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【私小説51】戦いたくない病気
音楽部は音楽と歌、どちらもやらなくてはならなかったけど、歌う事は好きだったので合唱は比較的楽しんでやっていた。知らない国の何言ってるか解らん合唱曲なんかも今でも覚えている(歌詞の意味不明だけど)
中学生になって音楽部として初めてコンクールに出た時の事。出演したチームにはそれぞれ、金、銀、銅賞のいずれかが与えられるのだが、我が音楽部は銅賞であった。平たく言うと下手くそという事だと思う。その結果を聞いて音楽部の部長が泣き出した。私は心底不思議で仕方なかった。私は結構楽しんで歌えたから。それで良かったのに部活で良い賞がもらえなかった事くらいでなんでそんなに悲しいのか全くわからなかった。正直どうでも良いじゃんって思ってた。
今思えば部長は部長なりにプレッシャーと戦っており、自分の代で良い結果を残せなかった事に責任を感じたのかもしれない(知らんけど)
決して部長の責任などではないと思うし、音楽が好きなんだったら音楽ができたらそれで良いんじゃないのかね。プロでもないし。
昨日の自分より今日の自分が上手になってたらそれで良くないかね。
他人に勝たないとダメなのかね。戦わないとダメかね。
同じく共に中学校に進学した、つくし兄弟の総ちゃんはテニス部に所属したのだけど、総ちゃんが大会の主要メンバーになりたがっているのを聞いて、やっぱり????となった。テニスが好きだったら自分が昨日よりテニスうまくなったらそれで良くないのかね。賞がないとダメかね。
人生では他人を蹴落としたいって気持ちがとっても大切になる事もあるとは思う、でも毎日誰かと比べてたら疲れるし。
私が他人に勝ちたいと強く思ったのは、小学生の時クラスのけいちゃんと鉄拳やった時くらいだ。強いんだけいちゃん。弱そうな顔して。
まあ今は理解できる事も増えた気がするけど、当時の私には疑問だらけ、根底の部分で自分とは違うものが流れていて、とかくに人の世は住みにくいという感想だった。他人と戦いたくないんだもん。