病床の父、孫娘の着物姿見てうっとり
病床で母が軽口を叩いた。「見舞いに来るなんて珍しいね。病気が悪くなっているのかな」。「いいも悪いも...。休みが取れたから来たよ」。「それならいい」と言って、りんごをくれた。
父の見舞いは芝居がかっていた。誰の発案なのだろうか。孫娘が着物姿で駆け付けた。孫は可愛い。父は着物姿見てうっとり。うれしそうだった。いろんな見舞いの方法があることを知る。
見舞いは元気なうちの方がいい。9歳と7歳の孫が妻に「どうして病気になったの」と質問する。困惑気味も「早く治ってね」とハッパをかけられるとにっこり。久し振りに笑顔を見せた。
1日夜、成人した孫が相次いで見舞いに来た。たまには顔を見せるように言っていた。二人とも何を言うわけでもなく、しばらく顔を見せると帰った。妻は既に軽口を叩ける状態ではない。