四月十五日 枯れない花
少しずつかつての習いを無くすこと
少しずつ何を見て何を考えているかわからなくなること
少しずつ、今日どんな気分か思い至らなくなること
それを別れというのだ。
少しずつ、君の知らない私が増えていくこと
少しずつ、日々の何気ない出来事を忘れること
少しずつ、今幸せか不幸せかも知れなくなること
それを離別というのだ。
昔あんなにも重荷だった君の不幸せな感情を
今は知ることもできないことが
少し寂しい、
だなんて。
君がどんな人間であるのか知らないこと
私がどんな人間であるのか話せないこと
そうして君と私が少しずつ違う人間になること
それをサヨナラと言うのだ。
君の幸せを願うとき
そこに必ずしも私はいないこと
そう思う程には隔たれた地平の彼方で
サヨナラを幾度も重ねた地平の彼方で
君の、幸せを、祈っている。