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【PREP書評】貧困のない世界を創る【ムハマド・ユヌス】

読書の世界をもっと楽しみたい、でも何を読めばいいのかわからない――そんなあなたのために、「PREP書評」をご提供します

この企画では、私が読んで勉強になった本の概要やポイントをわかりやすく紹介し、皆さんの読書、noteやブログの執筆に役立ててもらうことを目指しています。

具体的には、PREP手法(Point(主張)・Reason(理由)・Example(具体例)・Point(再主張))を使って、本の魅力を分かりやすくお伝えします。

今回ご紹介するのは、ノーベル平和賞受賞者、ムハマド・ユヌスさんの『貧困のない世界を創る』です。


Point(主張)

貧困は解決できる、しかもビジネスの力で!

この本を読んで私がいちばん強く感じたのは、「貧困という巨大な社会問題は、単なる慈善活動だけでなく、ビジネスとしても解決できる」というユヌスさんの熱いメッセージです。

私自身、はじめは「お金を稼ぐ仕組み」と「人を助ける行為」は相反するものだと思っていました。

でも、『貧困のない世界を創る』を読んでみると、そうした固定観念を覆す考えが満載なんですよね。

ユヌスさんは、自由市場の力をうまく使いながら、貧困や栄養不良、環境問題などの社会的課題に取り組む「ソーシャル・ビジネス」を提唱しています。

その成果を実際に示しているのが、グラミン銀行やグラミン・ダノンをはじめとする、数々の事例なんです。

「貧困は必ず解決できる」という信念をベースに、多くの人が自立する方法を提示しているのが本書最大の魅力だと感じました。

Reason(理由)

誰もが尊厳を失わずに、自立できる道を探るから

ではなぜ、ソーシャル・ビジネスが貧困解決に役立つのでしょうか。

ユヌスさんは、貧困は「人の尊厳を奪う最大の要因」だと考えています。

だからこそ、お金を配るだけの施しではなく、本人たちが自分の意志で事業を興し、利益を生んでいく仕組みが重要になるわけです。

ここで本書のキーワードとなるのが「マイクロクレジット」。

バングラデシュの貧しい女性たちに少額融資を行い、彼女たちが小商いを始めて、地域全体が活性化していくプロセスこそが、ソーシャル・ビジネスの原点です。

つまり、マイクロクレジットは「生活を改善するためのきっかけ」をつくるだけでなく、「人の尊厳」を取り戻す鍵にもなっているということ。

本書を通じて、ビジネスが人を助ける手段になり得るんだという確信を深めることができます。

利益が出たとしても株主ではなく、社会貢献のために再投資する――そんな新しい企業の在り方が、社会問題を継続的に解決に導く。

これがユヌスさんが提唱するソーシャル・ビジネスの肝だと思います。

Example(具体例)

グラミン・ダノン:おいしいヨーグルトで栄養も経済も支える

本書で印象深いのは、グラミン銀行の活動だけではありません。

ユヌスさんは、世界的なヨーグルトメーカーであるフランスのダノン社と組んで「グラミン・ダノン」を立ち上げました。

このビジネスは、栄養強化したヨーグルトをバングラデシュの農村部で生産・販売する仕組みを作り、子どもたちの栄養失調を改善すると同時に、多くの雇用を創出しています。

実はバングラデシュでは、子どもの半数近くが栄養不足といわれる深刻な状況でした。

そこで、地元で手に入りやすい原材料を使い、価格をできるだけ抑えたヨーグルトを開発することで、多くの子どもたちが手軽に栄養を摂取できるようになりました。

さらに、販売スタッフとして働く女性たちは、ヨーグルトを近隣コミュニティに届けることで収入を得ることができる。

「食べる人」も「売る人」もWin-Winになれる仕組みが出来上がったわけですね。

しかも、このソーシャル・ビジネスで出た利益は、株主の配当に回すのではなく、「さらなる社会貢献」や「より多くの人を支援するため」に再投資されます。

この循環が続く限り、子どもたちの健康状態も雇用も、どんどん改善していくはずです。

有名なサッカー選手のジネディーヌ・ジダンさんも、この活動に協力したというエピソードは話題性たっぷりですよね。

まさに、「慈善事業」と「ビジネス」のいいとこ取りをしたソーシャル・ビジネスの象徴的な事例といえるでしょう。

Point(再主張)

「ビジネスは、社会問題を解決する大きな力になりうる」

最後にもう一度強調したいのは、「ビジネスと社会貢献は対立しない」という点です。

私たちはしばしば、「お金を儲けるのは悪いことじゃないか」とか「慈善活動は利益を追求しない方が美徳」などと考えがち。

でも、この本で語られているソーシャル・ビジネスは、社会的課題の解決を第一目的としながらも、あえてビジネスの力をうまく使っているんです。

再投資を通じてさらに貧困を減らし、現場の人たちの尊厳を取り戻す。

そうしたプラスの循環を生み出すにはどうすればいいのか――本書はその具体的な事例とユヌスさんの信念がたっぷり詰まっています。

もちろん、マイクロクレジットやソーシャル・ビジネスにも課題や批判はあると著者自身も述べています。

それでも、地域社会の声を聞きながら学習と改善を繰り返すことで、ビジネスの形をアップデートしていく姿勢は、今後の社会にも大いに活かせるはずです。

私自身、この本を読んでから「利益と社会貢献は両立できるものなんだ」という考え方に切り替わり、ちょっとした行動にも変化が出始めました。

社会課題が山積みの時代だからこそ、こういう視点を学んでおいて損はないですよね。

きゅうさんの本棚:さらに本書に興味をお持ちの方へ

この記事をお読みいただき、さらに『貧困のない世界を創る』に興味をお持ちになった方は、お近くの書店やオンラインストアでおすすめの本を手に取ってみてください。きっと理解が一層深まることでしょう。


ぜひ一度お試しください!

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