テレワーク労務管理【事業場外みなし】
テレワークが一般化した現代ではそれぞれの会社で様々な労務管理が行われています。その中ではいくつかの悩ましい問題が散見されます。今回は、事業場外みなし労働時間制を採用した場合にフォーカスをあて解説してまいります。
事業場外みなし労働時間制とは
労働者が労働時間の全部または一部について労働時間を算定し難いときは所定労働時間労働したものとみなすことが出来るという制度です。注意点は労働時間を「算定し難い」ときという部分の解釈ですが、以下の部分について留意しましょう。
(ア)情報通信機器が使用者の指示により常時通信可能な状態におくこととされていない
(イ)随時使用者の具体的な指示に基づいて業務を行っていない
ガイドライン
実態として、上記2点を満たしているのかは気になるところです。例えば労働者自身が自由に情報通信機器から離れることや通信可能な状態を切断することが認められている場合や会社から支給されている携帯電話の即応が義務とされていないことが明らかである場合は(ア)に該当するとされています。
また、(イ)については、例えば業務の目的、納期などの基本的な指示をすることや変更の指示をすることは(イ)に記載する具体的な指示には含まれません。
在宅勤務手当
手当として一律に支給する場合は割増賃金の基礎に含まれてしまいます。残業が発生しなければ良いのでしょうが、実態として残業があった場合、残業代の時効が5年(当分の間3年)に延びたことからも、黙認すべきではありません。
そこで、一律の手当とするのではなく、労使合意のもと賞与に付加して払うことや実費補填であることを明確化して払うことで割増賃金の基礎から除くことも可能です。
在宅勤務解除
在宅勤務の「取り消し事由」を入れておくことが妥当です。明らかに仕事の成果が落ちているケースや、合理的な理由がないにも関わらず出社を拒み続ける場合などに根拠となる規定がなければ会社としての主張も弱くなってしまいます。
他には、在宅勤務の場所です。機密性の高い情報で仕事をするにも関わらずカフェで仕事をするという選択は適切ではありません。「会社が認めた場所」と明記しておくことで十分な根拠規定となります。
事業場外みなしでみなす時間
労使合意のもと何時間で行える業務なのかを決定しておかなければなりません。使用者側が一方的に7時間みなしとしても、実態として10時間かかってしまうような場合は、遡って残業代請求されるリスクもあります。
短期的に使用者側が労働者を納得させたようにその場をおさめても長期的には重大な労務リスクになるので、注意が必要です。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?