休職4ヶ月目です。来世は望んでない
22歳の夏は「生きていた」という事実さえも歪ませるほど、いとも簡単に、「あ、でも夏はありましたよ~」と迷惑な暑さを置き土産に過ぎ去った。
数ヶ月間、荷物と洗濯物の一時避難場所になっていた机をのろのろ片付け、7月で止まっていた卓上カレンダーをいち、に、さん。もう今月も終わるからあといっかい。
11月。
去年の今頃は…昔は…と振り返る癖をそろそろ控えたいのに、スマホの写真フォルダをちょっとでも開いてしまえばその意思は途端に大崩壊。
それが夜中だと、立て直すのにかなりの時間と体力がかかる。うつ病だからというかは、元々の性格が関係しているような。
どんなに後悔しても涙を流しても月に願っても有料の占いをしてみても、変わらないことがあるのを受け止めきれない。いつの間にか誕生日が終わって23歳になったことも信じられないのに。
3週間に1度の心療内科。先生は「何も考えないでゆっくりしてください」と毎度告げる。床ばかり見てしまう私に何度も、何度も何度も。真っ白でピカピカに光る床を見るたび、沢山の人に踏まれているのに綺麗で羨ましくなる。何も考えないで生きるなんて、心が死んでるのと変わらない。
休職して4ヶ月が経った。
10月に入ってから寝たきりの回数は少し減った。
家族に心配をかけてしまうことも苦しさの一部だと気付き、とりあえず最低限の健康的な生活を心がけるようにしている。
絵を描いたり、母の買い物(主にスーパー)に付いて行ったり、気まぐれでラジオ体操もどきをしたり、あつ森を住民に「久しぶりだね」と言われるペースで起動したり。気付けば外は暗くなって、長い夜が来てしまうことへのをかき消すようにアイドルのライブを何度も見る。キラキラ キラキラ。満点の星を見ている気分。
それでも、「この先も生きていこう」という意思はそばにいてくれない。
今すぐに消えたいのに、生きる努力をしている。
時々生きる希望を見つけてしまうから、人生に期待してしまう。
お守りのようにしていた「どうせいつか死ぬから」の言葉も効かない。
貯金と引き換えに貰った薬にも裏切られたりする。
この前の満月も、田舎ならではの星空も、毎年楽しみにしていた花火も、見ようとカーテンすら開けれなかった私にこの先何があるんだろう。状態が落ち着いても、何かの拍子で、それこそ復職あるいは転職で再発してしまったら、これ以上何を失えばいいんだろう。もう世界から離脱するしか選択肢がない。
それなのに、どこか寂しくて虚しくて、ここで紛らわせるよう言葉をのらりくらり編んでく。春ぶりに開いたパソコンを見つめて2時間が経っていた。
「先生はね、九夏さんの作文を読むのが好きだったんだ」
小学校の卒業時、担任の先生から貰ったメッセージを思い出して、鼻の奥がつんとする。過去を振り返るのはやめようって決めたばかりなのに。
そういえば、今年の初詣で引いたおみくじは大吉だった。
また、長い長い夜が始まる。
どうか来世なんてありませんように。
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