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【イベントレポート】GIGAスクール端末を使って、家庭と学校の学びをより安全に繋ぐために ーデジタルシティズンシップ教育の実践事例、戸田市立戸田第二小学校編ー

7月15日(木)、小中学校の教職員・情報モラル・リテラシーの分野で課題を抱える教職員向けに、第4回目となるDQ活用ウェビナーを開催した。

GIGAスクール構想が始まって以来、一部の学校や自治体で持ち帰りを含む1人1台端末の本格運用が進む一方、依然活用が進んでいない学校や自治体も多い。今回のウェビナー開催の背景には、児童生徒のインターネット利用に対する教職員や保護者の不安が、GIGA スクール構想の目指す、「家庭と学校を横断した子供たち一人ひとりに個別最適化され、創造性を育む教育ICT環境の実現」を結果的に阻んでしまっているという現状がある。

本ウェビナーの第一部ではサイバーフェリックス村上氏が、児童生徒自身が主体的にICTを活用していくことを前提としたデジタルシティズンシップ教育の重要性を説明した。第二部では、公立校でのデジタルシティズンシップ共育事例として戸田市立戸田第二小学校主幹教諭 黒田龍正氏が、学校での取り組みを紹介した。



イベント全体の流れ
1部:

・DQ(デジタルインテリジェンス)の概念と世界での広がり
・一人一台時代におけるデジタルシティズンシップの必要性

2部:

・戸田市立戸田第二小学校の事例紹介
・DQ スクールパッケージのご紹介
・実証実験プログラムのご案内と質疑応答

登壇者:
戸田市立戸田第二小学校 主幹教諭 黒田先生

DQ(デジタルインテリジェンス)の概念と世界での広がり

イベントの冒頭では、DQ(デジタルインテリジェンス)の概念や世界での動き、そして私たちが提供するデジタルシティズンシップ教育について紹介した。

簡潔にいえば、DQ は知能指数を表す IQ のデジタル版だ。2018年9月、WEF/ OECD/ IEEE/ DQ Institute​ の共同宣言により、世界中の子どもたちが自分の DQ を認識し、情報化社会でのウェルネスを高めるための学習を届けるムーブメントが開始された。

2020年には、デジタルの分野における技術の標準規格を定める国際機関 IEEEにより、それまで三者三様だったデジタルに関する知識やスキルの国際基準に認定され、現在では、TikTokやLEGOなどの多国籍企業や各国政府との協働を通じて、世界80カ国100万人以上の子どもたちがDQ学習に取り組んでいる。

日本でも、2017年より少しずつ認知が広まり、2018年にはEdtech補助金対象事業採択、2021年現在では、60を超える小中学校・自治体でDQ学習が取り入れられている。

デジタル・シティズンシップ教育は、DQの第一段階にあたり、プログラミング教育の前段階に位置する。本ウェビナーでは、デジタル・シティズンシップスキルの8つのスキルを紹介した。従来の情報モラル教育との違いやGIGAスクール構想の現状を踏まえたDQ学習の必要性などについて詳しく説明した。

一人一台時代におけるデジタルシティズンシップの必要性

GIGAスクール構想の現状を踏まえ、従来の禁止抑制を軸とした情報モラル教育とデジタルシティズンシップ教育の違いを詳しく説明した。

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一人一台を筆頭にデジタル環境の利用が必須とも言える時代になっており、禁止や制限を軸に指導を行うのは問題の先送りに他なりません。これからデジタル社会で生きる子どもたちは、端末を活用しながら「自分で考え、判断し、行動できる」ことが求められています。

しかしながら自由に使わせて自ら判断させるということはとても難しく、何を根拠に判断するのかを学んでいく必要があります。

従来の情報モラル教育は危険の回避や道徳的要素を重視していたのに対し、デジタルシティズンシップ教育はデジタル活用のポジティブな面を重視し、自ら判断する能力を養っていくのが特長だ。

DQ Worldはこのデジタルシティズンシップ教育に即した学習ができるパッケージである。2020年には経済産業省Edtech補助金事業に採択されており、2021年度にも154校での申請を行うなど10,000人以上の児童生徒にデジタルシティズンシップ教育を届けている。

戸田市立戸田第二小学校の事例紹介

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メインパートでは、ゲストスピーカーである黒田主幹教諭が、戸田市立戸田第二小学校でのデジタルシティズンシップ学習実践事例について説明した。

GIGAスクール構想で戸田第二でも対応を行っているが、導入が終わった1人1台端末をいかに活用していくか、個別最適な学びや協働的な学びを充実させていくことが重要だと考えていると説明があった。

現在行っているプロジェクトチームの体制やICT以外の取り組み詳細の説明もあり、公立校でのICT活用への全体イメージとして聴講頂いている方も参考にしやすい内容であったと思う。

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実際にDQ Worldを取り組んでいる動画も紹介頂き、DQ World上でコミュニケーションが発生する点も子どもたち非常に良く、また、子どもたちは一つの面で考えがちだがゾーン毎に学習できることにより多面的に情報リテラシー情報モラルを考えることができる点が効果的なコンテンツであると感想を頂いている。

またDQ World学習後の反転学習で更に上のデジタルシティズンシップ能力を育んでいる様子も紹介頂いた。DQ World上で基礎的な道徳観を醸成した上で反転学習で、より自分事として学びを深めていくことができるということだ。

事例紹介の後半では、DQ学習導入準備から導入までの流れ、そして実際に学習した130名の児童のアンケートの結果等が紹介された。

90%の児童が概ね理解できた、半数近くの児童が授業以外でも自主的に学習、約15%の児童が保護者との会話に発展した。と効果が実感できる結果となっていた。特に「Youtubeなどを使って自己表現をしてみたい」「ICTを使って、地域や家族の課題を解決したい」という回答はDQ Worldによるデジタルシティズンシップ教育の効果と言える内容だ。

最後には、先生方も基本的なICTリテラシーを習得し、学校内やchromebook利用のガイドラインの作成運用など端末持ち帰りに関わる取り組みのご紹介も頂いた。

実証実験プログラムのご案内

2021年6月1日(火)より、GIGAスクール端末持ち帰りを実施、またはキャンペーン期間に実施予定の学校及び教育委員会を対象に、今回の事例紹介でもご活用いただいた「DQ World」を無償貸与する「DQ World実証実験プログラム」を提供しています。

すでに、全国の学校や教育委員会様からキャンペーンのご応募を頂いております。是非、DQ World実証実験プログラムの詳細ページも合わせてご覧ください。

※キャンペーンお申し込み期間:2021年6月1日〜2021年12月31日
キャンペーン期間:2021年6月1日〜2022年3月31日


参加者からの声

本ウェビナーの参加者の学校では端末の本格運用に際し、「従来の受動的な情報モラル教育や講演、利用ルール決め」のみ、もしくは「特に何も学習をしていない」という声が多く、
情報モラル・リテラシーの分野において「子どもたちの習熟度を把握しづらい」「教員の負担が大きく満足して使える教材が少ない」「学校・家庭・児童生徒間の連携が取りづらい」といった課題が散見していた。

しかし、ウェビナー参加後には、こうした参加者の殆どが「受講目的が達成された」と回答し、「今後も様々な導入事例(導入後の変容)を知りたい」「DQだけでなく戸田第二小の素晴らしい取組に勉強になりました。道徳の反転学習は面白い」といった声もみられた。また、ウェビナー終盤まで参加者の多くが継続して傾聴している様子だった。

最後に

本DQ活用ウェビナーでは、GIGAスクール構想が掲げる、「家庭と学校を横断した子供たち一人ひとりに個別最適化され、創造性を育む教育ICT環境の実現」に対して、家庭と学校のみならず、産官民の協働が生み出す教育アプローチの革新の必要性を問いかけている。

〇プログラミング教育の前段階としてインターネット活用を前提とした健全なモラル・スキル・レディネス(デジタルシティズンシップ)を育成できる

〇世界の一流大学の研究に基づいたカリキュラムや教材により包括的で成果の見える学習・授業展開ができる

〇児童生徒が自ら進んで学びたくなるWeb仕様(ゲーミフィケーション等)で学んだことを日常的に実践する姿勢・スキル・応用力が身につく

〇端末の本格運用時(家庭学習と授業のリンクなど)、児童生徒が積極的に端末を活用していくことへの保護者・他教員による理解促進に繋がる

GIGAスクール構想の目指す教育ICT環境の実現に向けて、上記のような従来の情報モラル・リテラシー領域の課題を革新的に解決するDQ学習の利点と必要性が、レポートの読者にも伝わっていれば幸いである。