春について
春だねぇ。朝と夜の凍て付くような寒さが和らいで、道端の茶色が少しずつみどり色になっていく。木々の先っぽがじっくり膨らんで、淡い色をつけていく。おひさまは温度を取り戻して、月の湿度が高まる季節。
昔から、この季節がどうしても得意になれない。冬が好きとか暑いのが嫌とか花粉症だから!みたいな理由ならきっともう少し楽だった。服は脱げばいいし花粉症もマスクとか薬とかなんかしらの対処法はあるから。身体ではない、心が、精神が、春にトラウマを抱いている、らしい。
別れと、出会い。その節目。人なんていつだって死ぬから別れって本来1年中転がっている筈なんだけど、なんだろね。春はそれを否応なく突きつけられるというか、生きている人とのお別れが発生する。環境が、変わる。だからだめなんだよ、多分。幼い頃のクラス替えも卒業式も入学式もぜーーーんぶ、知ってるのに。わかってるのに。それでも己のこころと、ふわふわした周りには慣れない。私の中の脆弱な部分が揺さぶられる頻度がとてもあがる。困ったことだねぇ。
お別れは苦手だ。別に会えるかもしれないし空は繋がってるくせに、お別れなんて軽々しく言わないでほしい。うそ、便利なこともある。出会いは選べないくせに、お別れは強制的にやってくる。理不尽で優しい、世界の罠。
ふと、春が好きな人と会ってみたいと思った。
未だに見たことがないけど、仲良くなれるのかしら…?とりあえず春のポジキャンをしてもらって、私にその「好き」を分けて欲しいなぁっておもったとか、おもわなかったとか。
おしまい。
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