どうやって30人クラスで一人一人に違う教育をするのか? 3つの方法(DI、UDL、バックワードデザイン)を紹介します
先日、いくら良いカリキュラムでも、そのカリキュラムについていけない子や、逆に退屈する子がいたら、それは良い教育とは言えないという論文を紹介しました。
ではどうやって集団教育で全員に対応できるのでしょうか?
差別化教育のための3つの方法
ざっくりというと、集団教育で全員に対応するためには、4つの要素が必要と言われます。
1 柔軟なグループ分け
2 興味に基づいた指導
3 反応の良い環境
4 学習者の多様性に対応できるさまざまな指導戦略
ここからは、以上の4つ目の「指導戦略」のうち、主な3つの方法、
を紹介します。
1 Differentiated Instruction(DI)ーー差別化された指導
全員に同じ指導をするのではなく、生徒一人ひとりに違う指導を行います。 生徒中心教育では中心的な考え方です。
差別化された指導とは、生徒一人一人を知った上で、学習者一人一人に対し、コンテンツ(指導の「内容」)、プロセス(指導の「⽅法」)、成果(指 導の「証拠」)の 3 つの⽅法を変化させることです。
学習に困難を抱える生徒のためだけではなく、学習の進度が速い生徒にも対応します。
ステップ0 生徒のことを知る
差別化のためにまずは生徒一人一人を知ることが重要です。 学期の最初の週に、⽣徒たちの興味、学習スタイル、差別化された指導に関する知識について調べます 。そして、⽣徒たちに学ぶ方法が選択できることを伝えるのです。アンケートを実施し、学習の棚卸しを行い、生徒一人ひとりの学習プロフィールを作成します。各生徒に簡単にインタビューを行い、生徒がどのような人物で、何が好きで、何を必要とし、学習者としてどのような動機付けが必要なのかを把握します。
ステップ1 コンテンツを変える
教師は生徒一人ひとりによって、コンテンツを変えることができます。
たとえば、英語の授業では、⽣徒は特定 のニーズに合わせて、さまざまな読解レベルの教科書やその他の⽂学作品を読むことができます。同じレベルのものであれば、生徒の興味に合わせてコンテンツを選べます。SFを選ぶ子、物語を好む子など、同じレベルでも読解内容を選択させることもあります。
ここで活躍するのが図書館司書(メディアスペシャリスト)です。
彼らは幅広い読解レベルに対応したリソ ース ブックやその他の資料 (ブックマークされた Web サイトを含む) を提供します。
ステップ2 プロセスを変える
教師は⽣徒の興味や学習スタイルに基づいて学習活動を変化させます。たとえば、歴史 の授業では、⽣徒はインターネットで調査を⾏ったり、地域住⺠にインタ ビューしたり、地図を描いたり、モデルを構築したりすることができます。 歴史の授業で、映画を見たり、漫画を見たりして興味を深めることも可能です。
ステップ3 プロダクトを変える
学んだことを表現する方法を選択できます。たとえば、理科の授業では、学⽣は論⽂を書いたり、実験を⾏ったり、⼿順と結果を報告したり、トピックに関するパワーポイントを用意します。評価として探究型プロジェクトを提出する⽣徒もいれば、研究論⽂を書く⽣徒もいれば、筆記試験を受ける⽣徒 もいます。さらには、生徒のニーズに基づいて学習目標を修正することもあります(McFarland-McDaniels,n.d.)。
一部の生徒にはこれらの要素のうちの1つを差別化する必要があるかもしれませんが、他の生徒には3つすべてを差別化する必要があるかもしれません。
2 Universal Design for Learning (UDL)ーーユニバーサルデザイン
ユニバーサル・デザイン・フォー・ラーニング(UDL)には長い歴史があります。「UD」は元々建築用語ですが、この教育手法は、特別支援教育の環境において長年使用されてきましたので、学校には馴染みが深いでしょう。
これが、最近では一般教育の教師たちからも支持を得ています。
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