前期高齢者作家が語るおっさんずラブ愛~家族になるということ~
※ネタバレあり
もう、とにかく第一話は素晴らしかったの一言!!! このドラマに関わった方々全てにありがとうと言いたい。いや、土下座したい。なんならお供物的なものを差し上げたいくらいだ。
「おかえり」「ただいま」のシーン、よかったですね〜!
シーズン1の「結婚してくださ〜い!」の絶叫のあとの「おかえり」「ただいま」の涙涙のシーンを思い出してウルっときた人も少なくなかったはずだ。
「おっさんずラブ リターンズ」の脚本最高! やっと牧を見つけた春田が駆け寄るシーン。いきなりハグして涙涙で「会いたかった!」とか言わせないでくれて本当にありがとう(土下座)
「電話してくれればよかったのに」「スマホ忘れた」「何やってんすか」と、数日前にも会っていたような会話があって、それから静かに微笑みながらの「牧、おかえり」「ただいま」になる。この流れって素晴らしいじゃないですか!あの言葉に込められた思いたるや!
春田「やっと会えた〜!!! ゆ、夢じゃないよね。お前、本当に本物の牧だよね。長かった。長かったよ。どんなに寂しかったか、わかる? コロナ禍が始まった頃、牧が熱出してねえかって毎日心配してた。もし牧がコロナにかかっても、会いにもいけない、看病もできない。おっそろしかったよ。もう絶対離れない! 無事に帰ってきてくれて、本当ありがとうな。もうなんもいらない。お前さえいてくれたらマジでゾイドの新商品もいらねえ。多分いらねえ。いらねえんじゃないかなあ。もしかしたら欲しくなるかもしれないけど、すぐじゃないと思う。とにかく、牧、牧、牧〜!!! 会えて嬉し〜!!!」
牧「春田さん、やっと会えましたね。本当に長かった。黒澤部長がまた春田さんにちょっかい出してるんじゃないかって気が気じゃなかったです。春田さんは優柔不断だから、部長の老獪な手練手管にやられていつの間にか同棲してるんじゃないかって。俺、ずっと思ってたことがあるんですよ。また春田さんに再会できて唐揚げを作ってあげられて、春田さんが椅子に座ったままピョンピョン跳ねて、ウンマ!って言ってくれる姿を見ることができたら、もう何もいらないって。一緒に暮らせたら、それだけで幸せだって。春田さん、元気でいてくれてありがとうございます。浮気もしないでくれてありがとうございます」
そして熱いハグ! よかったねえ! と全世界が拍手を惜しまなかったに違いない。
しかし、そこからの展開が、このドラマのすごいところだ。
「そして二人はいつまでも幸せに暮らしましたとさ」とはならないのだ。
ここから先はものすごいリアリティーで胸に迫ってくる。既婚者の多くがぶつかる問題が見事に表現されているのだ。特に共働きの夫婦は切実だろうし「あるある」のはず。
「結婚は恋愛の墓場」「恋人はひと瓶のワインであり、女房はワインの空き瓶である」(シャルル・ボードレール)
「結婚前はしっかり両目をしっかり開けて見ること。しかし結婚したら片目を閉じよ」(トーマス・フラー)
「三日間だけ幸せになりたかったら結婚しなさい」(中国の格言)
そう。「結婚」に関する格言は、残念だが否定的なものが多い。恋をしている時には見えなかったものが、一緒に暮らし始めると見えてくるからだ。「君さえいてくれたら、もう何もいらない」と思っていた恋の日々は「日常」に変わってしまう。恋は非日常だが、結婚は日常なのだ。
しかし春田と牧は、結婚を恋愛の墓場になんかしない!
春田の「牧が頑張ってること、俺が世界一知ってるから」「無理すんなよ」→牧の「ありがとうざいます」→春田、雪の中をカイロを持って迎えにくる→牧、マフラーをプレゼント→春田可愛く無邪気に全力で喜ぶ→初詣→そして春田の「牧と幸せな家族に慣れますように〜!」→牧の「俺も同じだよ〜!」
もう膝から崩れ落ちそうだった。何度も巻き戻して観ていたら暗記してしまった。素敵過ぎてけしからんほどだ。
たった四十分くらいの時間でこんなにも満足できる最高のラストに持っていってくれて、ブラボー!!!(拍手喝采)
今日は第二話。もちろんリアタイする。仕事で忙しい娘達も仕事場から引きずり出してリアタイさせるつもりである。いいものを観たあとで「素晴らしかったね〜!」って言い合うのが、フルコースの最後を飾る極上のデザートなのだ。