「学力ランキング」が盲信できないワケ
こんにちは! クアラルンプールは雨が多く、涼しい日が続いています。
少し前の、日経新聞にこんな記事が出ていました。
経済協力開発機構(OECD)は3日、世界79カ国・地域の15歳約60万人の生徒を対象に2018年に行った学習到達度調査(PISA)の結果を公表した。日本は「読解力」が15位となり、前回15年調査の8位から後退した。「数学的応用力」は6位(前回5位)、「科学的応用力」は5位(同2位)になったが、世界トップレベルは維持した。
これを読むと、トップは全部中国で、シンガポール、香港、マカオと、上位にはアジアの国がズラッと並びます。
日本の順位もそんなに悪くありませんよね。
記事は「読解力」の低下に焦点を当ててますが、私はちょっと違う読み方をしています。教育記事を読むときには、世界の潮流に注意しなくてはなりません。
そもそも「PISA」って学力ランキング自体が「古くない?」ってコトです。
今日は、アジアで取材している私からみた「PISA」と世界の教育の流れについて、お話しします。
3700文字近くの長い記事です。頭が疲れてないときにどうぞ。
PISAは教育の役に立っているのか?
このPISAは2000年に登場し、各国政府が学力を比べる「通信簿」のようになってきます。
PISAは、OECDの学習到達度調査。数学的リテラシー、読解力、科学的リテラシーの分野で、各国生徒の「学力」を調査します。
マスコミも、各国政府もこのPISAのランキングを比べ合っています。ところが、2009年に衝撃が起きるのです。中国・上海が参加し、なんと全ての分野で1位となり、「アジア型の教育モデル」の脅威を欧米に見せつけたわけです。
そういえば、文科省がゆとり教育をやめた理由の一つもPISAでの順位低下でした。
(成績の悪かった)米国は特にこれをみて焦り、巨額の予算を投入します。ところが、2012年、試験結果は改善しないどころか、おまけに失業率も上がってしまった。
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