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I.G.P.(I.G.T.) Rubicone(ルビコーネ)とは

このページでは、イタリアワインのI.G.P.(I.G.T.) Rubicone(ルビコーネ)について解説しています。

I.G.P. とは

2010年5月より施行されているイタリアの新しいワインの法律により管理されている品質分類。分類としては、地理的表示付きワインのひとつで、フランスの『Vin de Pays』ドイツの『Landwein』と同じ分類となる。I.G.P.を日本語に翻訳すると『地理的表示保護』となる。ラベル表記の際には、I.G.P.(I.G.T.)名とブドウ品種など他の記載が伴う場合がある。ブドウ品種名の表示には、ブドウの使用量の規定などがある。単一品種名の表記の場合、基本的には使用量の85%以上を使用すると記載できる。ただしI.G.P.(I.G.T.)によって詳細の規定が異なり、生産は許可されているが品種表示は不可指定されている品種などもある。I.G.P.(I.G.T.)の主なルールとしては・生産地に起因する品質や名声、特徴がある。・指定された産地内で栽培されたブドウを85%以上使用する。・生産は指定された産地内で行う。・原料はヴィティス・ヴィニフェラ種とその交配品種を使用する。D.O.P.(D.O.C.G./D.O.C.)と比較すると大きめの生産地域と制限の少ない生産規制を特徴としている。

『I.G.P. (I.G.T.) Rubicone(ルビコーネ)』の名称の由来

Rubiconeとは、川の名前に由来しています。
これはエミリア=ロマーニャ州南東部からアドリア海へ流れる、ルビコン川(Rubicone)のことを差しています。

ルビコン川とは、ジュリアス・シーザー(ガイウス・ユリウス・カエサル)が『賽は投げられた(alea iacta est)』と言って渡った川として有名です。
ただし、ルビコン川には他にもいくつか候補があり、現在でもイタリアでは本物のルビコン川はどこだ!論争が続いているようです。
これは1000年以上の時を経て河道の変化がおきて、シーザーが河を渡った地点やそもそもの川の位置がわからなくなってしまったために起きています。
ちなみに、この川の元の名は「フィウミチーノ川」。
1933年8月に当時の首相ムッソリーニの政令によって「ルビコーネ川」へと改称されました。

『I.G.P. (I.G.T.) Rubicone(ルビコーネ)』 の生産地域とその特徴

概要
I.G.P.(I.G.T.) Rubicone(ルビコーネ)は、エミリア=ロマーニャ州の南東 ロマーニャ側全土が主な生産地です。
現在の州区分とは少し違っていて、行政区画成立以前の伝統と歴史を尊重した地域・区画を採用しています。
具体的には、エミリア側のボローニャ(Città metropolitana di Bologna)の一部も含む地域となっています。

地形
地形学的には主に3つのエリアに分かれます。
 アペニン山脈の山岳地帯
 アペニン山脈のふもとの丘陵地帯
 沖積土壌からなる平野部

土壌
土壌も地形・地域によって特性が分かれている。
特徴となる土壌は、中新統(中新世に沖積した地層)の『Marnoso Arenacea』に由来する。
これは、砂岩と泥灰岩の交互に積み重なった広い範囲にわたる地層で、地質年代区分期間メッシニアンに、岩が堆積することにより生まれた。
ロマーニャでみられる『Vena del gasso(チョーク脈)』には、蒸発岩(岩塩=塩化ナトリウム 石膏・硬石膏=硫酸カルシウム)の層がはっきりと見られる。

基本的に粘土と石灰の混ざった土壌で、地形によりパーセンテージがかわる。
ワイン産地のメインとなる平野部では、沖積土壌が期限となる粘土質が主体の肥沃な土壌。
アペニン山脈では、標高が高くなるにつれ石灰岩が多くなる。これは氷河期の間に表土が氷によってが削られたため、石灰岩の多く露出している。

気候
ウィンクラー・インデックスの数値は
標高の一番高い地域で約1,500〜1,600度
平野部が一番高く約2,000〜2,200度
海に近い地域では海風の影響などを受けて約1,900〜2,000度まで下がる。

生産指定地域
I.G.P.(I.G.T.) Rubicone(ルビコーネ)には、ロマーニャのほぼ全域が含まれている。
Province di Forlì- Cesena(フォルリ・チェゼーナ県)全域=30Comiuni
(Bagno di Romagna, Bertinoro, Borghi, Castrocaro Terme e Terra del Sole, Cesena, Cesenatico, Civitella di Romagna, Dovadola, Forlimpopoli, Forlì, Galeata, Gambettola, Gatteo, Longiano, Meldola, Mercato Saraceno, Modigliana, Montiano, Portico e San Benedetto, Predappio, Premilcuore, Rocca San Casciano, Roncofreddo, San Mauro Pascoli, Santa Sofia, Sarsina, Savignano sul Rubicone, Sogliano al Rubicone, Tredozio, Verghereto,)
Provincia di Ravenna全域(ラヴェンナ県)=18Comuni
(Alfonsine, Bagnacavallo, Bagnara di Romagna, Brisighella, Casola Valsenio, Castel Bolognese, Cervia, Conselice, Cotignola, Faenza, Fusignano, Lugo, Massa Lombarda, Ravenna, Riolo Terme, Russi, Sant'Agata sul Santerno, Solarolo)
Provincia di Rimini(リミニ県)全域=25Comuni
(Bellaria-Igea Marina, Casteldelci, Cattolica, Coriano, Gemmano, Maiolo, Misano Adriatico, Mondaino, Montefiore Conca, Montegridolfo, Montescudo-Monte Colombo, Morciano di Romagna, Novafeltria, Pennabilli, Poggio Torriana, Riccione, Rimini, Saludecio, San Clemente, San Giovanni in Marignano, San Leo, Sant'Agata Feltria, Santarcangelo di Romagna, Talamello, Verucchio
Provincia di Bologna/Città metropolitana di Bologna(ボローニャ県・大都市圏ボローニャ)=10Comuni
(Borgo Tossignano, Casalfiumanese, Castelguelfo, Castel San Pietro Terme, Dozza, Fontanelice, Imola, Medicina, Mordano, Ozzano Emilia della)

例外として
“Rubicone” Pignoletto の場合(ピニョレットの単一品種表示がある場合)は、
下記の14comuniのみが生産可能地域となります。

Provincia di Ravenna(ラヴェンナ県)=4comuni
(Brisighella, Castel Bolognese, Faenza, Riolo Terme)
Provincia di Bologna/Città metropolitana di Bologna(ボローニャ県・大都市圏ボローニャ)=10comuni
(Borgo Tossignano, Casalfiumanese, Castelguelfo, Castel San Pietro Terme, Dozza, Fontanelice, Imola, Medicina, Mordano, Ozzano Emilia della) 

『I.G.P. (I.G.T.) Rubicone(ルビコーネ)』 として生産可能なワインの種類と生産に関する規程

登録日
1995年11月18日 承認
2014年3月7日 最終更新

生産可能なワインの種類
Still wine(普通のワイン)白赤ロゼ
Vivace(弱発泡性ワイン)白赤ロゼ
Frizzante (弱発泡性ワイン)白赤ロゼ
Supmante(発泡性ワイン)白ロゼ
Novello(新酒)赤のみ

最低アルコール度数
すべての白 10%
すべてのロゼ 11%
Still Vivace Frizzante Spumante 赤 10%
Novello 赤11%

ブドウ果実の樹上の最低想定アルコール度数
すべてのワインにおいて 8,5%

熟成に関する規定
特になし

使用できるブドウ
白ブドウ
Alicante, Bombino bianco, Chardonnay, Famoso, Garganega, Malvasia, Manzoni bianco, Montù, Moscato bianco, Müller Thurgau, Grechetto gentile, Pinot bianco, Pignoletto, Riesling, Riesling italico, Sauvignon, Trebbiano, Uva Longanesi, Verdicchio bianco.
黒ブドウ
Ancellotta, Barbera, Cabernet franc, Cabernet Sauvignon, Canina nera, Centesimino, Ciliegiolo, Fortana, Malbo gentile,  Marzemino, Merlot, Negretto, Pinot nero, Raboso, Refosco dal peduncolo rosso, Sangiovese, Syrah, Terrano
灰色ブドウ
Pinot grigio,

ラベル表記の規制
Rubiconeの名称付近に、消費者の誤解を招くような形容詞、使用が許可されていない形容詞の追加の禁止。
例 extra, fine, scelto, selezionato, superiore
ただし、名前・会社名などは許可されています。

ブドウ品種名を単一で表示する際は指定地域内のブドウを単一85%以上使用すること。他のブドウをブレンドする際は、同地区の非芳香品種を15%まで使用することが許可されている。
ブドウ品種名の併記は、2種類まで許可されています。

「vivace」の表示を使用することが出来ます。
これはいくつかの地域で弱発泡性ワインに使用される言葉です。

その他


容器やふたは法律で許可されている物を使用すること。

各品種ごとにヘクタールあたりの最大収穫量が決められています。
“Rubicone” Alicante t/ha 20
“Rubicone” Ancellotta t/ha 20
“Rubicone” Barbera t/ha 22
“Rubicone” Bombino bianco t/ha 29
“Rubicone” Cabernet franc t/ha 22
“Rubicone” Cabernet sauvignon t/ha 22
“Rubicone” Canina nera t/ha 26
“Rubicone” Centesimino t/ha 15
“Rubicone” Chardonnay t/ha 24
“Rubicone” Ciliegiolo t/ha 22
“Rubicone” Famoso t/ha 29
“Rubicone” Fortana t/ha 26
“Rubicone” Garganega t/ha 29
“Rubicone” Malbo gentile t/ha 22
“Rubicone” Malvasia (da Malvasia Bianca di Candia e/o
Malvasia di Candia Aromatica e/o Malvasia Istriana) t/ha 29
“Rubicone” Manzoni bianco t/ha 24
“Rubicone” Marzemino t/ha 25
“Rubicone” Merlot t/ha 22
“Rubicone” Montù t/ha 29
“Rubicone” Moscato bianco t/ha 29
“Rubicone” Müller Thurgau t/ha 24
“Rubicone” Negretto t/ha 22
“Rubicone” Pignoletto t/ha 24
“Rubicone” Pinot bianco t/ha 24
“Rubicone” Pinot nero t/ha 22
“Rubicone” Raboso (da Raboso veronese) t/ha 22
“Rubicone” Refosco dal peduncolo rosso t/ha 22
“Rubicone” Riesling t/ha 24
“Rubicone” Riesling italico t/ha 24
“Rubicone” Sangiovese t/ha 25
“Rubicone” Sauvignon t/ha 24
“Rubicone” Syrah t/ha 22
“Rubicone” Terrano t/ha 22
“Rubicone” Trebbiano (da Trebbiano romagnolo e/o Trebbiano toscano) t/ha 29
“Rubicone”Uva Longanesi t/ha 23
“Rubicone” Verdicchio bianco t/ha 29

参考サイト

https://italianwine.guide/the-dictionary/vivace/

テイスティングノート



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