部活動の意義・デメリット・改革の動向と今後
教員キツネです。
今日は部活動についてお話していきたいと思います。
部活動と言っても、小学校、中学校、高校など年齢によって、地域や学校によってもいろいろと違いがあると思いますので、あくまでも私の経験から考えたことをお伝えします。ご意見がありましたら、よろしければコメントをくださいませ。
私は、部活動の意義について、学校の面、子どもの面、保護者からの面の3つあると思っています。
1つ目の学校の面は、学校や教員という公的資源を有効活用することです。学校の体育館・運動場・音楽室、体育用具・楽器など、公的な資源があるので、それを学校の授業外でも有効活用できるということです。また、教員の中には、スポーツや芸術に長けている人、それを子どもたちに教えられる技術がある人がいるので、その人的資源を生かす場だと考えます。
2つ目の子どもの面は、勉強以外で子どもたちが成長できる居場所づくりをすることです。勉強が苦手な子にとっては年々活躍できる場が少なくなってくるため、小学校より中学校や高校で部活動の意義が増してくるように感じます。また、上達することや良い成績を残すことでの達成感が得られたり、人間関係を学べたりすると思います。
3つ目の保護者の立場から言うと、安心できる子どもの預け先という役割です。子どもが家に帰ってからの時間の過ごし方を考えたときに、例えば家でゲームやタブレット、テレビなどで時間を過ごすよりは、部活で体を鍛えたり芸術に打ち込んだりする方が安心でしょうし、送り迎えが要らない、受講料がかからないなどメリットがあると思います。
そういったメリットのある部活動ですが、デメリットもあります。
まず、教員の働き方をブラックにしている要因と言えると思います。公立学校の教員は、給特法という法律により残業代が時間数に応じて払われる仕組みではないため、部活動での残業や休日出勤に対して手当が全く出ないわけではありませんが、充分に対価が支払われているとは言い難い状況があります。
また、部活動自体が学校教育の中にありながら、義務ではなく主体的な参加によるものとされ、練習方法や指導方法などは現場に任され、活動内容をチェックする機能がありません。自由な活動ができる一方で、指導教員や上学年の権力が肥大化し、行き過ぎた上下関係や、パワハラや体罰などに繋がる危険があります。また、専門性の低い教員が指導したり、適切でない練習を行うことで、怪我やスポーツ障害などに繋がる危険性もあると思います。
この内容としては、部活動の全てを学校の教師が担うのではなく、生徒への指導等に意欲を有する地域人材の協力の下で、生徒にとって望ましいスポーツ・文化活動を地域が支えていくという方向性が出されています。令和5年度以降、休日の部活動の段階的な地域移行を図ると共に、休日の部活動の指導を望まない教師が休日の部活動に従事しないと明記されていています。
今後、この内容に沿って学校が行う部活動は縮小、地域移行が加速すると思います。週末の部活動を地域移行していくことは、教員の働き方にとって良いことですし、地域社会とのつながりを持つことで部活動のブラックボックス化による害悪も防げそうですし、専門性のある指導員が指導すれば怪我やスポーツ障害を防ぐことにもつながると思うので、良い流れだと思います。
さらに、私としては、省庁が提唱している変革と並行して検討していきたい事柄がいくつかあります。
・教員の指導する平日は勤務時間内に限る…残業時間に対する充分な対価が払われていない現行の制度の中では、労働者の権利として保障されるべきだと思います。
・部活動をする日数を選択制にして活動人数を減らす…部員数が多すぎて、施設や設備が足りず満足な練習ができない場合があります。1日当たりの定員を決めるなどの調整ができると良いと感じます。
・部活動の指導する教員としない教員の不平等感を減らす施策…部活動を持つと自分の業務+αの仕事が増えるので、断る人が楽をするという不平等感があります。部活を担当する教員に、金銭的な手当なのか、授業時間数や学校事務を軽減するなど、その不平等感を減らす仕組みがないと、皆が部活の指導を断って部活動が立ち行かなくなるでしょう。
こういった調整が難しいなら、地域移行をさらに進めて平日の部活動指導も指導員の指導に移行するという方法もあると思います。
名古屋市の小学校ではすでに部活動を完全外部委託化しています。政治の面から舵を切ることで、改革が進んでいます。
ただ、地域移行による二つの弊害も出てくると思います。
一つは、大会運営です。今の地町村の大会、県の大会、地域ブロックの大会、全国大会、のような教員による大会運営が無くなった場合に、今教員が担っている大会運営を誰がどのレベルでするのかという問題が出てくると思います。大会を無くすのか、行政主体で縮小してでも運営するのか、議論の余地があると思います。
もう一つは、部活動の指導に意欲も技術もある教員が力を発揮できる場がなくなることです。高いレベルの指導力のある教員が、子ども達を成長させる機会が奪われるという面が出てくるでしょう。
このような弊害も考慮すると、これらの改革を進めるには簡単にはいかないかもしれません。しかし、こういった改革は、教員の働き方改革のためにも、子ども達のためにも、地域社会の為にも、時代の変化とともに必要になってくると思います。こういった改革を前向きにとらえるようなマスコミの報道があれば、大きな後押しになりますし、名古屋市の小学校がそうであったように地方議会等の政治の面から改革を前進させることも、保護者や教員など現場の対立を回避できるという意味で意義がある思います。また、もしあなたの身近な学校で部活動の改革の動きがあれば、否定的にとらえず、よりよい未来のために過去にとらわれず現状からスタートして何が出来るのかということを前向きに議論できる教員、保護者、地域の方々の関係があればありがたいなと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。