長崎・熊本の旅
令和5年(2023年)7月,鉄道写真家と列車撮影の旅ができて最新ミラーレス一眼カメラもレンズも借りられるというツアーに参加した。この手のツアーは初めて。最近撮影する写真に代わり映えがなく面白味がなくなってきたので参加を決めた。JR九州のD&S列車を撮影でき一部は乗車もできるという事も理由の一つ。写真家をほとんど知らない中で,久野知美さんのトレインカフェや鉄道写真Rで知っている村上悠太さんの講義が聞けるというのもあった。
1日目 大村前乗り
ツアーは新大村駅に朝9時半集合なので当日朝に長崎空港に着く飛行機でも間に合うが満席になっていたので前乗りして少し観光する事にした。特に当てもなく空港からホテルまでの3~4kmを歩きながら散策でもしようかと考えていたが,ちょうど2023年7月4日放送の妄想トレインで諫早や島原が紹介され,大村からも近いので行ってみることにした。
15年ぶりに飛行機に乗って長崎空港へ。長崎県に降り立つのも15年ぶり。そのままバスで本諫早へ行き,島原方面行の列車が来るまで沿線で少々撮影。
島原港行の列車に乗って大三東駅に向かい,海に近い駅と幸せの黄色いハンカチを見てきた。天気は大雨の翌日という事もあり曇り空。反対側のホームに行くと撮影スポットがあってこのような写真が撮影できる。
どれだけ海に近いかというとこの様にホームの端は断崖絶壁。夜は注意した方が良い。
そして幸せの黄色いハンカチは開いている場所を見つけてこのように自分で掲げる。黄色いハンカチは駅に設置されているガチャガチャで購入できる。500円。駅には駅ノートと共にペンも用意されているのでその場で想い等を記載する事ができる。筆者はそんなにすぐに書きたい事を思いつかないのでやめといた。
島原まで行きたいがホテルに着くのが夜遅くなるので諫早に戻る。諫早行の列車が来るまで駅周辺を歩いてみた。確かにこういう事でもしないと一般の観光客は訪れないような場所である。大三東は無人駅で対向ホームへは線路へ降りて渡る。
最後に乗車する諫早行の列車と黄色いハンカチを合わせて撮影してみたが望遠レンズでは厳しい。
諫早駅に到着。妄想トレインで紹介されていた駅ピアノを見てみる。着いた時は高校生2人程が弾いていた。筆者はこの様な場所で弾けるほどでは全くないので眺めるだけにしておいた。新幹線が止まる駅だけあって立派な駅舎であるが,飲食店などは控えめに言ってあまりない。
2日目 ツアー初日 長崎
撮影は大村車両基地から始まった。ここで機材の貸し出しがなされる。借りられたカメラはEOS R6 mark IIと,レンズがRF24-105mm F4 L IS USMとRF70-200mm F2.8 L IS USM。その他広角ズームレンズRF14-35mm F4 L IS USMやRF15-35mm F2.8 L IS USMも適宜借りて撮影することができた。高速連写撮影に対応するSDカードは自分で用意する必要があったが,普段CFしか使わないのでSDは持っておらず,いろいろ調べてSDXC UHS-IIに対応するSONYのSF-E256を購入した。2日間の撮影旅行では256GBで充分であった。
大村車両基地
正式名称が熊本総合車両所大村車両管理室である旨やJR九州の方,CMJの方の紹介があった後,まずは屋上から西九州新幹線N700S系8000番台かもめを撮影する。ミラーレス一眼カメラは初めてなのでここでカメラの使い方などに慣れておく。AFフレームがEOS 5Dm2とは全然違うのでどうやって調整するか悩む。その他の設定変更も知らない機能がいっぱいで苦労した。ところで山陽新幹線の六甲トンネルの上にもまた行きたくなった。
続いて車両基地で検査を受けている列車の撮影を行う。行先は特別なもの表示してくれていた。のぞみとひかりか?
車両基地の中ではホワイトバランスをわざと変更して近未来的な絵にすることもできる等の紹介もあり,実際に撮影してみた。RAWで撮影しておけば後でいくらでも変更できるのではあるが,それ故にその場でいろいろ変更してどんな感じに写るのか確認する事もいくらでもできるので試してみた。
ここで広角レンズに交換して車内を号車ごとに撮影する。その前に外でも撮影。広角レンズ独特の歪みがまた面白い。そして誰もいない車内を撮影できるのはツアーならでは。新車の紹介などでよく見かける報道写真の撮影方法も教えてもらったり,案内放送も流してもらったりと撮影以外も充実していた。そして広角レンズでの撮影が楽しい。24mmが普通に思えてくる。
警笛も吹鳴してもらえたのでR6の動画撮影機能を使って撮影してみた。レンズは「RF24-105mm F4 L IS USM」を使用。5Dm2とは動画の質も音声も全然違う。ファイル形式も従来のMOVからMP4になり扱いやすくなったのも良い。
大村湾を望む長崎本線旧線沿線
次に向かったのは長崎本線旧線の大村湾沿いを走る沿線,東園駅の近く。ここで西九州新幹線と同時に運行を開始したふたつ星4047を撮影する。
まずは1ヶ所目。やさしくて力持ちのYC1系が通過した。床にQRコードがデザインされているあの車両。
少し移動して別の撮影地へ。ここでふたつ星4047を狙う。3両の側面を全て入れられたのは良いが湾に沿った線路が切れた。三脚を持って行っておらず手持ち撮影していたので残念な構図になってしまった。
ふたつ星4047が過ぎ去ったところで線路の方に歩いていく。その道中でも先生の講義を受けながらいろいろ撮影。夏らしい景色も撮影できた。
かもめの聖地 松原
この日の最後は再びかもめを撮影できる場所に向かった。ここは最近話題になった,かもめの撮影を歓迎されるだけでなく,土地の所有者が撮影者のために飲料の自動販売機とベンチを設置された場所。今回は地元の方々からツアー参加者へプレゼントがあり,とても歓迎されている事が伝わってきた。その様子は地元メディアに取材され後日紹介された。
この日は特別に鉄道写真家の福島啓和さんも同行されていてこの様にご感想を述べられている。
私有地ながら撮影場所として提供して頂いている場所は上記の記事の様に結構な断崖絶壁になっている。周りは棚田が広がる傾斜地。そこから見下ろす形でかもめを撮影できる。
東海道新幹線の様に数分おきに通過するわけではないので,撮影の合間にプレゼントを頂いたり他のツアー参加者と談笑しながら列車が来るのを待つ。雲の動きも面白い。そしてだんだん日が沈んできた。
本日の最後の撮影を終えた後はバスで新大村駅まで移動し,いよいよ西九州新幹線かもめの営業列車に乗車する。新大村駅では松原で別れたはずの地元の方々がホームでお見送りしてくれた。
短い乗車時間の後,武雄温泉駅で885系のリレーかもめに乗車し博多のホテルを目指す。885系も久々に乗るので車内を散策。黄色い帯の白いかもめ時代以来なので,SONICのロゴがあるのも新鮮。実に贅沢なつくりの列車である。
リレーかもめの車内では大村の食材をふんだんに使ったお弁当が提供されお腹も満たされた。これで初日は解散。
3日目 ツアー最終日 熊本
結構豪華なホテルの朝食を20分で食べてバスで出発。直接この日最初の撮影地,熊本県の豊肥本線立野に向かう。天気は快晴,この場所でこの天気は珍しいらしい。
立野
最初に来たのはキハ200系,真っ青な空と木々の緑に真っ赤の車体がよく映える。
目的の列車はあそぼーい!。キハ183系はゆふDX時代に乗車した事がある。いぶたまと言いこれと言い,白系と黒系のツートンカラーは露出設定が難しくないか?阪急のマルーンとアイボリーも似たようなものか。そしてキハ185系の九州横断特急あそも撮影できた。
続いて近くの災害復旧現場に向かう。ここでは「特急かわせみやませみ」を撮影。どこも景色が美しいからたくさん写真を撮りたくなる,出来栄えはさておき。
この日の前日2023年7月15日は南阿蘇鉄道が全線復旧した日であり,立野駅に列車が戻ってきた日である。トイレ休憩の為に少しだけ立ち寄って,立派になった駅舎や復旧に向けて新製されたMT-4000形に出会う事ができた。立ち寄った数分でもプロの写真家は冷静にしっかりと撮影されているのはさすが。
三角線 赤瀬駅
立野からバスで宇土駅に向かい,三角線に乗車。キハ147形が来た。目的地の赤瀬駅までの間に車内や窓からの景色も撮影した。広角レンズが借りられるので車内が撮影しやすい。
赤瀬駅に到着し,何ヶ所か構図の講義を受けそれぞれに適したレンズを使って撮影してみる。台湾の様に見える構図で挑戦してみたり,自分のカメラとレンズを使って通過するA列車で行こうも撮影した。森の中にある駅が良い感じ。
本ツアーとしての撮影はここですべて終了。最後に三角駅に向かって三角線を完乗。A列車で行こうに乗って熊本に向かう。車内ではこの列車でしか買えないデコポンハイボールを飲んでみた。普段ハイボールは全く飲まないがものすごくおいしい。買い物や車内散策をしているとあっという間に熊本に到着した。
熊本駅に到着したところでツアーは解散となるが,その後30分ほどでSL(DL)人吉が入線するので動画で撮影してからカメラ・レンズを返却して皆さんとお別れした。
熊本観光
ツアーが終わってもまだ陽が出ているので近くを散策してみた。阪急系列のアルナ工機製の路面電車に乗って上熊本駅に向かい,くまモンだらけの熊本電鉄に乗って北熊本へ。日が暮れたので駅前を少し散策して上熊本に帰ろうとしたら終電が行ってしまった。20時半過ぎが終電なんて早すぎる。まだ走っていた藤崎宮前行に乗って,約1km歩いて路面電車に乗り換え熊本駅まで戻った。
4日目 SL人吉撮影
せっかく熊本まで来たのでもうすぐなくなるSL人吉を撮影するために田原坂駅から徒歩25分ほどの生野踏切に向かった。この日も良く晴れた。ここからは写真の講義を受けた効果が出ていれば良いが。撮影後はありがたいことにご一緒した地元の方が車で駅まで送ってくれた。
最後に乗車する新幹線を撮影し帰宅。ちょうど祇園祭と天神祭の時期で阪急電車には看板が掲げられているので帰宅後すぐに撮影に出かけたが日没までに看板車は来ず。これで久々の九州4日間の撮影旅を終えた。
このツアーでミラーレス一眼カメラを初めて使う事ができ,一眼レフカメラとは全然違う写真の撮り方ができることがわかった。また,望遠から広角のレンズも一緒に借りられて,持っていない広角レンズでの撮影の楽しさを知る事ができて広角レンズが欲しくなった。
秒40コマ程度の高速連写はすごい。撮影できることもすごいが撮影枚数もすごい増える。PC上の管理を日付で行っているとDPPで表示されるのにものすごい時間がかかるので管理方法も変える必要がある事に気づいた。
ツアーでは列車の撮影だけでなく乗車する事ができたのも良かった。写真を撮影したら乗りたくもなるのが人情ってもの。参加者の人数も程よくJR九州の方々やCMJの方もいろいろ良くしていただき有意義で楽しい旅になった。夏という季節も思い出に残りやすく良かったかな。次回もあればまた参加したい。
※写真は一部トリミング・露出補正などを行っている。また,カメラ名の記載のない一部の写真は携帯電話で撮影。