【今更聞けない用語解説】人間開発指数(HDI:Human Development Index)
1. 人間開発指数(HDI)とは?
人間開発指数(HDI:Human Development Index)とは、国連の専門機関である、国連開発計画(UNDP)が毎年発表している、各国の豊かさや進歩度合いを測る指標です。
「豊かさ」と聞くと、経済的な豊かさを想像するかもしれませんが、HDIはお金に加えて、「健康」「教育」の3つの側面から社会の豊かさを見ています。
具体的には、平均寿命や教育のレベル、一人当たりの所得などを組み合わせて、0から1の間の数値で評価します。
つまり、1に近ければ近いほど、その国での生活がより良いとされるわけです。
たとえば、お金持ちだけど教育や医療が不十分な国と、教育や医療が充実している国、どちらが「本当に豊かな国」だと思いますか?
HDIはそんな視点から、社会の「本当の豊かさ」を測っているんです。
2. HDIがなぜ重要なのか
人間開発指数(HDI)が重要な理由は、経済指標だけでは見えない部分を明らかにするからです。
例えば、国内総生産(GDP)は、その国のお金の動きや規模を示すものですが、これだけで人々の生活の質はわかりません。
お金がたくさんあっても、健康で長生きできなければ、教育を受けられなければ、それは「本当に豊かな国」とは言えないですよね。
HDIは「健康的な生活を送ること」「教育を受けること」「豊かな生活をすること」、この3つを重視しているため、経済だけに偏らず、バランスよく国の発展を評価できるんです。
3. HDIの3つの要素
① 健康的な生活
HDIの中でも、「長寿を全うできる健康的な生活」が重要なポイントです。
例えば、平均寿命が長ければ、それだけ医療が整っていることや生活環境が良いことが考えられます。
健康で長生きすることは、多くの人が望むものですよね。
HDIでは、この平均寿命を用いて健康の側面を評価しています。
② 教育
次に重要なのが教育です。
HDIでは、成人識字率や就学率といったデータを使って、どれだけの人が教育を受けているかを見ています。
教育は、未来を切り開く力です。
たとえば、学校に通うことができない子どもたちは、その後の人生で選択肢が限られてしまいます。
そのため、HDIでは教育を非常に重視しているんですね。
③ 生活水準
最後に「人間らしい生活水準」です。
ここでは、一人当たりの国民所得を使って、どれくらいの豊かさが実現されているかを測ります。
ただ単にお金の額を示すのではなく、それがどれだけ生活の質を向上させているかが重要なんです。
たとえば、生活費をまかなえるだけのお金があれば、安心して生活することができますよね。
4. HDIの現在の状況と課題
最近の人間開発指数(HDI)の動向を見ると、新型コロナウイルスの影響で世界全体のHDIは一時的に下がりましたが、3年ぶりに回復しつつあります。
しかしながら、地域ごとの格差が広がっていることも事実です。
例えば、日本のHDIは2021–22年版の調査で24位となり、前回よりも順位を下げました。
HDIのランキングは、各国がどこに力を入れるべきかのヒントを与えてくれるものであり、今後の政策に役立てるべき重要な情報です。
5. 私たちにできること
HDIのような指数を知ることは、私たちにとっても意味があります。
なぜなら、それぞれの国が直面している課題を知り、それに対して何ができるかを考えるきっかけになるからです。
例えば、教育の機会が限られている国のために寄付をしたり、ボランティア活動に参加したりすることも、小さな一歩かもしれませんが、大きな変化を生む可能性があります。
また、自分の住む地域での健康や教育に関する活動に参加することも、人間開発の向上に貢献する一つの方法です。
HDIは遠い国の話のように感じるかもしれませんが、実は私たち一人ひとりの行動が、世界全体の豊かさに影響を与えているんです。
まとめ
人間開発指数(HDI)は、経済だけではなく、健康、教育、生活の質といった人間らしい側面から社会の豊かさを測る指標です。
これにより、真の豊かさを見つめ直し、各国がどこに力を入れるべきかを明確にすることができます。
私たちも、HDIを通じて自分たちの生活や社会について考え、できることから行動を起こしていくことが、より良い世界を作る第一歩となるのではないでしょうか。
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