換気扇と湯が沸く音だけがある夜|2020.12.1 日記
急に世界中が敵に見える日がある。というより、全ての悪いことの元凶はこの私なのだという底なし沼に突入する。それが今日。
辛い悲しい悲劇のヒロインでいたって、そりゃ一時の優しさはかけてもらえるかもしれないけど、それでは私が誰かを幸せに出来るわけではないことは身に染みている。
昼は本当に胸がくるしくって、隣を歩くケイさんに「どうしよう〜〜今日はダメな日かもしれない〜〜」と言った。「んなこと言ったって、もう来ちゃってるんだから、どうにかなるだろ。」と返されて、思ってた同情の言葉と違って少ししょんぼりしたけれど、たしかにどうにかなった。
自分にめっぽう厳しくて、他人も簡単に甘やかさないケイさんの強さは、とても魅力的だ。
優しさと甘やかしの違いを分かっている。人に対して本当に真摯だ。私もそうでありたいの。
本日、我が家にストーブが来た。鉄板でお湯も沸かせるタイプなくせに、灯油じゃなくてカセットガスだ。なんて素敵なんだ。
今、家には、寝落ちした夫の寝息と、喫煙者よろしく常に「強」な換気扇の轟音と、ストーブ上のやかんから吹き上がる蒸気の音だけがする。
やかんで沸かした湯を飲んで、この空間に身を委ねていたら、今日のメソメソはだいぶ鳴りを潜めた。
全部全部、何もかもが足りない弱い私が悪いんだ、という思考に支配された脳は、あたたかい空気でゆっくりと溶けていく。
「〇〇さん、よく頑張ったね」
「体勢を立て直して、少しずつ淡々とからまたはじめよう」「少しずつだよ」
「一喜一憂せずに、出来ることをやって下さい。少しずつ、前に進みましょう。」
泣き言を言った私に主治医がくれたメールの言葉にすら「一喜一憂する私を責めている」とへそを曲げていた私。いまは少しだけちゃんと私の中に沁みてくる。
この静かであたたかで優しい音たちに揺蕩って、夜の空気をいっぱい吸い込んで、湯でものんで、やさしい気持ちで眠りましょう。