御堂狂四郎

御堂狂四郎

最近の記事

  • 固定された記事

御堂狂四郎、親愛なるマイノリティの仲間達へ手紙を書く

『しかしなんでもああ言えば通ると思ってるんだから。何ていうか、かわいくないよね。僕は、ああいう人は、味方したいと思わないな』 『バカだなぁ、御堂君。人間はみんな同じだよ。そもそもかわいくもなければ、かわいそうでもない生き物なんだから。傲慢で、欲張りで、弱くて、目立ちたがりで、みんな同じだよ。どんな人であろうと差別しちゃいけないよ。気が狂ってようが、手足がなかろうが、生まれついて不利な立場に居る人だろうが、悪は悪だ』 『君の言う通りだ』 『もちろん、その逆もね』 …

    • 激突!御堂狂四郎VS愛泉博士

       愛泉博士の研究所へ来ていた。なにやら頼みが有るとの事。 『博士、僕に頼みって?また変なバイトですか?金無いんでやりますよ、なんでも』 『そう言ってくれると思ってたわ。実はね、私と戦って欲しいの』 『た、戦う?それは流石にちょっと…。いくら仕事でも女性を殴る蹴るとかはやりたくないですよ』 『違うわよ。それに、どうやっても勝てないでしょ?殴る蹴る前にやっつけちゃうわ』 『かわいくない言い方しますね、年下のくせに。生物兵器女。マッドサイエンティスト。じゃあ何で戦うんです?ゲーム

      • 三次元に逃げ場無し

         どうしたって地球は逃げる側が不利に出来てる。  なんたって、鬼ごっこもかくれんぼも、鬼は勝ちたきゃ帰れば良いんだから。民役は夜になって泣いて、お母さんにどやされて泣いて、枕濡らす。卑怯だ、反則だ、掟破りだと叫んでも、抉り取られたハートが血を吹くだけ。  戦から裁判まで、古今東西の天秤、泣かしたやつ勝ち。何を言っても負けなのだ。舞台裏の真理こそ肝に銘じるべき。テキストじみた道徳倫理が何をしてくれるっていうの。車で跳ねられて逆に金を払うなんて摩訶不思議な事が、現実に起こるん

        • 土方日記

           学生の時、工事現場の人を見てバカにしてた。セメントにまみれてる連中を見て、心の中で嘲笑ってた。  あいつらはアホだ、バカだ、汚ねえやつらだ、と。ガクがねえから、教養がねえから、身を汚して、汗を流して、タバコ吸って、女買って、博打にのめり込んで、肺を腐らせて、やがて死ぬために生きてるんだ、と思ってた。  ところが、数奇な運命。俺もそうやって働くことになり、同じ事をやって日銭を稼いでた。  そして思った事がある。あの頃の俺の考えは、間違っちゃいなかったって。実際、俺も含め、あ

        • 固定された記事

        御堂狂四郎、親愛なるマイノリティの仲間達へ手紙を書く

          御堂狂四郎とスイート・ボブの出会い

           彼との出会いは僕が狂気のサバンナに閉じ込められていた時だ。    僕はあの時期ほど、何かに怯えていた時はなかった。  ドアの外にはカラフルなキリンやサイやゾウ。悍ましい紫色の舌をぶらんぶらんさせ、煙みたいな翼をはためかせ、僕を食い殺そうと探していた。やつらはみんな盲目で、僕の部屋の扉を見つけることはできやしなかったんだけど。それにしたって、自分を狙ってる連中が辺りをウロウロしてる場所ってのは恐ろしいもんさ。   僕はそんな場所で数ヶ月、隠れていたんだ。    ある時、ベラン

          御堂狂四郎とスイート・ボブの出会い

          御堂狂四郎、今日のひとこと

           今日も何もする事がないので、昼間から酒を飲んでいる。    こんな事で良いのだろうか。良いわけがない。さぁ!早く酔って寝てしまおう。

          御堂狂四郎、今日のひとこと

          どうして死ななかったんだ

           ところで、君はどうして死ななかったんだ。  あんなに死にたがってたじゃないか。  僕は昨日、ベトナムの赤いジャングルで血塗れになったカタワの小僧が消えるのを見た。イジメに耐えかねた小娘がマンションの13階から落下して砕け散るのも見たよ。  彼らはみんな死にたい死にたいと言って、そうして死んだいったんだ。不思議だろう?君と彼らとの違いってのは、一体なんなんだろうな。    そう、友達なんてね、何にも言いやしなかったんだ。  信じられない事だが、昨日目の前で普通に酒を飲んだり

          どうして死ななかったんだ

          原爆くんの作文

           ぼくのゆめ。    ぼくは、いまはこうしてじめんのしたで、すんでいます。ぼくはいつかおそとにでて、おしごとを、したいとおもっています。  おとうさんがいっていました。ぼくにはすごいちからがあって、ちきゅうでもやけるそうです、ぼくにそんなことができるって、おもいませんでした。でも、ぼくはすごいんだとわかって、うれしかったです。  おそとにはたくさんの、いきものがすんでいるそうです。とくに、にんげんといういきものは、ほんとうに、すごいとおもいました。  ぼくみたいに、ずっと

          原爆くんの作文

          御堂狂四郎の錬金術

           Vo.御堂狂四郎とGt.スイートボブが居る。二人、阪神梅田駅の前にて路上ライブ。  目的は金。二人はとにかく歌を金に変えたかった。スイートボブ、指が切れるまで弦を掻きむしる。御堂、喉から血が出るまで叫ぶ。しかし、賽銭箱(口を開けたギターケース)には名も無き虫けら一匹転がっているだけ。やがてポリが来て怒られる。人々はこうした悲しさに打ちのめされて音楽を辞めていく。  スイートボブ、ボロボロの皮のバッグからカップ酒取り出し、ごくごく。御堂も飲んだ。 『スイート、音楽ってこん

          御堂狂四郎の錬金術

          社会へ旅立つ君へのアドバイス〜言ってはいけない50の言葉〜前編

           大人になるという事は基本的に楽しい事なのですが、そうでない部分もいくつかあります。  例えば、大人なると仕事をしなければいけなくなります(しなくて良い人もたまに居ますが、多くの人はしなければいけないので、ここは言い切った書き方にしておきますね)。  仕事をしていると、それはそれはツラい目に遭ったり、悲しい思いをする事があります。  正しいと思ってした行動を罵倒されたり、間違っていると思った事を口にして非難されたりする事もあるのです。  慣れない内はそれらの線引が分からず

          社会へ旅立つ君へのアドバイス〜言ってはいけない50の言葉〜前編

          御堂狂四郎と運命の暗号

           ザム氏が青ざめた表情で俺に言った。 『こ、これは…!御堂君!君はなんと不幸な男なのだ!』   『えっ、なにがですか?』 『ワシが今、占いを学んでいる事は知っているね?』 『ええ、知っていますよ。今やってるあみだくじもそのひとつでしょ?』 『そうだとも!その占いの結果、とんでもない事が分かったのじゃ!おお、なんという事だ…』 『な、何が分かったのですか?』 『それはワシの口から言うわけにはいかん…。恐ろしい事になる…』  俺があみだくじを覗こうとすると、ザム氏は大急ぎで紙を

          御堂狂四郎と運命の暗号

          御堂狂四郎のタイマー談話

           おや。  ソファーに横になっていると、スピーカーから流れてくるYUKIの歌が、やけに鮮明に聴こえている事に気付いた。  これはすごい!それまでは気付かなかった部分に気付いたり、あの時のアレと今のコレの共通点に気付いたりする。  どうせすぐに忘れるんだろうけど、今この瞬間に限れば大発見なのだ。 …  トロみのある煙の向こうで、ヒロがニヤニヤとしまりの無い顔でこっちを見ている。なにがそんなにおもしろいの?と聞くと、プッと吹き出し、ゲラゲラ笑い出した。ねぇ、何がそんなにおも

          御堂狂四郎のタイマー談話

          御堂狂四郎のトイレアレコレ

           トイレはすごい。  人間の汚い部分を一手に引き受けている。ヤバい時に助けてくれる頼もしいやつだ。  実際、僕は危機を人間よりトイレに救われた回数の方が多い。人間はどちらかと言うと危害を運んでくるけど、トイレはいつ行っても助けてくれる。高額なお金も取ろうとしない。本当に優しいやつだ。  そんなトイレにも、たまに良くないのがいる。もちろん、トイレに人格は無いので、良くないようにしているのは作った人間か所有している人間なのだが。刃物や金やロボットと同じで、悪い人が持つと良さが

          御堂狂四郎のトイレアレコレ

          御堂狂四郎、強敵達への宣戦布告

           絵描君、やはり来たね。  ここでこんな形で再会するなんて、やはり僕らは生まれついての敵同士、どうやったって戦う運命にあるらしいな。    まったく不思議な話だと思わないか。  だって、考えてみてごらんよ。僕と君に、何の違いがある?同じような町に住み、同じような物を食べて、同じような服を着て、同じような恋をし、同じような事をしてる。本当なら、そんな人同士は、友達や仲間同士になると思うんだ。  ところが、僕らはそうはならなかった。互いを意識し、水面下で批判し合った。手を取り合

          御堂狂四郎、強敵達への宣戦布告

          御堂狂四郎、愛したゲームにまつわる小話

          ロックマン8 メタルヒーローズ  ロックマンシリーズはどれも面白くて大好きだが、8には特別な思い入れがある。  保育園の頃、僕の家で一緒にロックマン8を遊んだY君が『僕も買ったよ、ロックマン』と、自分でも購入するぐらい気に入ってくれたからだ。  自分が良いと思って紹介した物を、誰かが良いと思って手にしてくれる。当時からそうした事に喜びを感じていたのだなぁ、と思う。    ロックマンはゲームより先に、漫画家の有賀ヒトシさんが描いた『ロックマンメガミックス』を読んで好きにな

          御堂狂四郎、愛したゲームにまつわる小話

          御堂狂四郎、南へ

           北へたどり着いた御堂。淀は、ボウメイ!ボウメイ!とキャーキャー言ってる。他の名前も知らないメンバーは旅を楽しむ感じでもなく、怪しげな文庫本を読んだり、難しい顔で独り言を言ったりしている。御堂は、辺りを見渡した。日本とあまり変わらない風景、少しガッカリした。もっと、雲海に包まれた古代遺跡や角笛の音色響き渡る大自然を求めていたのに、これじゃあ何もつまらないと思った。  一行は廃校になった学校の校舎を根城に当てがわれた。で、ここで何をするのかと案内役の男に尋ねると、聞いた事の無

          御堂狂四郎、南へ