動詞句として捉えて、S V O M2 M1と捉えられます。M2はafter reviewing the pleasuresで主節のVを修飾、M1のof lifeがthe pleasuresを修飾しています。
;(コロン)で区切られた分はそれぞれの文としては比較的平易な構造です。
Mr. Krutch has lived in the most intellectual circles of New York;
S V M2 M1の構造でM2のin the most intellectual circlesは主節のVを修飾、M1のof New Yorkはcirclesを修飾します。Mr. Krutchはhas livedと現在完了形が用いられており、Russellと同時代の人物であることがわかります。
Byron swam the Hellespont and had innumerable love affairs;
S V O and (S) V Oの構造です。the Hellespontはa former name for the Dar Danellesです。「ダーダネルス海峡」の古い呼び名ということです。andの後にはhe(Byron)が省略されていると考えられます。このように、動詞に対する主語が前出の動詞と共通の主語であれば基本的に省略されます。swamとhadという過去形が用いられており、ByronがMr. Krutchよりも前の時代の人物であることがわかります。
the author of Ecclesiastes was even more varied in his pursuit of pleasure;
S M1a V M2 M1bの構造です。M1aはof Ecclesiastesでthe authorを修飾、M2はin his pursuit of pleasureです。M2はwhile he pursued a pleasureのように考えることもできます。文として変形して考えてみると、解釈として文の要素が表す意味がはっきりするのと、訳文を書く必要がある場合は、より自然な訳を書くことができるので、意識してみると良いでしょう。同時はwas variedでこれもMr. Krutchよりも前の時代のことであることがわかります。
he tried wine, he tried music, "and that of all sorts," he built pools of water, he had men-servants and maid-servants, and servants born in his house.
heはthe author of Ecclesiastesと考えられます。"and that of all sorts"は"and (he tried) that of all sorts"と考えられ「直前の文と似たようなことは皆試した」と考えられます。he had men-servantsで始まる文はS V O and O, and O M1の構造でM1のborn in his houseは直前のservantsのみを修飾しています。A and B, and C M2の, andの部分がM1の修飾する部分を明確にしてくれていると捉えられます。
M2a M2b S V M2cの構造でM2aのEvenはM2bのin these circumstancesを強調します。M2bは主節を修飾、M2cのfrom himはdepartedを修飾します。ここではdoesn't depart from himではなく、depart not from himと表現されています。これは古語的な表現で現代ではあまり用いられない否定の使い方です。
Neverthelessは逆接を導く表現、S V that S V C, S (V C)と捉えられます。thatが導く名詞節はwisdomまで続きます。even wisdomの後にはis vanityが省略されていると考えられます。「それでもなお、万物を虚しいと認識する、知恵すらも」という意味になります。