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ニーチェと子育て

母親業の傍ら、思想や歴史や哲学を勉強してます。
今日はニーチェについて書いてみます。

ニーチェって誰?

フリードリヒ・ニーチェ(1844年〜1900年)は、ドイツの哲学者で、その独自の思想は現代の哲学や文学に多大な影響を与えました。
「神は死んだ」という言葉や「超人(Übermensch)」「ルサンチマン(resentment)」といった概念で知られます。

牧師の家に生まれたニーチェは、若くして哲学や古典文学に興味を持ち、ボン大学とライプツィヒ大学で学びました。24歳でバーゼル大学の教授となりましたが、健康の問題などで教職を辞し、その後は著作に専念しました。
晩年は精神的な疾患に苦しみましたが、彼の思想は後世に渡って評価され、今日でも多くの人々に影響を与えています。

さて、この記事では、ニーチェの提唱したよくわからない言葉
「ルサンチマン」
「超人」
について紐解いてみたいと思います。

ルサンチマン

ルサンチマン…
いかにも専門用語っぽくて敬遠したくなる感じですよね…

でも、個人的にはこの「名前」に意味があると思っています。それは後の方で書きます。

ルサンチマンは、他者への嫉妬や憎悪、無力感から生まれる「被害者意識」を意味します。

ニーチェによれば、弱者は自分たちの弱さを正当化し、強者に対して反感を抱き、外部に責任を転嫁しがちです。
彼はこの状態を「奴隷道徳」と呼び、他者を非難することで自分の不幸や劣等感を解消しようとする人々の心理を批判しました。

実際に被害者かどうかは置いておいて
「他者を非難することで自分の不幸や劣等感を解消しようという心理は批判されるべき」という話は、自分自身の心の中を思い出すと「ぐさっ」ときます。
私の場合、顕著だったのは、
劣等感と自己否定の塊だった10代の頃や
実家離れてワンオペワーママをする中で不満渦巻き苦しんでいた時
心の中はこういう心理で埋め尽くされていたように思われます。

誰しも思い当たることがあるのではないでしょうか。

超人

ニーチェの「超人思想」は、ルサンチマンを乗り越え、自らの価値を創造する力を持つ人間像を表しています。

超人は、「他者に依存せず、自己の意思で生き、自分の人生を切り開く存在」です。

字面だけ見ると、特に真新しくもないかもしれません。「そうだよね」っていう言葉です。だけど、これは「永劫回帰」という概念と強く結びついているのが超人たる所以です。スーパーマンの語源にもなっているとかなってないとか。

永劫回帰とは、「人生が何度も繰り返される」と仮定し、その人生を受け入れられるかどうかという問いを投げかけます。これは、特に失敗や困難を含めた人生の全てを肯定することができるかを問うものです。

よくよく考えてみます。

人生の苦しかったこと、辛かったこと、それを一つ残らずそっくりそのまま全部肯定できますか?という問いです。

それができれば、本当の意味でルサンチマンを克服し、自らの道を歩む「超人」と言えるのです。

子育てとルサンチマン

苦しくなると、社会や他人を批判する気持ちが生まれます。
無理をしやすく、不満も溜まりやすい子育て中は、特にこういう気持ちが出てきやすいのでは?と思います。Xなんかを見てると本当に・・・。

SNS上でキラキラしている誰かが羨ましくなって劣等感に包まれたりします。
パートナーへの不満、いや「憎悪」とも言える気持ちがムクムクと生まれてきたりします。
社会へのクレームが湧いてきたりします。

人間心理なので誰もが経験していると思うのですが、残念ながらこの感情が自分を幸せに導いてくれるものではないものは、明らかです。

嫉妬や憎悪で幸せになった人の話、ないですもんね。

個人的には、子育て中の私たち、つまり被害者の気持ちになりやすい私たちは、自分の心にこれが生まれた時に
「これがルサンチマンか」と認知できるといいなと、思ってます。

最初にも触れましたが、名前があることで、客観視しやすくなる感じしませんか?

「被害者意識」「憎悪や批判」って言いづらいし微妙ですけど、「ルサンチマン」だったら、「これか」「現れたな!」って客観視しやすいですよね。

そのルサンチマンは決して自分を幸せにしないものだ、って冷静に見つめることで、一歩先に進めると思います。

子どもたちも同じ人間ですから、自分の失敗や劣等感を周囲や環境のせいにすることがあります。
親としては、子どもの年齢に応じて、「ルサンチマンは自分を幸せにしないよ」という意味のことを伝えていきたいなと思います。
(この単語を使うかどうかは別として・・・)

とはいえ、やっぱりまずは背中を見せるところから。

ニーチェの教えは、他者を非難するのではなく、自分に目を向ける姿勢を示唆しています。
それはどんな場面でも、幸せに向かう生き方としての真髄だなと思います。

いつでも主体的な母でありたいなと思います。

子育てと「永劫回帰」と人生の肯定

永劫回帰や超人ってよくよく考えると、とても難しい話です。

劣等感も、不幸な出来事も、何もかももう一回経験したいかと言われると、
正直、私はまだ受け止められません。

だけど、

嫉妬や他者比較を超越して、自分自身だけで完結する、完全な自己肯定。

これが本当の意味で「自分で自分の人生を切り開く」っていうことなんだなあ、と、私は今とても納得しています。

この納得感は
親や他人から言葉や理屈で伝えられることを超えている気がします。

他者との比較や嫉妬を原動力として結果を出す、ということはよく起こります。というか、そんなことばっかりですよね。人間だから当然です。
だけど、それを何度も経験して、「それじゃ本当は幸せになれない」ということに自分で気がつく必要があるんだろうなと思います。

子どもが色々と経験して成熟した大人になったとき、他者との比較や嫉妬にとらわれず自分自身の力で価値を創造する姿勢を持てるように、母として見守りたいなと思います。

そして何より、私自身そういうあり方を目指したいものです。

皆さんはニーチェの思想からどんなことを考えましたか?

よかったらコメントで教えていただけたら嬉しいです。

参考文献について


ニーチェに興味が湧いたけど、難解な哲学書を読むのはちょっと・・・という方には、この2冊をセットで読むのがおすすめです。

「100分で名著」でわかりやすく解説されている内容をざっくり頭に入れた上で、「ニーチェの言葉」を読むと、刺さる言葉を受け取れますよ。


ニーチェの言葉は名言集で、
私も時々パラパラ開いてニーチェの言葉に勇気をもらったりしています。

ここまで読んでくださってありがとうございました!


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