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散歩のついでに富士山に登る人はいない

はじめに

「散歩のついでに富士山に登った人はいない」
この言葉は経営コンサルタントの小宮一慶さんが講演や多くの著書で紹介してくれてる言葉です。
行き当たりばったりだったり、出たとこ勝負!ではなく、長期的な目標、そしてそこに繋がるような短期的な目標を明確にして挑みたいということです。

カッコイイ始まりとしたところですが、今回は私が一度だけ登った富士山での体験談を紹介したいと思います。

平成29年8月11日

山の日に富士山登山に挑戦しました。せっかく日本に生まれたのだから、いつかは富士山に登りたい!ずっと思っていたことでした。それでも、機会もなければ、なかなか決断することもなく、この日まで来たわけです。

私は良い後輩たちに恵まれました。職場の後輩たちに「予約しましょう!」「登りましょう!」と背中を押してもらってこの日を迎えることができたわけです。4月1日?だったかな?に解禁される予約が必要です。

私がしてきた準備

モンベルのレインウェア(いいやつ)、チャムスの登山用リュック、アンダーアーマーの登山靴(ゴアテックス)をはじめとする買い物していること自体が楽しいグッズ…、特に登山靴内部に異物侵入を防ぐゲイターは準備しておいてよかったアイテムの一つです。

群馬の戸神山、茨城の筑波山をはじめとする軽登山や毎日数キロのランを重ねてきました。戸神山は上司から勧められた山でしたが、登っていて楽しい山でしたし、山頂で食べる山飯の美味しさを初めて味わった思い出深い山となりました。

予約やコースについての下調べは後輩を頼りました。これも大切な準備となります。

戸神山山頂付近からの写真 photo byくにぱう

苦しいときこそ上り坂

山の日ということもあって混雑していました。これだけの人間が山頂に集合することが可能なのだろうかと疑問に思うほどの混雑ぶりでした。

そして今回の富士山登山の最大の敵は天候でした。雨、しかもかなりの強雨でした。さらに後輩の一人は七合目過ぎあたりで頭痛や吐き気など軽い高山病の症状が出てしまいました。

私たちが仮眠する山小屋は八合目と九合目の間にあって山頂に一番近い山小屋でした。当然遅い時間まで登り続けることになるわけですが、実際に山小屋に到着したのは22時30分でした。出発したのが13時30分でしたので9時間かけて山小屋に到着となったわけです。

強い雨と雷に山頂付近の気温の低さが加わり、さらには頭痛と極度の疲労により、体だけではなく心もだいぶやられていました。

夕飯は途中で食べていませんが、とにかく空腹感がないのです。山小屋で出していただいたお弁当も喉を通りませんでした。

しかし、笑顔だけは絶やさず、仲間と強がり、修学旅行のようにはしゃいで布団に飛び込みました。少しでも回復して再出発できるように…。

暗闇と雷雨の中の再出発

渇かぬレインウェア、びしょびしょの靴(いずれもゴアテックス)、冷たい手袋等を身に着け、ヘッドライトだけを頼りに外に出ます。

案内人の話だと、この雷雨のために山頂を目指すことを断念して下山する山小屋グループもいるとか…。私たちは山頂に最も近い山小屋グループだったこともあって山頂を目指します。

山頂へ繋がる暗闇の一本道を歩く人の列、頻繁にやってくる稲光はまるで地獄へと向かう演出かと思うほどでした。
「あぁ、ここから滑落して、人が一人いなくなってもわからないだろうな。」そんなことすら考えるほど過酷な時間でした。

山頂とトイレと水

水は上に行けば行くほど、値段が高くなります。私は少しでも荷物を軽くしようと持参した水をコインロッカーに入れて出発しました。それがゆえに、水を飲むことを控えた気がします。水を飲むことに遠慮しないことが必要でした。多少荷物が重くなっても水を多めに持って行く方が富士山初心者には大切かもしれません。

トイレも有料です。もちろん、山頂に近づけば近づくほどその値段も上がってきます。男女共有のトイレも少なくありません。私は山頂で個室に入ったのですが鍵がついていませんでしたので、ドアが開かぬよう手で抑えながら用を足しました。もちろんお約束で…身なりを整えていた際に、女性の方にドアを開けられてしまいお互いに謝るという場面を生んでしまいました。

山頂で食べた豚汁は最高に美味しかったですよ。しかし、待ち望んだご来光を拝むことは叶いませんでした。
拝んだのはご雷雲と言いましょうか、広大な雲海のみでした。(今回のヘッダーの写真は下山途中で撮った雲海)無念!

不思議な領域へ

それでも、なんですかね。
いつかは登りたいと強く願っていたことを実現できた喜びという簡単な言い回しで終われない何か…。
人が入り込める領域ではないところに足を踏み入れた不思議な感覚と言いましょうか、誰もが簡単に成し得てしまうことでは無い強い何かを掴み取った感覚がありました。
本当に不思議な空間、世界、そして感覚でした。

ご来光を待っている際に撮った雲海 photo byくにぱう

待っていたのは一番苦しい下山

「富士山は下山がきつい。」この言葉は本当でした。小石が靴の中に侵入して苦しんでいる後輩がいました。永遠に続くのではないかと思うほど長いジグザグの道をひたすら下ります。膝が震えました。

トレッキングポールは絶対に必要です。負担軽減、疲労緩和に役立ちます。この時に使用したトレッキングポールは共に闘った戦友として今でも愛用しています。

そしてタイトル回収

「散歩のついでに富士山に登る人はいない」についてですが、大きな目標やでかい壁に立ち向かう際に、行き当たりばったりでチャレンジしたり、何も準備しないで出たとこ勝負!で挑むほど愚かなことはないのだろうと実感しています。
これは実際に富士山に登ることだけではなく、生き方や仕事に向き合う姿勢も同じなのでしょう。
想定外のことは発生しますし、思いもしなかったトラブルや緊急事態に出くわすこともあるでしょう。良かれと思って決断したことが裏目に出ることだってあります。

だからこそ、長期的な目標を掲げたのなら、具体の短期的な目標を設えコツコツと経験を積み重ねておくことが肝要です。
そして経験から得た自信と覚悟と不動心をもって挑んでいくことが成果に結びつくと考えています。
長期的目標はでかければでかいほど、成し得たときに不思議な感覚を味わえるのかもしれません。「努力無限!感動永遠!」ですです!

と言いつつ、私はもう二度と富士山に登ることはないと思いますが、これから登ろうとしている人にとって少しでも参考になれば嬉しく思います。
もちろん、大きな何かにチャレンジしようとしている人たちも同様です。

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ところで、下山途中に半袖Tシャツ、短パンで登っていく外国の方を見かけました。
「出たとこ勝負!」や「行き当たりばったり」と【見られがちな行動】も、もしかしたら、何か面白いことをもたらしてくれるのかもしれない…。そんなことも最近は感じています。

3000文字近い長文となってしまいました。最後までお付き合いありがとうございました🙏
明日はツッシーの番です。お楽しみに!



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