STEAM教育になぜ英語が必須なのか
こんにちは!
先日、フィリピンの英語学校「Brighture」でこんな記事が出ました。
人工知能の開発者、山本一成さんの体験談です。
名人に勝ったことで有名なAI将棋「AI Ponanza」の開発者です。
私は編集者として仕事し、ラッキーなことに、山本一成さんとお話もさせてもらいました(私自身もBrightureの生徒です)。
実は「全プログラマーは」みたいなキツめのタイトル、普段はつけません。しかし今回、あえてこのOKしたのです。
なぜ、「全員英語」なのか、今日は解説します。長めの記事です。
なぜ英語ができないプログラマーに限界があるのか
私の疑問は、
別に英語ができなくてもプログラミングが上手ならそれでいいんでは?
でした。ところが、トップを走っている山本さんには、別の世界が見えていたのです。
Google翻訳、素敵ですよね。しかし、プログラマーには、「文化圏」が必要なんです。例えば、英語にはGithubやStack Overflowなどの巨大なプログラマー同士のコミュニティがある。英語圏のプログラマーはここに日々新しい情報が入ってきて、ソースコードを公開したり、議論・質問をして、コミュニティの中で生きている。
説明します。例えば、英語圏のプログラマには「Stack Overflow」というコミュニティが必須です。
「Stack Overflow」は質問・回答の巨大サイト。
息子も、Stack Overflowなしにはプログラミングできないそう。Googleでエラーコードを検索すると、よく出てきます。
例えば、Youtubeにアップされていた、レミ・マレックの出演映画「Mr Robot Decryption」のコメントが興味深い。「このプログラマーはウソだ。だって本物のプログラマーは3分ごとにStack Overflowを開くはずだから〜」 こちら、1162件ものGood!がついてました。
(初出では5分となってましたが、3分の間違いでした。訂正します)
文化圏に入れないとはどういうことか
けど、質問は機械翻訳で読めるでしょ? それでよくない?と私は思いました。山本さんの答えがこれです。
日本人も、みんな翻訳して読んでいます。しかし、「読むだけ」で終わってしまい、コミュニティで質問したり、回答して評価をあげるのは難しい。日本語のプログラマーの文化圏はあるけれど、規模が小さい上に日本国内で終わってしまう。
つまり、「Yahoo! 知恵袋」は読める。けど読むだけのメンバーで終わる、みたいな感じかな。質問もできなければ、存在感も影響力も示せない。
日本語Stack Overflowや別のコミュニティもありますが、規模が段違いに小さいそうです。
プログラマーが英語で情報を発信したり、文化圏を作れないと、情報の「おこぼれをもらうだけ」なんですよ。Googleなどが出す方向性に従っているだけで終わる。相当苦しく、トップにはなれない。
つまり、「おこぼれをもらう」しかない。
確かに、英語圏のプログラマには、自分の紹介にStack OverflowとGithubのリンク(&Linkedin)を貼ってる人多い。
すると「この人はどの程度の質問をして答えた人で、何に興味がある人か。仕事は何してる人か」が1発でわかる。
子供の行ってるプログラミング・スクールでは「Stack Overflowで1日1回は質問に答えること」という課題があります。
子供たちはそれぞれ、PythonやJavascriptやUnityなど得意分野があります。そこで誰かの問題を解決する「仕事」をするのです。
素晴らしいのは、質問に回答するとポイントが上がり、それが可視化されること。ポイントが「評価」となり、将来の仕事につながっていく(求人サイトまでついてます!)。その人が、どんな質問に答え、どんな回答をしたかで実力もわかる。
こうやってプログラマー同士の巨大なコミュニティが形成されている。
実は理系の他の分野も同じかもね
でもですね、これプログラマーに限った話じゃないと思う。
Stack OverflowってStack Exchangeと言われる巨大コミュニティの一つです。
このほかにも数学やら物理やらのコミュニティが形成されてて、世界中の人が議論してる。ここに入れないというのは損失じゃないのかな。
山本さんは言います。
プログラミングの分野って英語での情報発信が多く、読む能力がとても大事。特に新しい情報や論文はすべて英語ですね。日本には2年遅れて入ってくる印象です。実は、日本には英語ができるプログラマーが少ないです。読めるけど、それだけ。
2年って言ったら、技術は大幅に変わる。特に今の時代は指数関数的に技術が向上していると言われ、数ヶ月でトレンドが移り変わったりする。
だから、最新情報のコミュニティにいるって大事なんです。
同じことは、数学や物理・医学などの世界でも起きているんじゃないだろうか。今物理や数学でも、コンピュータなしに研究するの、難しい。
だからですね、理数系学びたい、将来プログラマーになりたいって方は、英語は必須で、もはや基礎体力なのかも。
山本さんみたいに後からもできるというのは事実。けれど、最初からやったら、早めにコミュニティの力が得られるからお得です。
息子のSTEAM学校は先生も生徒もほぼ非ネイティブ。なのに先生たちが「英語が重要! お前らの母国語は忘れろ!」というのはこれが理由です。
文系も英語が重要になってくる
話は変わりますが、文系も同じです。今回、日本政府が英語で効果的な発信ができてない、読むだけになってる(多分ね)ってのをいやというほど感じてます。それはここにも書きました。
英語で書かれたことについて、グローバルな時代に、いくら日本語でワーワー言っても誰も読まない。都合よく翻訳されてしまう危険性もある。
そしてただ英語に翻訳してもダメ。英語には英語の伝え方がある。
インターナショナル・スクールには「スピーチ&ドラマ」などの授業があり、「伝え方」を小さい頃から訓練するのです。「伝え方」「見せ方」がどれだけ大事か、教育現場の先生もよく知ってる。
英語が読めることで情報の質と量が圧倒的に変わります。
私も英語が読めるようになり、編集者としてみている世界が広くなりました。
最近「何が起きているのか教えて」と言われますけど、私のバイアスが入る。膨大な情報を切り取って私の視点から伝えていいのかな? と思います。自分で読めた方がお得というか、読めないと損します。
そんなわけで、将来理系に行きたい方には、英語学習をお勧めします。
かくいう私も特訓中です。
いくつになっても勉強は終わらないですね。
それではまた!
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