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映像授業の将来についての話


映像授業を扱う取引先が複数ある

私(中村)は取引先から教材の編集・執筆・校正を受注しています。取引先は教材出版社が多いのですが,教材出版社以外に映像授業塾や映像授業配信サービスを行う会社もあります。ただし,私の仕事は映像授業の講師や動画編集ではなく,映像授業に付随したテストなどの紙教材に関する編集・執筆・校正です。

教材出版社の紙教材の仕事でも,紙面に二次元コードが掲載されていてスマホで読み込むと映像授業が見られるものがあります。私が高校生のころと違って現在は高校生にスマホが普及しているため,さまざまな形で高校生向けの映像授業が提供されるようになりました。

映像授業のいくつかのパターン

映像授業にはいくつかのパターンがあります。多くの人がまず思い浮かべるのが,講師の授業を収録した動画ではないでしょうか。固定カメラで講師の授業を収録しただけのものもあれば,必要に応じて画面をズームしたり補足のテロップなどが入ったりするものもあります。私はまだ見たことがないものの,講師の代わりにアバターが出てくる映像授業もあるそうです。

画面に講師やアバターが現れない映像授業もあります。画面には板書のような教科内容が表示され,講師の説明は音声だけというものです。パワーポイントで作成された画面を使って,講師が音声で教科内容を説明するプレゼンのような映像授業もあります。問題集の紙面に掲載された二次元コードをスマホで読み込むと見られる映像授業では,画面に問題集の紙面が表示され,講師がペンと音声で説明を加えていきます。

コロナで映像授業の位置づけが変わる?

映像授業は,在宅学習や大学受験対策塾で活用されています。大都市圏以外の塾・予備校が少ない地域を意識して「都会と地方の教育格差をなくす」とアピールする映像授業を見かけたこともあります。

ところで,新型コロナウイルスの流行をきっかけに,オンライン授業が普及しました。一方向の映像授業よりも双方向のオンライン授業のほうが従来の授業に近いこともあってか,コロナが落ち着いた後もオンライン授業は活用されているようです。

コロナ前に映像授業が担ってきた役割は,オンライン授業にとって代わられることが予想され,映像授業の位置づけも変わってくるはずです。今後は,単に授業を撮影しただけの動画では十分でなく,良質な学習コンテンツとしての映像授業が求められる時代になっていくのでしょう。

AIで映像授業が変わる?

NHKの朝のニュースを見ていると,合成音声を使ってAIがニュース原稿を読む時間帯があります。いまでもスマホなどに音声の読み上げ機能がついていますが,より人間の話し方に近い合成音声が手軽に安価で利用できるようになれば,画面に講師が出てこない映像授業には合成音声が使われる可能性が高いです。

また,報道によると,2025年から琉球朝日放送ではAIアナウンサーがニュースを読むとのこと。AIアナウンサーは,アバターの口元の動きが合成音声に合わせて動くそうです。こちらも,手軽に安価で利用できるようになれば映像授業に使われる可能性が高いです。

AIや合成音声を使った映像授業の利点のひとつは,内容の修正が簡単なことです。人間が行う映像授業では,わかりにくいと指摘された内容や教科内容の誤りがあったとき,補足テロップを入れたり収録しなおしたりするそうです。一方,AIや合成音声を使った映像授業では,修正に時間や手間がそれほどかからないため,柔軟に対応できます。

「カリスマ講師による授業」といったように,担当講師の能力と知名度の高さを売りにしている映像授業は今後も人間が行うでしょうが,それ以外の映像授業はそのうちAIにとって代わられるように思います。


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