【中学生2年生でも理解できる用語解説】中所得国の罠
みなさんは「中所得国の罠(ちゅうしょとくこくのわな)」という言葉を聞いたことがありますか?
社会の授業やニュースで耳にするかもしれませんが、その意味をしっかり理解している人は少ないかもしれません。
今日は、この言葉について中学生でも分かりやすいように詳しく説明していきます。これは別企画「今更聞けない用語解説 中所得国の罠」(下記リンク参照)を更に分かりやすくにしてみたものです。
1.中所得国って何?
まず、「中所得国」とは何かを説明します。世界には多くの国があり、それぞれの経済状況は大きく異なります。
国際的な機関である世界銀行が、国の一人あたりの所得(収入)によって「低所得国」「中所得国」「高所得国」に分類しています。
①低所得国:国民一人あたりの所得が低く、多くの人が貧しい生活を送っている国。
②中所得国:低所得国よりは豊かになったものの、まだ高所得国には届かない国。
③高所得国:一人あたりの所得が高く、経済的に豊かな国。
中所得国は、経済成長によって貧困から抜け出しつつある国々です。しかし、ここで「罠」に陥る可能性があるのです。
2.中所得国の罠とは?
「中所得国の罠」とは、中所得国がある程度の経済成長を遂げた後、それ以上の成長が難しくなり、高所得国への道が閉ざされてしまう現象のことです。
つまり、発展の途中で経済成長が止まってしまい、その状態から抜け出せなくなるという「罠」にかかってしまうのです。
3.なぜ罠にはまってしまうのか?
では、なぜ中所得国はこの罠にはまってしまうのでしょうか?主な原因をいくつか挙げてみましょう。
①安い労働力の強みが失われる
中所得国は、最初は人件費が安いことを活かして外国から工場を誘致し、製品をたくさん作って輸出します。
しかし、経済が成長し人々の所得が上がると、人件費も高くなります。すると、企業はより安い労働力を求めて他の国に移ってしまい、経済成長が鈍くなります。
②高度な技術や教育の不足
高所得国になるためには、先進的な技術や知識を持った産業に移行する必要があります。
しかし、中所得国では教育や研究開発に十分な投資ができておらず、技術革新(イノベーション)が進みにくいのです。
③インフラや制度の未整備
道路や電気、水道といった基本的なインフラが整っていなかったり、法律やビジネス環境が未熟だと、国内外からの投資が集まりにくくなります。これも経済成長を妨げる要因となります。
④貧富の差の拡大
経済成長の恩恵が一部の富裕層にしか行き渡らず、多くの人々が貧しいままだと、社会不安が高まり、経済活動にも悪影響を及ぼします。
4.どうすれば罠から抜け出せるのか?
中所得国の罠を避けたり、抜け出したりするためには、いくつかの対策が必要です。
①教育の充実
高度な技術や知識を持った人材を育てるために、教育に力を入れることが重要です。これにより、先進的な産業を育成する土台ができます。
②技術革新の推進
政府や企業が研究開発に投資し、新しい技術や製品を生み出すことで、国際競争力を高めることができます。
③インフラや制度の整備
道路や電気、水道などのインフラを整え、法律や規制をしっかりと整備することで、ビジネスがしやすい環境を作ります。これにより、国内外からの投資を呼び込むことができます。
④社会的な平等の推進
貧富の差を縮小し、経済成長の恩恵を多くの人々に行き渡らせることで、安定した社会を築くことができます。
5.日本の経験
実は、日本も過去に似たような状況を経験しました。戦後の高度経済成長期、日本は安価な労働力を背景に製造業で大きく経済を伸ばしました。
しかし、その後、人件費の上昇や国際競争の激化に直面しました。日本は教育や技術開発に力を入れ、自動車や電子機器などの高い価値を持った産業を育成することで、高所得国への道を進みました。
6.世界の中所得国の現状
現在、アジアやアフリカ、ラテンアメリカには多くの中所得国があります。例えば、中国やマレーシア、ブラジルなどです。
これらの国々は、中所得国の罠を意識し、技術革新や教育の充実に取り組んでいます。
しかし、一方で経済成長が停滞し、罠から抜け出せない国も存在します。
このような世界の経済状況を知ることは、これからの社会を考える上でとても大切です。私たち一人ひとりが学び、考え、行動することで、社会をより良くすることができます。
7.まとめ
「中所得国の罠」は、経済成長が途中で止まってしまい、高所得国への道が閉ざされる現象です。
その原因は、安い労働力だけに頼った経済成長の限界や、技術や教育の不足、インフラや制度の未整備などさまざまです。
この罠を避けるためには、教育の充実や技術革新、インフラの整備、社会的な平等の推進など、多方面からの取り組みが必要です。
もし、この記事を読んでさらに学びたいと感じた方は、下記のリンクから別記事「今更聞けない用語解説 中所得国の罠」をぜひご覧ください。
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