ラッセル「The Conquest of Happiness(幸福論)」を解釈する(10)
Bertrand RussellのThe Conquest of Happinessについて、学習の忘備録として、文構造の解説的なものを残します。内容的には下記の続きです。
S Vに続いて、Oに当たる部分は旧約聖書の伝道の書の引用となっています。
Whereforeは「それが故に、それで」という表現で、古語にあたります。文構造としてはS V O M1a more than (S V) O M1bです。 whichはいずれも主格の関係代名詞でM1aのwhich are already deadはthe deadを修飾、M1bのwhich are yet aliveはthe livingを修飾しています。比較級は原則として等しい文要素を比較するという原則から、
I praised the living which are yet alive
のようにthe livingの前にはI praisedが省略されていると考えられます。
are already deadとare yet aliveは死と生の対比ですが、alreadyとyetというそれぞれの副詞がそれぞれのニュアンスをより強調しているという関係にあり、そのコントラストをより鮮明にしています。
better is he than both theyは倒置の文で、
He is better than both they
と考えられます。倒置によって前者2つよりも良いものは、というニュアンスを強調するしていると考えられます。theyが指示する内容は前文のthe deadとthe livingです。hathはhasの古語表現、whichとwhoは主格の関係代名詞でtheyをM2として修飾しています。主格の関係代名詞that以下はthe evil workを修飾しています。
全体のニュアンスを要約すると、「生と死なら死の方がいいが、それよりも良いのは生も死でもない状態だ」という内容です。