まあ、波ってあるよね|2020.11.25 日記
「〇〇の妻ですが…」と名乗って「夫」の職場に電話をかけた。
精神障害を持っている彼は内科的にはそこそこ健康体なので、熱や風邪にはかなり弱気だ。昨日からのお腹の風邪で熱が下がらず「会社になんて説明したらいいか分からないから電話してくれる…?」と言われ、私は私で全く身体が起き上がらず思考力もなく、言われるがままに彼の職場に連絡した。
彼が陰で「おっさんドラちゃん」と呼ぶ上司は、全然おっさんドラちゃんっぽくない紳士的な声をしていた。
これまでも彼の体調急変時に病院や職場に連絡をしたことは何回かあるけれど、「妻」という信用保証は「恋人」や「同居人」とはだいぶ違うなあと思う。
そして私もここ一週間いろいろなことに振り回され、結婚という環境変化も多分あり、そもそもここ一ヶ月ギリギリで踏ん張ってきた糸が切れ、自分の職場にも休むと連絡をいれた。慶弔休暇という名目の7日間の療養期間は、二人分の体調不良の波とイベントと手続きで思ったよりもいっぱいいっぱいになってしまった。一日延長。
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電話の一件しかり、体調が悪い時の彼は子供返りするようになった。ワガママを言ってグズるし、後追いがすごい。夫というか、子供ができたみたいだ。わー、かわいいキッズだ、と思っているから別にいいのだけど。
まあ、控えめに言って苦労の多い子供時代を過ごした彼がようやく安心できる「家」を手に入れたのかもしれないなあ、と思っている。
私は私で「ああ、多分いまの彼にとって必要なことなんだなあ」と呑気に構えているので精神的な負担はほとんどないのだけど(普通にうんざりする時はある)、単純に疲れは溜まってきた。
今日仕事に行けなかったことが結構ショックで、でもまあ仕方がないと納得しつつ、グズっていた彼もようやく疲れ果ててスヤスヤ寝はじめたので、こっそり別室に移って一人で休んだ。
彼と一緒にいる時間も愛おしいけど、やっぱり自分のための時間で自分のために休むのは大事。
昼休みの時間、ケイさんに連絡した。一週間ケイさんと煙草を吸っていなかったから恋しかったのと、職場の空気と離れ過ぎて、このまま闇落ちしてしまうのが怖かったから、迷惑かもだけど電話できないかなあ、とふと思った。
ほどなくケイさんから電話がきた。どうしたのと心配するケイさん。
「外界と離れ過ぎて、昼休みだし、ケイさんの声が聞きたくなりました………」
「あ、なに、そういうかんじ?(笑)」
私のどうでもいい要件に面食らったかのように静かに爆笑しだすケイさん。の声を聞いてほっとする私。ケイさんはいつもの喫煙所で、私は家のベランダで煙草を吸いながら、ほんの数分だけいつもみたいにおしゃべりした。
「じゃあ、また明日ね」という言葉に勇気をもらって、明日への活力が湧いた。
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彼が私との空間で安心できるように、私もまた「家」という安心してそこにいられる居場所を見つけてほっとしている。彼も私も、子供で親で、パートナーで家族だ。
その関わりができるようになってから、私が彼以外の人と関わる時にも変化が起きた。わかりやすくいうと、人に弱音を吐いて頼ることがすこし上手になった。
今までとても苦手なことだったから、たまに塩梅を間違えて失敗しちゃって、シャワーを浴びながらぎゃーーっとなる時もあるけれど、「人間だもの」と心の相田みつをを召喚して正気を保っている。
まだまだ体調の波が安定しなくて、ギブできるものがあまりないけれど、ギブアンドテイクの精神で、今みんなから与えられている元気や愛を、少しずつ大切なみんなに還元しながら生きていきたいなあと思う今日この頃です。